公開:2021/09/24
更新:2022/08/09
TOHOミニバスケットボールクラブ・田中正樹HC
静岡市で活動する男子のミニバスチーム、TOHOミニバスケットボールクラブの田中正樹ヘッドコーチから紹介していただいたのは、正しいディフェンスフットワークを習得するための、「スライド・クロス・スライド」というドリルです。
「人についていく」ための姿勢とフットワーク
TOHOミニバスケットボールクラブでは、マンツーマンディフェンスの基本である「人についていく」ための姿勢とフットワークを正しく身につけるために、年間を通してこのドリルに取り組んでいる。バスケットボールの経験年数や年齢に関係なく、同チームで最も重視している。
田中さん自身は、以前は女子チームを指導している時期もあったが、その頃から数えて10数年、継続しているドリルの一つだという。元日本代表の吉田亜沙美さんらを輩出した千葉県市川市の中山MBC・小鷹勝義ヘッドコーチが紹介している「クロスラン」というドリルがある。それを田中さんが少々アレンジして出来上がったのが、この「スライド・クロス・スライド」だ。
■ドリルの概要
・エンドラインコーナーからスタート
・ハーフコートの縦半分(サイドライン~ミドルライン)を使用
■やり方
①身体の向きはエンドラインに向け、3歩スライドステップで進み、その後クロスステップ、ミドルライン手前2~3mからスライドステップに変化。
②ミドルラインに着いたらサイドラインに向けて切り返し、進行方向の脚からスライドステップで3歩進み、その後クロスステップ、サイドライン手前2~3mからスライドステップに変化。
③サイドラインに着いたらミドルラインに向けて切り返し、3歩スライドステップ、クロスステップ、ミドルライン手前2~3mからスライドステップに変化。
④これをハーフラインまで繰り返す。
■コツ
・試合(1対1の相手)をイメージして、「1対1で守る→抜かれそうだからクロスステップに変える→追いついたからスライドステップに戻す→相手が切り返したからスライドステップでついていく」というイメージを持つ。
・パワーポジション(力強いディフェンス姿勢)をとる。
・スライドステップ→クロスステップ→スライドステップで頭の高さは一定にし、低い姿勢で行う。
・切り返し時に脚を引きすぎない(ドロップステップしない)ように、おへその向きは常にエンドラインに向ける。
・ハンズアップをしっかりし、右手、左手ともにオフェンスを意識した意味のある手を挙げる(意味のないハンズアップは試合で使えない)。
ステップの使い分けができるようにドリルで鍛える
ミニバス世代の選手たちは、気をつけていないと雑なディフェンスになりがちで、いきなりクロスステップで入ってしまい、相手に切り替えされたらそれに対応できず、身体が回転してしまうといったことがよく起こる。粘り強くスライドで相手についていって、いよいよ抜かれる、という局面でクロスに変える、という使い分けができるように、正しいスキルをこのドリルを通じて鍛えていく。試合中の場面場面、ケースに応じて最も適切な身体の向き、ステップを選択できるよう、相手が目の前にいることをイメージしながらドリルに取り組む。時にはオフェンス側のプレーヤーを入れて行う。
非常にタフなフットワークドリルであり、子どもたちにとっては「きつい練習」の部類に入るが、雑にならないよう、丁寧にドリルを行うことで、試合で使える正しいスキル、そして体力が身についていく。目標としては、「周りから見て、スピード感とパワー感が感じられるようになるのが理想」だ。
(2021年9月12日、オンラインにて取材)