アーリーオフェンスで優位に立つ方法

公開:2021/11/19

更新:2021/11/05

このコーナーでは、北米で多数のコーチが視聴しているコーチング動画サイトBasketball HQから、おすすめのコンテンツを紹介しています。 ※ジャパンライム株式会社が翻訳掲載の権利を取得した上で制作しています。

Taking Advantage of Early Offense in Basketball

この記事は、南カリフォルニア大学男子チームのアソシエイト・ヘッドコーチであるクリス・キャプコ(Chris Capko)によって書かれたものである。


アーリーオフェンスは、相手チームに、ディフェンスの準備ができていない状況での対応を余儀なくさせる。ほとんどのプレーヤーは、余裕がある状態でのボールスクリーンの防御については語れるだろうが、緊急対応的なシチュエーションの場合はどうだろうか? 

同じことがディフェンス側のビッグマンにも当てはまる。彼らは、相手のプレーヤーAがボールスクリーンをセットし、プレーヤーBがボールスクリーンを使う時の対応はしっかりできても、ショットの失敗やスクランブルの状況でプレーヤーCを守っている場合はどうだろうか?

ボールスクリーン その1

ボールスクリーンは、アーリーオフェンス時にとても効果的な戦術の一つだ。その理由は、多くの場合、トランジションの状況では相手のビッグマンが自分のマークマンを離れ、​​ハーフコートでボールスクリーンがセットされた時のように効果的な対応ができないためだ。これにより、ガードディフェンダーにも余裕がなくなる。

下記の動画では、ユタ州立大学(赤のユニフォーム)のビッグマンがポイントガードのためにボールスクリーンをセットし、最終的にスクリーンの角度を変えたり「ねじったり」する。これにより、スクリーンに対応しているディフェンダーが所定の位置から外れる。ユタ州立大学のポイントガードがスクリーナーにボールをパスすると、ディフェンスは反応を余儀なくされ、適切な位置からヘルプが得られず、レイアップシュートが決まる。一連のアクションはオフェンスの非常に早い段階で起こったので、相手のスタンフォード大学が緊急対応を余儀なくされた例である。

ボールスクリーン その2

次の動画では同様の結果が見られるが、それを達成するための手段が異なる。画面右から左に攻めているノースカロライナ大学のビッグマンは、早いタイミングでのボールスクリーンをセットするために全力疾走する。このスクリーンを守っている相手のビッグマンは、ヘルプが戻るまでボールハンドラーを止めに行くことができない。ボールハンドラーは、最終的に素晴らしい個人技を見せ、フィニッシュする。相手のデューク大学はノースカロライナ大学のアーリーボールスクリーンを守るためのゲームプランを準備したはずだが、この動画では十分に対応できていない。アーリーボールスクリーンはデューク大学に緊急対応を強いる結果になった。

オフボールアクション

オフボールアクションは、相手ディフェンスを混乱に陥れる上でもアーリーオフェンスにおいてうまく機能する。ほとんどのチームは、トランジション時のディフェンスで十分なコミュニケーションとれていない。つまり、アーリーオフェンスを高いレベルで実行できれば、オフェンスの質が向上するのだ。

下記の動画は、多くのチームがミスを犯す例の一つだ。画面右から左に攻めるUCLAのポイントガード(カイル・アンダーソン)がボールをウィングプレーヤー(ジョーダン・アダムズ)に渡し、ペースを上げてコーナーに全力疾走する。その後、ボールは後続のポストプレーヤーを経由し、逆サイドのウィング(ノーマン・パウエル)に渡る。ウィングプレーヤー(ジョーダン・アダムズ)は、ポストアップのためにボールサイドブロックへのビッグマンをシャッフルカットし、ポイントガード(カイル・アンダーソン)はショットを打つめにダブルダウンスクリーンを使って逆サイドへ侵入する。

UCLAがこのアーリーオフェンスを素早く実行したため、相手のUSCは後手後手で反応しなければならない。シャッフルカット、ダウンスクリーンアクションなどが有効に機能したのは、速いペースで攻撃を組み立てたからだ。ディフェンス側はセットアップして彼らの強さを発揮することができず、その都度反応することを余儀なくされる。

ピストル

この種のオフェンスは、ウィングディフェンダーに高レベルでのコミュニケーションを強制し、ヘルプに負担をかける。「ピストル」と呼ばれる人気のNBAアクションである。このアクションは、ターンオーバー時などから実行することができ、ポゼッションの早い段階で実行されることがよくあり、ディフェンダー間に混乱を引き起こす。


アーリーオフェンスは、相手が組織的にディフェンスを組み立てる暇を与えず、緊急対応させるための優れた方法だ。実行できるアクションにはさまざまなものがあるが、チームの特徴に最も適したアクションを見つけることが重要である。どれがあなたのチームに向いているのかを見極めて、ディフェンスをREACT(反応)に陥れてください!

あなたの悩みや疑問に、経験豊富な指導者が答えます。
回答は、当サイト内で順次公開。 皆様からのご質問をお待ちしております。
(質問者が中高生の場合は、指導者または保護者のアカウントからご質問を送信してください)