無駄を省く、本当に使えるデータ分析法〈白鴎大学男子バスケットボール部〉 

公開:2023/08/01

更新:2023/08/07

JLCオンデマンドで順次公開されている「白鴎大学・網野友雄 1シーズンのマネジメントとコーチング」の内容から、注目部分を紹介しています。今回は、8月1日より配信開始されたシリーズ第3弾「分析の考え方と実際」からの抜粋です。スタッツや映像分析を行う際は、膨大なデータから何を抽出し、どう整理して選手に伝えるか、が重要になります。白鴎大学のメソッドは、効率のよいデータ運用を考えるきっかけを与えてくれます。


相手の対策と自チームのやりたいこと、どちらを優先するか?

映像分析と、そこからプレーへの落とし込みを行う際、次の2つのどちらを優先するかで、実行する内容が大きく変わってくる。

①相手の対策を徹底する

②自チームのやりたいこと

白鴎大学では、①は最低限とし、②に重点を置く方針を取っている。大学チームはプロとは違い、同じチームと何度も対戦するわけではないので、①に時間と労力を割くのは必ずしも得策ではない、との考え方に立脚している。対戦相手が変わる場合でも、それぞれの共通点を見つけ出して最低限の準備をする(図1)。

図1

スカウティングの視点

白鴎大学では、スカウティングシートの作成は学生コーチが行う。手順としては、①ボックススタッツからデータを紐解き、②映像を確認して現象をチェックする作業。相手のオフェンスシステム、ディフェンスシステム、さらには終了間際のスペシャルプレーなどに対して、自チームとしてどのように臨むか、対策を立てる。マッチアップマンを決める際も、相手チームの分析結果を活かす。単純にポジションでマッチアップを決めるのではなく、選手同士の相性も考慮しながら決める(図2)。

図2

アジャストチームの役割

試合に向けての準備でとても重視しているのが、アジャストチームの設定と練習だ。対戦相手の傾向が分析できたら、チーム内で相手を模したアジャストチームをつくり、相手のセットプレーを覚えて自チームとの対戦形式で練習を行う。

これの趣旨は、映像を見るだけでなく、実戦練習に落とし込むことで、対戦相手へ対策をより実効あるものにするためだ(図3)。

図3

試合直前のミーティング

ホワイトボードを使い、最終確認をする。ここで重要なのは話をシンプルにすることで、ディフェンス、オフェンスそれぞれのキーポイントを3つに絞って提示し、さらにチーム全体として、この試合で最も意識してほしい点を簡単なワードで示す。例としては「ハードワーク」「ステイストロング」など(図4)。

図4

試合中のデータ運用

過去のデータから現状分析して、選手に説得力のある指示を出す。これにより、選手の不安を取り除くことができる。例としては、あるシーズンのリーグ戦平均失点が61.1点だったとすると、1クォーターあたり15失点のペースになる。試合開始後5分を過ぎたところで7~8点の失点であればディフェンスの強度が十分に保たれていると判断できるので、「このペースで行こう」、失点がこれより多い場合は、ディフェンスの強度を上げるよう指示を出す。

本編では、上記のような実例を示しながら、データ分析と運用法について網野氏が詳しく解説しています。

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白鴎大学・網野友雄 1シーズンの「マネジメント」と「コーチング」

<X320-1>チームを始めるにあたって(スタートアップミーティング) 公開済み

網野コーチは、新チーム立ち上げの際、必ずミーティングからスタートします。チームの「目標」「ルール」などを共有し、最終的に「組織図作成」、「キャプテン決め」を行います。ここでは時間をかけて行ってきたという実際の内容を具体的に解説。「いよいよ始まるぞ!」という意識づけをするためのヒントがここにあります。

【X320-1A】男子バスケットボール部の理念/目標【7分52秒】 

【X320-1B】チームルール/スローガン【9分59秒】

【X320-1C】キャプテンの選出/リーダー制の導入【8分10秒】

<X320-2>チーム創りについて(原理原則) 公開済み

ここではオンコートを中心としたチーム創りについて解説します。まずは「バスケットボールを本当に理解しているか」を確認するところからスタート。そしてディフェンス、オフェンスそれぞれにおけるチームの原則と、その落とし込み方を紹介。バスケットボールの本質を選手に問いかけながら一緒に考えていく過程に注目です。

【X320-2A】バスケットボールの原理原則【8分00秒】

【X320-2B】ディフェンスの原理原則【14分06秒】

【X320-2C】オフェンスの原理原則①【14分44秒】

【X320-2D】オフェンスの原理原則②【16分45秒】

<X320-3>分析の考え方と実際 2023年8月1日より公開中 ←今回紹介した内容はココ

実際に行っている「分析」と「コーチングへのつなげ方」を解説します。対戦相手のスタイル、または選手の特徴をどのように露わにするか。そしてそのデータをどのように練習からチームに落とし込み試合を迎えるか。さらには試合中やハーフタイム、試合後における分析データの活かし方まで、超実践的な内容となっています。

【X320-3A】試合前の分析と対策【14分14秒】

【X320-3B】試合当日の分析とコーチング【12分18秒】

<X320-4>ゲームを見る視点とコーチング 2023年9月公開予定

ここでは実際の試合映像を確認しながら、「自チームのゲームプラン」や「相手チームへの対策」について解説します。まずディフェンス、オフェンスそれぞれのゲームプランを挙げ、選手たちがそのプランを遂行できているか、できていない場合どこが課題になっているかを解説。コーチとしてゲームを見る視点を養うことができます。

【X320-4A】第1クォーター【38分33秒】

【X320-4B】第2クォーター【27分12秒】

【X320-4C】第3クォーター【27分09秒】

【X320-4D】第4クォーター【30分41秒】

<X320-5>タイムアウトの考え方と実際 2023年10月公開予定

タイムアウトをとる「タイミング」と「狙い」について解説します。タイミングや伝える内容にはバリエーションがあります。ここでは、状況によって使い分けられるようにそれぞれの狙いを解説。また実際のゲームの試合経過を振り返りながら、タイムアウトをとった状況と狙いを紹介していただきました。明日からでも使えるわかりやすい内容となっています。

【X320-5A】タイミングと狙い【14分15秒】

【X320-5B】タイムアウトの実際【20分32秒】

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