公開:2025/10/31
更新:2025/10/29

オンデマンド限定作品の恩塚亨クリニックシリーズ「慶誠」から、今回はピック&ロールで確実に勝つ方法を取り上げた場面を抜粋します。慶誠高校でのクリニックに際し、恩塚氏は同チームの課題の一つとして、ピック&ロールで相手をはがせていないのに強引に攻めてしまう点を指摘し、この部分の改善を目指しました。
作品全体を通して、恩塚氏は相手に勝てる状況をしっかり作ってから攻めることの重要性を説いている。ピック&ロールも、その原則にしたがってプレー解説とドリルが展開していく。
ボールマンは逆振りで相手を遠ざける
シチュエーションは2対2のピック&ロールを仕掛ける局面。相手に勝つ、つまりピック&ロールを成功させて相手を確実にはがす。確率の高いシュートチャンスをつくるためにハンドラーとスクリナーそれぞれが留意すべきポイントがいくつかある。これらは、戦術としてピック&ロールを使っていたとしても、疎かになりがちな部分だ。
ハンドラーが最初にすべきアクションは、パスキャッチした瞬間に“逆振り”することだ(図1)。

スクリーンの反対サイドに自分の身体を振って、ディフェンスの足をスクリナーとは反対側に1歩踏み出させる。これによって、ディフェンスはスクリーンサイドを守るのが困難になる。スクリナーを回り込むために2歩要することになるためだ。この状態を作れば、ボールマンは楽に勝てる(図2)。

スクリナーは相手の踵につま先をつける
次にスクリーナーのやるべきこと。スクリナーは、ボールマンディフェンスの足をめがけて接近する。そして、ボールマンを行かせたい方向に背中を向けてスクリーンをセットする。
ハンドラーのドリブル方向に抜けて追っていこうとするディフェンスに対しては、相手の踵に自分のつま先を接触させて身体を当てにいく。こうすると相手は足を後ろに引けず、スクリナーの裏から抜けられない。またよりタイトな状態になり、前からも抜けにくくなる(図3)。

マイマンの位置を見る
スクリナーはさらに、スクリーンセットしたらマイマンを見る(図4)。マイマンがステップアップして自分に近い位置にいたら、ハンドラーがスクリーンアウトした瞬間に、すばやく反転して相手の裏を取る。そのまま直線的にバスケット下に走り込みながらボールを呼ぶ(図5)。そしてレイアップシュート。


相手がもしドロップしていたら、コーナー方向に回り込んでマイマンとの距離を広げ、ゴール下にダイブする。この場合もジャンプシュートではなく、パッサーと呼吸を合わせて、確率の高いレイアップシュートを狙う。
ありがちな失敗は、相手がドロップしている方向に走り込んでしまい、パスをもらうスペースがなくなってしまうパターン。これを避けるために、相手の位置を必ず見てから、走る方向を瞬時に選択する。
作品には、これらのポイントを押さえながら2対2でドリルを行い、ピック&ロールの精度を上げていく様子が収録されている。
