私は、 その年令の子が スカウトされて いることに 怒りを覚えた

公開:2021/05/14

更新:2021/03/26

Recruiting Children

往年の名プレーヤー、パトリック・ユーイングがジョージタウン大学のヘッドコーチに就任する、というニュースが報道されたとき、私は多くの時間を費やしてユーイングのコーチングのバックグラウンド(NBAアシスタントコーチの経歴が15年もあったとは知らなかった)について調べた。そしてニューヨーク・タイムスのジュリエット・マカーが書いた以下のパラグラフを読んだ時、私の動きは止まった。自分の地域でスカウトの仕事をしているスティーブンのことが書いてあった。

「彼はスターになる才能を持っている人物を探し出す。彼のレーダーにかかるのは、8 歳という若さの少年のこともある。彼は彼らの育成に関与し、大学のスカウター(採用担当者)の目に止まるよう手助けをする。そして、ミドルマン(仲
介人)として、彼らにふさわしいカレッジプログラムに彼らを導く」

彼の言うスティーブンスとは、キース・スティーブンスだ。AAUに参加するクラブチームをワシントンDCエリアでのトップに導いた。彼はその地域で才能のある人物を発掘することに力を発揮する。ユーイングとスティーブンスの関係性は、ここでは重要ではない。8歳プレーヤーをリクルートするという2 番目の文章が、私を驚かせた。
 
特定のスポーツに十分な時間を費やせば(早期に専門的に取り組むことで)、その長所と短所が見えてくる。しかしバスケットボールをプレーさせるために8 歳の子をリクルートすることは間違っていると思う。8 歳の子はどうあるべきか? 普通は、ひたすら遊んでいる。私は、その年令の子がスカウトされているこ
と、そしてその年令から1つの競技だけに特化してしまうことに怒りを覚えた。それは、子どもたちが最も関心のあることではない。リクルートしている大人の側の論理だ。我々の業界にとって、何の得にもならない。

8 歳でバスケットボールだけに集中しなかった子を知っているだろうか?
ラッセル・ウェストブルックだ。彼は野球、テニス、そしてアメフトをしながら育った。2017-2018シーズン、彼は平均トリプルダブルを達成した。彼は8 歳でスカウトされていないが、だからといって彼のプロとしての成長を妨げられていない。

レブロン・ジェームス。彼は高校時代、アメフトもプレーしていた。クリス・ポールも、子供時代を全てバスケットボールに費やしていたわけではない。彼はボウリングにも情熱を注いでいて、大学に入ってもその情熱は続いた。我々の使命は、子どもたちにできるだけ長く子どもらしくいさせることだ。それにより、もっと彼らは成長し、才能を開花させるだろう。

Basketball Coach Weekly日本語版92号より

(本コーナーでは、JLC e-bookストアで販売している『Basketball Coach Weekly日本語版』のバックナンバー記事から、抜粋して掲載しています)

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