ゲームの「みかた」~データと映像で切り取るチームの課題と試合のターニングポイント~

公開:2020/08/14

更新:2021/02/18

2019年3月に行われた「第18回おきなわカップ」。その決勝戦、福岡第一高校vs開志国際高校の試合を、東海大学シーガルスACの平良航大氏がアナリストの視点から解説。データと映像分析を通して見えてきた両チームの課題に迫ります。


得点の場面を中心に映像を分析

今回は、得点の場面を中心に、両チームのオフェンス面とディフェンス面の強さと課題について分析を行っていきます。なお、今回はあくまで「該当の1試合」を通しての分析のため、チームスタイルや両チームの指導者の考え方、チームでの約束事から外れた部分も出てくるかと思います。あくまで、「この試合」から見えてきた部分について話を進めていきますので、あらかじめご承知おきください。

さて、なぜ「得点の場面」を中心に分析を行ったのか。それは、強みと課題がわかりやすく表れるからです。試合の振り返りや分析をする際は、まず得点シーンから取り掛かると比較的やりやすいと思います。

試合の流れとスタッツ

今回の試合は、最終スコア70-68(1Q:23-16、2Q:13-15、3Q:11-17、4Q:23-20)で福岡第一高校勝利。終盤まで接戦となりましたが、福岡第一が4Q残り48秒に河村選手の3Pで逆転し、その後残り36秒にブロックからファストブレイクを決めて試合を決定付けました。

↑この試合のBOX SCORE

試合のボックススコアはご覧の通りです。それではここから、これらのデータと実際のプレーを振り返りながら、両チームの分析を行っていきます。

開志国際はターンオーバーの多さが致命傷に

まず、開志国際側の視点から分析をしていきます。スタッツからもわかるように、TOが19個、TO%が22%と非常に高い値になっています。FG%は福岡第一よりも高く攻撃の効率は良かったものの、TOが多く、TOからファストブレイクを出されての失点も10点(ファストブレイクでの失点は22点)と多かったのが敗因の一つと考えられます。

↑福岡第一の得点内訳:ファストブレイクが31%を占める

特に、映像にもあるように、「ポストフィード」をスティールされるシーンが多く、トランジションディフェンスも、マークマンの確認がうまく取れずに速攻を出されるシーンがありました。後半は、相手のトラップに対して、ボールを展開してオープンショットに繋げるなど、少し改善が見られましたが、前半にこのようなターンオーバーから失点を重ねたことが、敗因の一つだと考えられます。

ピック&ロールディフェンスでは間合いに注意

また、福岡第一が河村選手のピック&ロール(以下:PnR)中心に攻撃してきているのに対して、ボールマンとのスペースを取りすぎてジャンプショットを決められるシーンも目立ちました。これは、河村選手のドライブを警戒してのことだと推測されますが、何度かやられているシーンがあったので、試合中にアジャストして対応していかなければなりません。特に、終盤に連続で3Pを決められたシーンでは、1本決められたところで、次は強くボールマンにプレッシャーをかけることをチームとして共有しておきたかったところです。

PnRは最も守りにくい戦術の一つと言われます。チームで守り方の共通認識を持ったうえで、ゲームの中で柔軟に対応できるように、様々なオプションを持っておくことも重要になります。

>>> 福岡第一の課題とは?

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