公開:2024/03/15
更新:2024/12/18
2023ウインターカップを4年ぶりに制した福岡第一は、運動量豊富な速いバスケットが伝統的なチームカラーですが、その年の陣容によって、当然ながら戦い方は微妙に異なります。2021年、コロナ禍のこの年に、不足していたセンターの機動力をどのように補ったのか? 3月からオンデマンド配信を開始したコンテンツ「チームビルド2021 福一」から、その戦術の一部を紹介します。
ガードに得点させるピックアンドロール
強力なセンタープレーヤー(ビッグマン)がピック&ロールを仕掛けてペイントエリアに侵入し、アウトサイドからパスをもらって得点する(図1)。これが、オフェンス基本戦術の一つであったが、この年はコロナ禍の影響もあり、センタープレーヤーの強化が不十分であった。そのため、バスケット下にダイブしたセンターが相手ディフェンスを振り切って得点するだけの力が不足していた。
それを補うためにとった戦術が、ボールをダイブしたセンターに入れずに、ガードが中距離のジャンプショットを狙うというもの。ピックを仕掛けたセンターがインサイドにロールし、相手センターをブロックしてブロックショットに行かせないようにすることがポイントになる(図2)。
ミドルピックに対してセンターは出ていかない
ディフェンス面でも、ピック&ロールに対する守り方が、この年は例年とは違った。福岡第一では、通常、ミドルピックを仕掛けられた場合はショウディフェンスを基本としているが、この年はアイスで対応した。センターの負担を減らし、ボールマンのレイアップにしっかり対応することが目的だ(図3)。
ボールマンは、まずは3Pを狙ってくるので、ボールマンディフェンスはファイトオーバーで懸命に守り、3Pを打たせないようにする。すると、ドライブが起こる。このドライブに対しては、コーナーのディフェンスがヘルプして激しく守り、少なくとも、ロングツー(ジャンプショット)は打たせない(図4)。
残りのディフェンスは、素早くローテーションしてボールサイドを守る(図5)。相手に能力の高いガードがいて、サイズのあるセンターがピック&ロールを仕掛けてきた場合、有効なディフェンス戦術となる。
「チームビルド2021 福一」では、オフェンス、ディフェンスともにセンターに頼るだけではなく、ガードを中心としたアウトサイド陣がアグレッシブに躍動する戦い方に変化させ、進化をとげた2021年度の福岡第一について、井手口監督が余すところなく解説しています。新年度のチーム作りを進める参考として、ぜひ活用ください。
〈作品情報〉
「チームビルド2021 福一」
■指導・解説:井手口 孝(福岡第一高等学校男子バスケットボール部 顧問)
■実技協力:福岡第一高等学校男子バスケットボール部
【解説編】1年間の取り組み&戦術 配信中
①インタビュー 「限られた環境でのチームビルド」
チーム立ち上げ期は試合ができず、自分たちの力を把握するのに時間がかかった2021年度。練習を行えない状況も重なり、戦い方を変化させざるをえないなか、さらなる進化をとげるために井手口監督が取り組んだチームづくりを紹介します。
②戦術ボード解説 「アウトサイドに重点をおく」
従来はセンターにもガードのような運動量を求めてきた井手口監督。しかし2021年度はオフェンス、ディフェンスともにセンターに頼るだけではなく、ガードを中心としたアウトサイド陣がアグレッシブに躍動する戦い方に変化させ、進化をとげました。
【実践編】練習と指導法 ※4月より配信開始
「センターがアウトサイドを活かす」
ピック&ロールではセンターがダイブせず、ゴール下で相手をブロックし、ボールマンに点を取らせる。 ディフェンスリバウンドではセンターがボックスアウトし、ガードがボールをとる。このようにアウトサイドを活かす、センターの負担を減らす、という観点を持ち、具体的なシチュエーションをつくりながら取り組む練習を紹介します。