プレッシャーディフェンスを打ち負かすための10の鍵

公開:2021/08/13

更新:2021/06/29

このコーナーでは、北米で多数のコーチが視聴しているコーチング動画サイトBasketball HQから、おすすめのコンテンツを紹介しています。 ※ジャパンライム株式会社が翻訳掲載の権利を取得した上で制作しています。

10 Keys for Beating Pressure Defense in Basketball

この記事は、Basketbal lHQの共同創設者であるKyle Ohmanによって書かれたものである。


バスケットボールチームを率いていると、激しいプレッシャーディフェンスをしかけてくる相手に遭遇すことがある。それは、マンプレス、ゾーンプレス、またはゲームの特定の場場面でトラップやギャンブルの形で直面する場合がある。どのような種類のプレッシャーディフェンスに直面しても、チームとして冷静に対処できる準備しておく必要がある。

プレッシャーディフェンスを打ち負かし、オフェンスを成功に導くための10の鍵を以下に挙げよう。

1. ディフェンスに仕事を続けさせる

チームがプレッシャーディフェンスに対して犯す最大の過ちの1つは、プレスをいったん退けた後、毎回判で押したようにボールをアウトサイドにパスして攻撃を仕掛けることだ。それは、あくまでも時間とスコアに応じて、適宜選択されるべきオプションである。質の高いシュートを打つことができるようであれば、そのままインサイドを攻めてディフェンスに仕事をさせ続けるべきだ。

2.ボールキープ力

オフェンスを計画通りに進めるには、ボールキープ力が重要なる。プレーヤーはボールをキャッチしたら、すぐにディフェンダーに対してトリプルスレットでバスケットに正対する必要がある。これは、ディフェンダーがプレッシャーをかけてくるのに対して、その代償を払わせることができる唯一の方法である。

パスをキャッチしたプレーヤーがすぐにトリプルスレットでバスケットに正対しなければならない理由は、オフェンスプレーヤーがそうしなかった場合、ディフェンダーは間合いを詰め、ボールマンを後方にピボットさせるように強いるからである。オフェンスプレーヤーは、すべてのパスキャッチで瞬時にスペースを争い、ディフェンダーを身構えさせなければならない。これにより、ピボットしてドリブルしたり、味方に対して直線的なパスを出すことができるようになる。

トラッピングディフェンスと戦う場合、ボールマンは有利なポジションでプレーする必要があるが、ボールを長く保持しすぎないように最善を尽くさなければならない。トラップが仕掛け始められたらすぐにプレーヤーは気づき、質の高いパスを出すか、ドリブルでトラップを分割するかを選択する必要がある。

3.パスフェイクを使用して直線的にパスする

ボールから離れているディフェンダーは、パッシングレーンでパスを止めようとする。したがって、プレッシャーディフェンスを打ち負かすための最も重要なツールの1つは、シンプルだが非常に効果的なパスフェイクである。

ディフェンダーはパスを読んでいて、ボールをどこに通すのかを予測しようとしている。パスフェイクを入れることで彼らがフリーズしたり、位置がずれたりする。パスフェイクを効果的に使い、オープンなチームメイトにパスしよう。

ループパスは使ってはいけない。ループパスは、ライブボールスティールのチャンスを与えるだけでなく、レシーバーに到達したとしても、ほとんどの場合、ディフェンスはボールの至近距離にいて、容易に防御できる体勢にある。

パッサーはチームメイトに直線的なパスをするために最善を尽くす必要がある。これは、パスがスティールされるのを防ぐのに役立つが、ディフェンスがリカバーする前にレシーバーがオープンスペースを攻撃することもできる。オーバーヘッドパスも選択肢としてはあるが、このタイプのパスは細心の注意を払って行い、可能な限り制限する必要がある。

4.パスを受け取るためにオープンになる

プレッシャーディフェンスに対する攻撃において、ポイントガードがターンオーバーするゲームを数多く見てきた。オフザボールのプレーヤーたちにも責任が生じていることを今一度、理解すべきだ。ボールから離れたプレーヤーは、ボールマンのターゲットとなるべく、ディフェンダーを制御しながら動いてオープンスペースを作る。

パッサーのためにターゲットハンドを差し出し、パスをキャッチする。ディフェンダーとの間合いが離れている場合、レシーバーはパスをショートカットしてキャッチすることもできる。ここでイージーなバックドアレイアップやダンクにより得点できれば、非常に効率の良い攻撃となる。

レシーバーにとってもう一つの重要な要素はタイミングである。パスが送られる直前にターゲット位置に入るよう、タイミングを計る必要がある。早すぎるとディフェンダーに追い付かれてしまい、反対に遅すぎると、パッサーは極端なボールプレッシャーにさらされてしまう。

5.すべてのパスをミートする

プレッシャーディフェンスは常にパスカットを狙っている。レシーバーがパスに対して確実に両手でミートすることが重要だ。レシーバーは、ボールが来るのを待つ状況は避けるべきだ。待っている間にディフェンダーがボールに到達する時間を与えてしまい、パスディフレクションされてしまう。

レシーバーが閉じ込められて動けない場合、チームメイトはオープンスペースに走り、パッサーに対して新たなターゲットを提供しなければならない。パスでプレッシャーが軽減されたら、ボールをキャッチしたプレーヤーはすぐにボールをリバースする必要がある。通常、トラップの状況では、ディフェンスはフロアの片側に集中するため、素早くボールリバーサルすると、ディフェンスはこれに十分対応できない可能性が高まる。

