公開:2023/08/25
更新:2024/12/18
身体の小さいチームがいかに攻めるか。これは、いつの時代も指導者にとって大きなテーマです。中学バスケのカテゴリーでこの課題に正面から取り組み、全国レベルでも結果を残してきた北本真司氏のコンテンツ「ジュニア期からできる!スパイラルオフェンス・コーチング」から、オフェンス展開の基本的な考え方を紹介します。
インサイドプレーヤーがピストンのように動く
スパイラルオフェンスとは、バスケットボール界のレジェンド指導者の一人、中村和雄氏が考案したオフェンス。ドリブルを最小限に抑え、相手のディフェンスの状況を判断する力と、小さいセンター(インサイドプレーヤー)でもできる素早いパス回しとカットの連続で、相手陣形を崩していくプレーだ。このコンテンツでは、中村氏直伝のオフェンスを、北本氏が中学生に合った形にアレンジして紹介している。
スパイラルオフェンスという名称の由来となっているのが、インサイドプレーヤーがアウトサイドに出たり入ったりをピストンのように繰り返し、それに呼応して他のプレーヤーが、らせん状に動くこと。
最初のポジショニング
このオフェンスパターンの最も基礎となる形が、3アウト2インだ。アウトサイドに3名、インサイドに2名が配置された状態からオフェンスがスタートする。この時のポジショニングで重要なのは、インサイドプレーヤーがローポストでなく、ミドルポスト付近に位置すること。これは、ピストンのように出入りを繰り返す際に移動距離が長くならないようにするため。そして、アウトサイドプレーヤーは互いに4~5m(ワンパスアウェイ)の間隔を保持し、フリースローラインの延長線上より高い位置にポジションをとる(図1)。
インサイドとアウトサイドが交互にボールを持つ
中央のガードからウィングへのパスでオフェンスを開始する。パスをしたガードは反対サイドへ移動し、ボールサイドのスペースを広げる(図2。これを「中抜け」と呼んでいる)。この状態から、インサイドプレーヤーのピストンの動きが始まる。スパイラルオフェンスの原則は、アウトサイドプレーヤーとインサイドプレーヤーが交互にボールを持つこと。
そして、上がってきたインサイドプレーヤーがボールを受ける位置は、図3の赤丸で示したフリースローライン上の4つのエリア。ただし、ボールマンとはワンパスアウェイの距離を保つ必要性があるので、ボールマンに最も近いポジションは選択肢から外れる。
1対1が未熟な場合はチームの動きで相手を崩す
この段階での攻め方として、最もシンプルなのはボールマンが、空いたインサイドのスペースへアタックする形。しかし、1対1のスキルが未熟な場合はチームが一体となって攻める。上がってきたボールマンは、インサイドプレーヤーにパス、そしてハンドオフでパスバック(図4)。ボールを渡したプレーヤーは再度インサイドへダイブする。同時に逆サイドのインサイドプレーヤーがフリースローラインまで上がる。ボールマンはそのプレーヤーにパス、再びハンドオフでアウトサイドプレーヤーにボールを渡す。
隣のプレーヤーはインサイドの空いたスペースへ動く。ボールマンはそのままインサイドへドライブするか(図5)、大外に控えるプレーヤーにキックアウトしてシュートを狙う。
本編では、4アウト1インからのエントリーパターンや、各種応用パターンも紹介されています。小さいチームの戦い方を考えるヒントとして、ぜひご活用ください!
〈商品情報〉
上記の内容は、コンテンツタイトル【ジュニア期からできる!スパイラルオフェンスコーチング】に収録されています。オンデマンド版、DVD版、どちらでも視聴可能です。
■指導・解説:北本 真司(丸亀市立綾歌中学校男子バスケットボール部 監督)
■実技協力:丸亀市立綾歌中学校男子バスケットボール部
コンテンツの主な収録内容
【1】ルーティーン「トレーニング&ディフェンスドリル」
■股関節
その場 7種類/動きながら 5種類
■肩甲骨
その場 8種類/動きながら 6種類
■体幹 8種類
■ジャンプ 4種類
■ディフェンスドリル
1線 フットワーク/1線 ハンズワーク/1線 リバウンドドリル/2線 ディナイチェイスドリル/3線 ピストルスタンスドリル/シェルディフェンス/オールコート フットワーク/ローポスト1on1
【2】スパイラルオフェンス(1)「原則・基本パターン・バリエーション」
スパイラルオフェンスとは/アウトサイドプレーヤーへのパスエントリー/
ガードのドリブルエントリー/インサイドプレーヤーへのパスエントリー/
■3out・2inのバリエーション(5on0)/指導法
■4out・1inの原則/基本パターン
■4out・1inのバリエーション(5on0)/指導法
■5on5 試合のイメージ
3out・2in/4out・1in
↑今回紹介した内容はココ!
【3】スパイラルオフェンス(2)「ディフェンスの状況に応じたハンドオフプレー」
■アウトサイドプレーヤーにパスエントリーした場合
■インサイドプレーヤーにパスエントリーした場合
■速攻からのスパイラルオフェンス