バスケットボール界におけるビッグマンの進化

公開:2021/08/13

更新:2021/08/20

The Evolution of the Big Man in Basketball

米国のコーチング情報サイトBasketball HQから、今回の特集テーマ「オールラウンダーの育成」に関連する記事を翻訳してお届けします。執筆者は、南カリフォルニア大学男子チームのアシスタントコーチ、クリス・キャプコ(Chris Capko)氏です。


NBA屈指のオールラウンドプレーヤー、アンソニー・デイビス(現在はLAレイカーズ所属)

20年前との違い

20年前、大きくて動きの鈍いポストプレーヤーがゲームの大きな部分を占めていた。少年時代の私は、パトリック・ユーイング、アロンゾ・モーニング、アキーム・オラジュワン、デビッド・ロビンソンといったビッグマンたちを見て育った。

90年代半ばから2000年代初頭にかけて、シャキール・オニールはNBAを支配した。ローポスト・スコアラーはすべてのチームの攻撃の要となり、ほとんどの大学とプロチームはその役割をこなせる選手を探していた。

しかし、今日のバスケットボールではそうではない。正確にいつ変わったかは覚えてないが、バスケットに背を向けて得点することを主なスキルとする身長210cm以上のプレーヤーは絶滅しつつある。今、ビッグマンは全く異なるスキルセットを持っていることが期待されている。

誰もがシュートに重点を置くにつれて、NBAとNCAAの選手たちの身長は低くなっている。種々の分析データは、2ポイントではなく3ポイントシュートが、よりゲームに影響を与える傾向を示した。これまで以上にポジションチェンジが必要とされ、ペイント外に出てボールハンドラーを守ることができるビッグマンが必要となっている。

ポジショニング

このようなバスケットボールの進化には、プレーヤー自身が適応しなければならない。そうしないと、取り残されてしまう。私たちはビッグマンがバスケット下に入る動きを完全に諦めたわけではないが、ビッグマンの優先事項として、最初にポジショニングに取り組んでいる。ペイント内で、2本の足でしっかりとポジションを確保することである。

ポストプレーヤーがペイント内に両足を入れている場合、ドリブルは必要ない。バスケットのできるだけ近くでボールをキャッチし、ターンして左右どちらの手でもフィニッシュできるようにしたい。これにより、ディフェンスがダブルチームで来たとしてもショットを阻止することはできない。これらはすべて、ボールが来る前にできる作業と、ポストディフェンダーをバスケット下に収めておく能力から始まる。このポジショニングがうまくいけば、毎回フィニッシュまたはファウルになるはずだ。

ドリブルからのフックショットとドロップステップ

ポストプレーヤーがバスケットから離れてパスを受け取らなければならないケースもある。その場合は、ディフェンスの動きを読んでバスケットへ至るミッドラインをドリブルしてほしい。ディフェンスがミッドラインを奪った場合は、フックショットとドロップステップ。失敗の可能性がある複雑な動きを練習するよりも、この2つの動きをマスターするほうが良い。

ボールスクリーン

カレッジバスケットボールでも、ボールスクリーンはかつてないほど普及している。ビッグマンは、スクリーン、ロール、そしてパスをキャッチしてフィニッシュできなければならない。南カリフォルニア大学では、ドリルを使って毎日これに取り組んでいる。ビッグマンがバスケットにロールする動きは、彼らが最初に学ばなければならないことの1つだ。

素早くロールし、自分のディフェンダーから離れることに成功すれば、ディフェンスのクローズアウトを回避することができる。ポストプレーヤーは毎回ボールを受け取るわけではないが、バスケットへのローリングアクション非常に重要であり、私たちは毎日、ドリルでタフなキャッチを行い、左右どちらの手でもフィニッシュできるよう練習している。

スペースでのプレー

コーチングの観点からポストプレーヤーに強調する次の要素は、スペースでプレーできることだ。たとえば、チームがボールスクリーンを仕掛けた場合は、ビッグマンがショートロールを行い、2人のディフェンダーを引き寄せたら、ガードからボールをパスしてもらう。ボールを受けたビッグマンは、ドリブルを1回または2回行って次に展開する。すなわち、ドリブル2回の場合はバスケットにフィニッシュ。1回の場合はシューターにキックアウト。ビッグマンは状況を判断してどちらかを選択する必要があるが、私たちはドリルでこれを繰り返し練習している。

ビッグマンに求められるディフェンス力

大学レベルとNBAでプレーする選ばれた少数のビッグマンは、ガードを守るように求められる。ショットクロックの残り時間が短いシチュエーションで、特にこれが要求される。

そのために、ウェイトルームとコートで、フットワークと身体能力の向上に時間を割く必要があると考えている。ビッグマンは、バスケットボール選手としてのキャリアのある時点で、必ずこれが要求されることになる。

バスケットボールは進化した。 10年前ビッグマンは、今日必要とされるすべてを行うようには求められてはいなかった。コーチは、あなたのビッグマンとともにハードワークし、彼らが完全なバスケットボールプレーヤーに成長するために時間を費やさなければならない。オールラウンドにプレーできるビッグマンは、どのチームにとっても常に必要とされる人材だ。彼らを鍛え、成長する過程を楽しんでください!


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