6.ハードカット

プレッシャーディフェンスを打ち破る優れた方法の一つは、ハードカットだ。ディフェンダーを身構えさせてから、ハードカットを行ってオープンの状況をつくる。プレーヤーが使用するカットのタイプが何であれ、プレーヤーはそれを鋭く行う必要がある。カットが鋭いほど、ディフェンスがプレッシャーをかける機会を奪うことになる。

カットのもう1つの重要な鍵は、すべてのカットが得点の脅威となるようふるまうことだ。プレーヤーがカットでボールを受け取らなくても、「カットして得点する」ようふるまう必要がある。これにより、カットがより効果的になり、ディフェンスがカットをより警戒する。素晴らしいカットはまた、ディフェンダーにヘルプを強いることによって、別のプレーヤーがオープンになるかもしれない。

7.自分のペースでプレーする

プレッシャーディフェンスは、オフェンスのプレーをスピードアップさせるよう設計されている。それよってオフェンスを焦らせ、精度の低いシュートを打つよう強制する。だから自分のペースでプレーすることを意識し、相手の罠にはまらないようにしなければならない。コーチは、必要に応じて、適宜ペースダウンの指示を出す。

8.危険ゾーンを避ける

プレッシャーディフェンスに対抗する時、絶対に避けたいエリアがある。その1つはコーナーだ。コーナーはスペースが狭く、そこにもう1人のディフェンダーがいるのと同じだ。

できるだけフリースローラインの近辺でオフェンスプレーヤーがポジショニングされていることを確認する。

もう1つの危険ゾーンは、ボールマンによるオーバーペネトレーションである。相手の誘いにのって攻撃するスピードを上げて、ドリブルでトラブルに巻き込まれないように。ボールマンは、トラップが起こりやすいエリアまたはドリブルするには混雑しすぎているエリアを認識しておく必要がある。

危険地帯で自分が立ち往生してしまった場合は、落ち着いて、忍耐強く、ボールを守る。最悪のプレーは、オープンなチームメイトにボールが渡ることを期待して、ボールを床に投げつけることだ。このようなワイルドパスは、ディフェンスの思うツボであり、相手のイージーバスケットに結び付く可能性が高い。他の4人のプレーヤーは緊急モードを認識し、オープンターゲットとなるべく動く。

9.安全弁を持つ

プレスゾーンにボールを運ぶ時は、もう一人のプレーヤーを常にボールの後ろに置きたい。このプレーヤーはリリースバルブ(安全弁=緊急避難先)であり、緊急事態時に、ボールを素早くリバースするためにそこにいる。

ボールハンドラーがフルコートのプレッシャーに本当に苦労している場合は、2つの異なるプレーを試すことができる。 1つ目は、バックコートにボールスクリーンを設置することだ。相手チームのポストディフェンダーがすぐに足を踏み入れることができず、良いトラップを実行できない可能性が高い。

2番目のオプションは、ビッグマンの1人にボールを運ばせることだ。彼が先に進んでディフェンダーを下げておき、ハーフラインを通過したところでポイントガードがボールをもらいに来てオフェンスを実行する。ハンドオフは、これを実行するための優れたアクションとなる。

10.プレッシャーディフェンスに対抗するためのドリル例

4対5ドリブルなし

このドリルは、すべてのパスに対応する能力を養うのに最適だ。タイトルが示しているとおり、4人のオフェンスプレーヤーと5人のディフェンダーでプレーする。オフェンスプレーヤーはドリブルを使わずに、パスを10回成功させてレイアップかダンクにもっていく。

ティーチングポイント:問題は、プレーヤーがボールを長時間保持しすぎて、ディフェンスがトラップを成功させる場合に発生する。オフェンスは、ボールをできるだけリバースする。これにより、ディフェンスがより多くのエリアをカバーする必要が生じる。

パートナープレッシャーパス

このドリルは、トリプルスレットを強く保持して、ボールをパスできるようにするためものだ。ボールを持っているプレーヤーは、ボールを保持したまま、パートナーがボールを奪おうと手を出している間、トリプルスレットポジションで3〜4秒間我慢する。数秒後、プレーヤーはピボットやパスフェイクなどを使用して、3番目のプレーヤーにパスする。パスをしたプレーヤーはボールを追い、次のディフェンダーになる。このパターンを、時間を決めて繰り返す。

ティーチングポイント:ボールを持っているプレーヤーは、プレッシャーをかけられている間、目を上げてフロア全体見る。

■3メンペリメーターパス

プレッシャーディフェンスを打ち負かす最大の要素の1つはボールリバーサルであり、このドリルはそこにフォーカスしたものだ。両ウイングとトップオブザキ―にプレーヤーが位置する。それぞれにディフェンダーがつく。3人のプレーヤーは、ドリブルを使用したり、3ポイントラインから押し出されたりすることなく、ボールをパスし続ける。ただし、ディフェンダーが完全にオーバープレーしている場合は、バックカットしてフィニッシュすることができる。このドリルには、いくつかのバリエーションがある。

バリエーション1:ディフェンダーがダミーパッドを使う。

バリエーション2:ディフェンダーは全力で防御する。

バリエーション3:フルスピードディフェンス。オフェンス側が一定のパスに成功したら、「ライブ」と声をかけ、3対3でプレーさせて得点を狙う。適宜ドリブルを解禁してゲームをもう少しリアルにする。

ティーチングポイント:このドリルは、オープンのタイミングを練習するのにも最適な方法だ。ボールが振られているので、プレーヤーはパスキャッチするための走り込みのタイミングを計らなければならない。タイミングが良いほど、ボールを動かしやすくなる。

これらのドリルでよりプレッシャーを高めるには、ディフェンダーにフィジカルコンタクトをさせ、少しつかんでファウルすることさえ許可するように促す。これにより、フィジカルに強い相手との闘いをシミュレートすることもできる。

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