公開：2022/08/19
U15年代で近年目覚ましい成績を残し、上のカテゴリーにも優秀な選手を多数輩出しているサザンギャルズ1031（栃木県）のアシスタントコーチ、増田れみ菜氏に、新チーム切り替え時のチームづくりについてインタビューしました。
お互いが個性を理解して活かし合う
──今回は主に、「チームの強味をどうつくるか」をテーマにお話をうかがいます。サザンギャルズ1031（以下、サザンギャルズと略）さんの場合、現在のチームの強みはどんなところですか？
増田：どのエリアからでも得点が期待できるところだと思います。ポスト、スリー、ドライブなど、各選手が自分の得意なプレーを認識していて、チームメイトもお互いの特徴を理解しつつ、それぞれの良いところを引き出すことができているのかな、と。
──すると、オールラウンダーというよりは、各選手の個性に応じて役割を分けている。
増田：今年のチームはその傾向が強いです。ポストプレーが得意とか、高さがあってバスケット下のシュートに長けている、スリーポイントシュートが上手い、身長が低くてドライブとパスが得意、といった個性が際立っていて、お互いに活かせている状態です。
昨年は、どちらかと言うとアウトサイドに強い選手が多かったので、全体としてオールラウンダー的な戦い方をしていました。ですから、バスケットのスタイルががらりと変わりました。スタイルが変わるとセットオフェンスも違ったものを取り入れることになるので、選手たちも楽しいようです。
──そうしたスタイルは、レギュラーメンバーだけでなく控え選手にも浸透させるのですか。
増田：はい。相手によってメンバーを入れ替える時もありますし、BチームのレベルアップがAチームのレベルを向上させると考えているので。
個性を活かすパターンを丁寧に作り上げる
──新チームへの切り替え時、プレースタイルはどのように決めていますか？
増田：まずは、各選手の良いところを見つけます。その上で、各々の特性を活かすパターンを、いろいろ試行錯誤しながら決めていきます。自チームのビデオ、女子日本代表や高校強豪チームのビデオなどをいろいろ見て、今のチームに合ったセットオフェンスを一つずつ、つくり上げていきます。ただ、選手たちが混乱しないように旧チームの動きをベースとしながら、という配慮もします。中学生ですので。
──キープレーヤーは毎年決めていますか？
増田：やはりガードですね。オフェンスの入口となる大切な部分であり、ここが中心になるのは毎年変わらないです。周りに指示を出したりするのが苦手なタイプもいますが、上級生になるにしたがい、リーダーシップが出てくる例は過去に何人も見てきました。役割を与えると、大きく成長してくれるのが中学生年代ではないかと。
──新チームへの切り替え時、毎年変わらず強調することは？
増田：切り替え時にいつも気づくのは、声が小さくなることです。相手の呼びかけ、問いかけに対してしっかり反応することがコミュニケーションを円滑にしますし、ゲーム中の連携を強化させます。ですから切り替えのタイミングで、声出しの大切さを説くことが多いですね、大人への対応も含めて。
ディフェンスを面白いと思ってもらうために
──プレー面では？
増田：基本的なディフェンスの大切さ。ボールを簡単に取られないこと。これらが徹底していることで、負けないチームになっていくと思います。地味なプレーをしっかりやること。
ディフェンスやリバウンドがしっかりできたら褒める、などは意識してやるようにしています。また、ボールを持ったら自分で行きたくなってしまう子もいるので、パスの大切さ、面白さも伝えるように心がけています。
──ディフェンスの面白さを中学生に理解させるのは難しいと思います。
増田：相手に抜かれがちな選手は、苦手意識があってディフェンス練習に積極的になれません。そういう子に対しては、ポジショニングの大切さをまずは教えて、実際に守れた時に「ナイスディフェンス！」と声をかけてあげて、その経験をステップに成長できるように促します。すると、少しずつディフェンスの面白さもわかるようになります。1対1がどうしても苦手な子の場合は、2線、3線のポジショニングを褒めてあげると、カバーリングがとても良くなったりします。このようなプロセスでディフェンスの苦手意識がなくなって、楽しいと思ってもらえる傾向はあります。
ディフェンスの精度が高ければ負けない、ディフェンスをしっかりやったところからオフェンスが始まるんだよ、とはいつも言っていることですが、新チーム切り替え時には特に強調しています。
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