脱水症を疑うべき症状と見分けるサイン  

公開:2023/06/16

更新:2024/12/18

熱中症に気をつけるべき季節になりました。熱中症の初期症状が脱水症です。子どもたちがどのような状態になったら、脱水症を疑うべきなのでしょうか。そして、スポーツ現場で簡単にできるチェック法や予防法は? ジャパンライムコンテンツ「学校現場でできる!子どもに対する正しい脱水症・熱中症の予防法と対処法」から抜粋して紹介します。


以下は、本コンテンツの指導・解説者である谷口英喜氏(医師 済生会横浜市東部病院 患者支援センター長・栄養部部長/教えて!かくれ脱水委員会副委員長)の話からの抜粋です。

子どもが脱水症になりやすい理由は?

成長期は新陳代謝が激しいので、水を使う。体重当たりの不感蒸泄(汗以外の形で失われる水分)が大人に比べて多い。また、汗をかく機能や腎臓の機能が未熟で水分を保持しにくい身体である。子どもたちは常に水を必要としている(図1)。

図1 子どもが脱水症になりやすい理由

水分の多い臓器が影響を受ける

脱水症により不調が起こるのは、身体の中でも水分含有量の多い臓器である脳・消火器・筋肉。これらの臓器は、自身に水分が90%以上保持されていないと十分に機能しない。だから脱水症になると、図2のような症状が出る。

図2 脱水症でダメージを受けやすい臓器

脱水を見分けるサイン

誰でもできる簡単な方法がいくつかある。一つめは握手。脱水になると末端の血流が減少するため、手が冷たくなる。握手をしてみて、手が冷たい場合は脱水症を疑う。特に子どもは手が温かいのが普通なので、冷たくなっていたら要注意だ。

二つめは、爪を押す。に爪を押すと白くなる。次に指を離してピンク色に戻るまでの時間をみる(図3)。2秒以内なら正常だが、3秒以上かかる場合は脱水症が疑われる。

図3 爪を押すチェック法

三つめは、手の甲の皮膚をつまむ。つまんで指を離す(図4)。水分不足の場合は、戻るまでに秒以上かかる。

図4 皮膚をつまむチェック法

食事からの水分補給を忘れずに

脱水症の予防には運動時の水分補給・塩分補給も重要だが、一番大切なのは3食しっかり摂ること。食事を摂ることにより、必要な水分量を確保できる。朝食を一食抜くだけで、500mlのペットボトル1本分の水分が不足してしまう(図5)。朝食を抜いて登校したり運動したりするのは、それだけで脱水症発生のリスクが高まる。

図5 朝食を抜くだけで500mlの水分が不足する

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■熱中症対策オンラインセミナーのご案内

上記コンテンツで指導・解説を行っている谷口医師によるオンラインセミナーが、7月8日(土)に開催されます。養護教諭向けですが、スポーツ指導者はもちろん、学校全体で参考にしていただける内容です。今回は、

・日常を取り戻しつつある今だからこそ、「現場でできること」「生徒に伝えておくべきこと」

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コンテンツの主な収録内容

■Session1 「体液」について正しく知る ~子どもはなぜ脱水症になりやすいのか~ 

脱水症を知るうえで重要な「体液」の働きと、「不感蒸泄」について学んでいきます。正しい知識を身につけることが脱水症予防の第一歩になります。

■Session2 脱水症の発見・予防・治療について知る ~脱水症を疑うことから始めよう~

「脱水症」について解説していきます。まず、どのような症状なのかを学ぶことで、脱水症の発見や予防にもつながります。さらに重要なことが、「脱水症を疑う」ということです。ここでは、簡単に脱水症のチェックができる方法や、予防と治療の違い、そしてただしい予防方法について段階を踏んで紹介していきます。

■Session3 脱水症治療に必要な水分補給 ~経口補水療法について学ぶ~

脱水症の治療について学んでいきます。経口補水液の役割と、経口補水療法の重要性について詳しく解説。経口補水液の作り方とその注意点についても、実演を交えながら詳しく説明していきます。脱水症の症状と治療法を正しく理解することで、慌てることなく対応することが可能になります。

■Session4 熱中症を知る ~発症のメカニズムと症状を学ぶ~

熱中症について解説していきます。熱中症のメカニズムと重症度のチェック方法について紹介。また、熱中症予防には、「暑熱環境の回避」と「脱水症の予防」が不可欠です。ここでは、その予防のポイントについても詳しく解説をしていきます。学校でどこまで見て良いのか、どういうときに救急車を呼ぶべきかについても言及します。

■Session5 熱中症の予防法と対処法 ~現場での対応を学ぶ~

熱中症の予防法と対象法を演習形式で学んでいきます。熱中症対策として有効な7つ道具の紹介や、実際に熱中症で倒れた生徒に対する処置の仕方を、実演を交えて紹介していきます。学校現場で正しい処置をすることが、生徒の命を守ることに繋がります。

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