バスケットボールの上達を阻んでいる要素に着目し、改善する Vol.3

公開:2020/10/16

更新:2020/10/27

ディフェンスで1歩めを素早く出すためには、何が必要なのでしょうか? ひとつのヒントがここにあります。この連載では、バスケットボールに必要な「正しい身体の使い方」を生み出すためのアプローチを紹介しています。取材をさせていただいたのは、バスケットボールを中心に、長年、多くのアスリートのトレーニング指導を手掛けてきた森川靖さん(有限会社ファーストステップ代表)です。

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改善エクササイズの実際─2

前回に引き続き、股関節のインナーンマッスルを活性化し、動きを改善していくためのエクササイズを紹介します。

●アブドミナルスクイズ・テールアップ→ロールアップ

アブドミナルスクイズ・テールアップ:インナーマッスルを使って下腹部を絞る動作を強調したエクササイズです。尾骨の先に「しっぽ」があると想定してください。仰向けに寝て膝を立てます。臍の下に手を添えて、少しずつ息を吐いていきます。すると臍の下が引っ込んでいきます。その状態から、「しっぽ」を股の間から上に向けるように動作してみてください。わずかな動きで構いません。お尻は床に着けたまま行います。次に、脚を伸ばした状態で同じ動作を数回行います。

ロールアップ:その次に、ロールアップというエクササイズに移行します。下腹部を絞り、「しっぽ」を上に向けたまま、つま先を手前に引きつけて、腕を前に伸ばし、上体を起こしていきます。この時、腹直筋にあまり力が入らないようにしてください。通常の腹筋運動(シットアップ)を行う時とは、使う筋肉が異なるということです。上体を起こしたら、背骨を1個ずつ床に着けていくつもりで、ゆっくりと戻していきます。その動作中も下腹部を絞って「しっぽ」を上に向け、つま先を手前に引きつけてたままにします。途中で止まると、下腹部に力が入っている状態を強く意識できます。上体が床に戻り、バンザイの姿勢に戻ったら、同じ動きを繰り返します。正確な動作を心がけ、数回繰り返します。

●キャットバック→エルボー・ニー・フロントブリッジ→エルボー・トゥ・フロントブリッジ(かかと戻し)

キャットバック:今度はうつ伏せ姿勢で、下腹部と「しっぽ」の動きに集中したエクササイズを行います。膝つきで四つん這いになり、下腹部に力を入れて「しっぽ」を巻き込む動きを繰り返します。上背部はできるだけ動かさないで下腹部の動きに集中します。

エルボー・ニー・フロントブリッジ:キャットバックを何回か繰り返してできるようになったら、「しっぽ」を巻き込んだ状態のまま、脚を伸ばします。股関節が伸びきる寸前で肘をついて、両肘・両膝の4点支持でフロントブリッジを行います。この時、できるだけ腹直筋を使わず、下腹部の筋肉だけで支えるように意識します。

エルボー・トゥ・フロントブリッジ(かかと戻し):下腹部だけで支える感覚がつかめたら、次に、膝を浮かせて肘とつま先でのフロント・ブリッジを行います。膝を浮かせるとき下腹部に力を入れてさらにしっぽを巻き込むと、かかとがわずかに後方に動いてきます(かかと戻し)。膝を伸ばしきってしまうと下腹部の力が抜けてしまいやすいので、軽く曲げたまま行います。

ニュートラル・パワーポジション

最後に、ディフェンスで1歩めを素早く出すための「ニュートラル・パワーポジション」について触れます。ディフェンスの構えとして良く言われるパワーポジションでありがちなのは、上体が前傾気味で脚に力が入ってしまう姿勢です。この姿勢だと、横に動こうとするときに脚が重たくて素早く動けません。一度片脚に体重を乗せてから、ヨイショという感じで反対方向へ体重移動するような形になります。これだと、相手の動きに素早く対応できません。

これに対して、ここまで説明したように下腹部に力を入れ、上体は前傾させずにお腹で身体を支える姿勢で構えることができれば、脚が軽くなり、1歩めを素早く出すことができます。自由に動ける姿勢という意味合いで、これをニュートラル・パワーポジションと呼んでいますが、これが普通にできるようになれば、バスケットボールのプレーが大きく変わってくるきっかけになります(動画参照)。


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森川 靖 Morikawa Yasushi

1963年東京都生まれ。筑波大学大学院でスポーツトレーニング理論を修めたのち、ストレングスコーチ業を開始。当初はウエイトトレーニングを中心に指導していたが、それだけではパフォーマンス改善に限界を感じ、大きく方針を転換。インナーマッスルのコンディショニングで動きを基礎から改善する「動きづくり」を主軸に小学生からプロ選手まで数多くのクライアントにトレーニング指導を行っている。

■森川氏の指導内容をさらに詳しく知りたい方は、下記をご参照ください。

【小冊子】

「スポーツパフォーマンスを高めたかったら“しっぽ”を動かしなさい」 有限会社ファーストステップ発行

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