河村勇輝 PGの域を超えた高校時代

公開:2024/10/18

NBAへの挑戦が連日報道される河村勇輝選手を高校時代に指導した福岡第一高校の井手口HCは、河村選手が、同校の歴代ガードの中でもチームを勝たせる能力に関しては突出した存在だったと語っています。では、特にどんな点が異質だったのか。JLCオンデマンド限定コンテンツとして配信中の「歴代選手の系譜から紐解く!福岡第一 ガード育成」から、関連部分を抜粋します。そこには、ガード育成の理想像が見えてきます。

ゲーム状況によるプレー選択

ゲームの状況を見ながら、自分が積極的にアタックしてポイントを稼ぐ時間帯と、味方に点を取らせて自分は少し休んでいい時間帯を的確に見極め、ゲームをコントロールする。そんな術を、“高校入学の時点で”すでに身につけていた様子が見受けられた。

高校時代、全国レベルで戦う中でそのゲームメイキング能力はさらに磨かれ、高校1年の終わりぐらいには、井手口氏が過去に出会ったことのないような能力を示し始めていた。

チームを勝たせるマネジメント力

個人の創造性という点では、他も優秀なガードは存在したが、ゲーム全体を俯瞰的に見て、チームを勝たせることができる。それが河村選手の特に優れた点だという。そのゲームのその時間帯、特定の選手にシュートを決めさせるとチームに勢いがつくとか、ここでセンターが1本決めてくれると明日の試合につながる、とか。そのような、ヘッドコーチ的な思考をコート上で行っているように、井手口氏には見えた。

自分のプレーだけでなく、周りのプレーヤーをどう活かすかを考えてプレーするのがガードに求められる資質であり、時には翌日以降の試合のことも考えながらプレーする。コーチ陣の想像を超えるレベルでそれを体現できていたのが河村選手であった。

ディフェンスを引きつけて周りを活かす

河村選手が在籍していた当時の福岡第一高校で収録した作品、「質の高いブレイクを生み出すガードの育成! 福岡第一が追求するスキルと駆け引き」には、河村選手自身が練習時にどんなことに気をつけているか、本人の貴重なコメントも収められている。

たとえばフルコートを使った3メン→2on1ブレイクの練習(図1)。復路の2対1でのフィニッシュ精度を高めるためには、ラストパスのタイミングが重要になる。つまり、ディフェンスを十分に引きつけた上で、パスを出す。河村選手はこの練習で意識しているポイントとして、「ディフェンスの動きを見る」ことを挙げている(図2)。どのタイミングが最適なのか、常に考えながらプレーしている様子がうかがえる。

図1 3メン→2on1ブレイク
図2 ドリルで意識しているポイントについて語る河村選手

才能豊かなプレーヤーが、高校時代にどのようにしてその才能に磨きをかけていったか、それを垣間見ることができます。ガード育成のヒントが詰まったこれらの作品は一見の価値ありです。

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