重要なのは自己決定。大人はこれができているか?

公開:2021/07/30

更新:2021/08/26

今回、特集のメイン記事としてお届けしているメンタルコーチ・大儀見浩介氏お話からわかるのは、メンタルトレーニングは「思考と行動の習慣を変える」取り組みであることです。選手ばかりでなく、指導者にとっても必要なトレーニングだと感じる方も多いのではないでしょうか。保護者としてサッカーに関わる中でメンタルトレーニングと出会い、スポーツメンタリスタの講習も修了した藤塚洋さんに、体験談をうかがいました。

藤塚さん。メンタルトレーニングの勉強をして多くの発見があったという。

忖度が自己決定をうやむやにしている

藤塚さんは福井県在住の会社員。息子さんが小学生の時に所属していたサッカーチームで教えられ、自宅へ持ち帰ってきたトレーニング方法などについて、自分が全く知らなかったことで、逆に興味を持つようになった。そこで、体幹トレーニングとメンタルトレーニングの講習を受け、それぞれ修了して、現在は中学校の女子バレーボールチームのサポートスタッフとして、子どもたちの指導に携わっている。

メンタルトレーニングの勉強をして最も感じたのは、学べば学ぶほど、自分自身が成長できること。父親としても会社員としても、ここで学んだことがとても役立っている。藤塚さんが印象に残っている最大のキーワードは「自己決定」で、自分自身は年齢を重ねるほど、周囲の人々に合わせることを優先してしまう、言わば忖度が先に立ってしまって、自己決定がうやむやになっていることに気がついた。そうした大人の態度は、当然、子どもたちも見ていて、良くない見本になってしまっている。

まずは大きな目標(長期目標)を自己決定し、それに至る小さな目標(中期目標・短期目標)を設定して1つずつクリアして、成功体験を積み重ねていくプロセスが重要である、そうしたメンタルトレーニングの手法が、自らの成長のためにも大きく役立っている。

ポジティブ感情を醸成して楽しませる

現在関わっている中学の女子バレーボール部は、いつも地区大会1回戦負けのチームだった。いい試合はするのだけれど、拮抗した試合で常に負けてしまう。心の部分が弱いからではないかと、チームを指導している外部コーチから相談を受けたのがきっかけだった。部活動の特性もあって、うまくなりたい、勝ちたいという思いは選手間で温度差があり、当初は難しさを感じたが、顧問の先生やコーチとも相談しながら、いかに楽しませるかを考えた。

ベンチメンバーも含めて、選手それぞれの役割を意識させ、チームとしての一体感をつくりあげるやり方が成果を挙げ、地区大会優勝、県大会出場するところまで成長した。 バレーボールの試合会場では、昭和時代を引きずっているような高圧的な指導者が依然として多いのも感じつつ、藤塚さんは、メンタルトレーニングで重要とされるポジティブ感情の醸成というプロセスに、確かな手応えを感じている。

(2021年7月10日、オンラインにて取材)


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