公開:2020/07/31
更新:2021/02/18
京都市立紫野高校は京都府内でも屈指の進学校。勉強に割く時間が多いため、バスケ部として練習する時間は限られています。また、府内には留学生を要する全国大会常連の私学があり、大きな壁となっています。限られた環境、限られた戦力でいかに勝負をしていくのか。そのことを常に追求してきた吉田監督は、「細かく」「理論的で」「実戦を意識した」指導法でチームづくりを行ってこられました。
短い時間を活かすためのポイントが、一つひとつの練習が短く、たくさんのバリエーションを持たせていることです。約2時間半の練習で、30個ものメニューを組み、短時間で集中して1つ1つの練習を行うことで、効果的にスキルを身に付けることが可能になります。
吉田監督は「身体能力より、イメージできる力があるかどうかが重要だ」とおっしゃいます。
それは、個々の能力はチームでカバーできても、イメージができないとチームでカバーすることが難しいからです。
そのイメージする力を養うために、紫野高校の練習では、様々なシチュエーションを設定して、練習の中で経験を積めるように意識しされています。そして、できるだけ選手と会話する時間を作って、「あのときの〇〇は良かった。なぜ、その選択をしたのか?」「あのときの選択は〇〇だったけど、どうしたほうがよかったのか?」と考えさせる機会を作ることで、考える力・イメージする力を高める指導をされています。
紫野高校では、毎月目標設定シートを作成して、個人としてスキル、メンタルでどのようなことが課題なのかを確認しています。その中で、例えばメンタルに課題があるのであれば、具体的にどのようなときに、どのような考えになり、その後、どのようなミスになるのかを確認した上で、そうならないための考え方を整理するように指導されています。また、保護者にも協力を仰ぎ、学校や家庭内で選手をフォローできる体制を作りあげておられます。
そして、LINEを使った選手とのコミュニケーションを積極的に行い、YouTube等の自己啓発の動画や記事をグループラインで共有し、選手から感想をもらうという双方向でのやり取りを実践されています。こうした、環境づくりにより、常に刺激を与えることで選手のモチベーションを高めていくことが可能になるのです。
吉田監督は本当に勉強熱心で、バスケットボールの技術指導はもちろんのこと、どうすれば選手たちが成長できるのかということを常に考えて指導されている姿がとても印象的でした。これから、チームとしてより成長して、大きな舞台で活躍されることを楽しみにしております。
(取材:2020年)