公開:2021/04/23
更新:2021/03/26
Remind Them of Michigan
プレーヤーがユニフォームのデザインや着心地などに文句を言ってきたら、ミシガン大学のことを話そう。
シューズが合わないので走れないなどと言ってきたら、ミシガン大学のことを話そう。
移動時間が予定よりも長くなり、試合前にウォーミングアップができないことにプレーヤーが文句を言ってきたら、ミシガン大学のことを話そう。
ミシガン大学男子チームは、ビッグ10トーナメントの前日に、チームを乗せた飛行機が離陸中に滑走路の端まで横滑りするという事故に巻き込まれた。幸い大きな怪我を負った者はいなかった。ヘッドコーチのジョン・ベイレインはプレーヤーの動揺に配慮し、帰宅して翌日の試合は棄権するという選択肢を与えた。しかし、その選択肢に賛成する者は誰もいなかった。チームは1日待たなければならなかったが、翌日の朝、ワシントンDCへ飛んだ。
ビッグ10カンファレンスは、ミシガン大学の試合開始を20 分遅らせただけだった。だからチームは午前9時少し前にDCに到着し、12時20 分にはプレーをしなければならなかった。しかし試合会場に到着した時、試合用のユニフォームやシューズなどは全て飛行機の貨物室に入れられたままで、まだミシガンにある状態だった。飛行機も飛行機内の物もすべて、事故調査のため政府の管理下に置かれていたのだった。
彼らは練習用のユニフォーム(試合用の色とは違う)を着用し、急いで代わりのシューズを用意した。そして言い訳を一切せず、前半で20ポイントリードし、そのままイリノイ大学に勝利した。そして次の試合にも勝利し(相手は第1シードのパデュー大学)、その次(相手はミネソタ大学)にも勝利し、ビッグ10カンファレンスの決勝では、ウィスコンシン大学相手に71-56という、あり得ない点差で勝利した。
イリノイ大学との対戦後、ベイレインは「彼らがこの24時間で経験したことは、苦労したが素晴らしいものだった」とデトロイト・フリープレス紙に述べた。
「団結力が高まり、士気が高まり、困難な状況から気持ちを切り替えることができた」
ビッグ10でカンファレンスタイトルを獲得したことにより、ミシガン大学はミッドウエスト地区で第7シードとなった。
現代のプレーヤーは自己中心的で、スマホの画面から目を離さず、困難に挑戦せず逆境から逃げ出す、と非難を受けている。人の本当の姿は、追い込まれた時に、一致団結しなければならない時にわかるものだ。プレーヤーにもっと困難に挑戦させ、彼らへの期待のハードルを上げよう。彼らは必ずそれに呼応し、あなたの期待に応えるために全力を尽くすだろう。
そうでない場合は…彼らにミシガン大学のことを話してやってほしい。
Basketball Coach Weekly日本語版91号より
(本コーナーでは、JLC e-bookストアで販売している『Basketball Coach Weekly日本語版』のバックナンバー記事から、抜粋して掲載しています)