低学年や初心者が試合に多く出なければならない場合、どのように戦えばいいのか難しくて困っています。

公開:2023/03/24

更新:2023/04/04

今回はミニバス指導者からの質問です。人数が少なく、同じような状況で戦わなければならないチームも少なくないと思います。ベテランのミニバス指導者で、全国大会への出場経験もある原田久志氏に回答をお願いしました。

質問投稿者:R.T.様(男子ミニバス指導者)

回答者:原田久志(佐賀市クラブチームSwaggers & Happiness)


質問

低学年や初心者が試合に多く出なければならない場合、どのように戦えばいいのか難しくて困っています。高学年中心ではあるのですが、そこに低学年も複数人試合に出るため、 そういう子達をどのように試合に関わらせていけばいいのか、悩んでいます


回答

戦い方について、私が常々考えているのはどうやって勝つかということです。私は勝ちには2種類あると思っています。

一つめに試合(相手)に勝つこと。二つ目は自分(自分達)に勝つこと。試合に勝つというのは自分達の力だけではなく、相手の力依存されることがあります。勝ったから努力が肯定されるわけでもなく、負けたら努力が否定されるわけでもありません。

大切なのは成長にフォーカスを当てることです。ですので試合に負けても成長を感じられたのならそれは勝ちと言っても差し支えないでしょう。そんな時は子供達に「負けたのではなく、勝つ途中だ」と伝えるようにしています。

本題の低学年を含めた戦い方についてお話しさせていただきます。

まず私は低学年が多いからという理由で戦い方を決めることはありません。どういうバスケットを展開すればより多くの成長が遂げられるかという視点を大切にします。そうなるとやはり原理原則に則った指導や練習の積み重ねが必要であり、自然と戦い方として育っていくというイメージです。

今のチームは「空間支配」をテーマに指導しており、原田茂先生(元女子日本代表、ユニバ代表監督)が提唱するフィギュアエイト という理論を参考にしています。約束事と相手ディフェンスの動き方を鑑みて攻め方を変えることが大きな特徴です。

私のチームでは、低学年でもいつ、どこで、どのようにしてボールを繋ぎ展開するのかということは高学年と同じように指導していきます。

一人のボールマンに対して様々な選択肢が存在することを理解して、その時々に判断していくことを求めています。もちろん高学年に比べると技術も判断力も拙いものですが、低学年の成長は意外にも早いものです。

出来ないことが出来るようになっていく、技術や判断力が日々向上していく、これこそが私が求めている自分に勝つの一例です。

そういったことを積み重ねていくと、例えばエース同士の闘いが互角もしくは劣勢だとしても6〜10番目の選手同士の戦いでアドバンテージが取れるようになり、チームとしての総合力で試合に勝つことが増えてくると思います。

私は戦い方を模索するよりも先に自分の理想のバスケットスタイルを追求していくことが大切だと思います。悩みの多いコーチに共通しているのは自分がどんなバスケットをやりたいのか、自分がどうしたいのかが明確になっていないことだと感じています。

そういった意味では私は非常に恵まれていました。九州には素晴らしい先人がたくさんいらっしゃっいます。戸畑(福岡)の宮武先生、豊府(大分)の石川先生、レッドミラクルズ(福岡)の一ノ瀬先生、BEAT(福岡)の田中先生、ジムラッツ(福岡)の自見先生、豊陽jr(大分)の伊藤先生、MJ(山口)の高山先生、志免W(福岡)の寺田先生、志佐(長崎)の黒川先生、など挙げればキリがないのですが、多くの先人達が私を導いてくれました。同世代にも素晴らしいコーチはたくさんいます。そういった方々から多くの影響を受け、切磋琢磨しながら私も自分の理想を徐々に形にしている最中です。

戦い方を悩まれるということはまだ自分の理想が具体化されていないからだと思います。自分の理想があるからそれを実現させるための方法や戦い方が少しずつ構築されていくのではないでしょうか。そのための学ぶ姿勢、理想を追い続ける行動力、この2つが不可欠です。

質問の回答としては若干ズレたようにも思われますが、少しでも参考になれば幸いです。

 

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