公開:2025/01/24
更新:2025/01/23
恩塚亨氏がホストを務め、いろいろな指導者と語り合う対談企画が、JLCオンデマンドで展開中です。1月24日から配信スタートした第2弾は、女子チームとしては日本最大級の会員数を持つミニバスチーム、深沢ラビッツ(東京都世田谷区)の近藤篤正アシスタントコーチがゲストです。多くの子どもたちが集まってくる、このチームの魅力とは何なのか?
ファーストコーチとしての役割
恩塚:近藤さんのチームには何度か招いていただき、指導もさせていただきましたが、選手も指導者も、とても円満で良い雰囲気のチームだなあ、という印象が強かったです。その雰囲気は、運営側のコンセプトが反映しているということでしょうか?
近藤:楽しく、笑顔で、でも強い。を目指して運営しています。ミニバスは、それぞれの子どもが最初にバスケットボールを体験する場です。ミニバスのコーチが、その子にとってファーストコーチになる。そこで私たちが接し方を間違ってしまうと、その子は一生バスケットに戻ってこないだろうと思います。
だからミニバスのコーチは、バスケットを普及させるとか、競技レベルを上げるためには、とても重要なポジションにいる。体験に来たときにつまらない練習ばかりやっていて、それ以来、その子がバスケットから離れてしまったら、一人のバスケファンを失うことにもなりかねない。私自身、常にそう考えながらコートに立っています。
恩塚:ファーストコーチとしての責任を背負っていらっしゃるのは素敵です。そういうコーチが増えたらいいなと思います。先日、元Jリーガーの方の娘さんがバスケットを始めたくて、あるミニバスチームに入ったのだけれど、コーチが恐すぎてやめてしまった、と聞きました。
近藤:それぞれのチームにカラーがあって、厳しく指導して強くなっていくチームもあります。そのやり方に共感して子どもを預ける保護者さんもいるでしょうし、とにかく楽しく、遊びの延長で、というチームが好みで、そちらを選択する保護者さんもいると思います。
ただ、子ども自身が選択肢をリストアップすることは通常ありません。昨今の流行りの言葉で言うと、「チームガチャ」。ガチャではずれを引いてしまったら、その子はとてもかわいそうです。
大人も夢中にさせる環境
近藤:私たちのチームに人が集まってくる要因は2つあると思っています。1つめは多様性。深沢ラビッツには、練習拠点としている深沢小学校だけでなく、近隣、また少し離れた所から、いろんな小学校から子どもたちが集まってきます。それがホームページを見てもよくわかるようになっています。誰に対しても開かれている、というメッセージがよく伝わっているので、「ここなら受け入れてもらえる」と安心感を持っていただいていると感じています。
もう1つの要因は、大人をうまく巻き込んでいることです。子どもだけでなく、大人も夢中にさせることが上手なチームだな、と私自身10年近く関わってきて感じているところです。
恩塚:大人をうまく巻き込むコツって何ですか? また、巻き込むメリットは?
近藤:私自身は娘がこのチームにお世話になっているときに、ヘッドコーチから声を掛けられ、いつしか深く関わるようになったのですが、コーチングだけでなく、いろんな親御さんが、各人の得意分野を活かしてチームに関わっているんです。たとえばデザイナーをされている方がチームのマスコットキャラクターを創ったり、接骨院を経営されているお父さんがトレーナー的に活動してくれたりとか。
あるいは写真を撮るのが好きなお母さんが試合の写真を撮るようになって、これがどんどん上達してプレー写真が皆に喜ばれるようになった。バスケは動きが早くてスマホでは良い写真がなかなか撮れません。そんななかで一生の宝になるような写真を撮ってもらえると、親御さんは皆さん喜びます。
それぞれの得意分野を活かして関わることで、チームがいろんな局面で盛り上がる、そんな光景をたくさん見てきました。親が楽しそうにしていると、子どもも楽しくなる。ラビッツの母と呼ばれている石川ヘッドコーチが、そんな巻き込み方をするのがとても上手な人で、このチームの活気を生み出しています。
恩塚:保護者それぞれが強みを活かしてやり甲斐を持ち、子どもたちがその恩恵を受けていく。素敵ですね。
話はこのあと、チームマネジメントの詳細へと展開していきます。大人数ゆえの課題もあり、それらにどう対処しているか、といった話題も。クラブチームの指導者が日常的に直面する運営上の課題に対するヒント満載の対談。ぜひご覧ください。
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