どんな状況下でもアドバンテージをつくる。第2第3の選択肢を持てる練習を

公開:2021/05/21

更新:2021/07/02

北陸学院高校男子バスケットボール部 濱屋史篤ヘッドコーチ 

ジャパンライムのオンデマンドコンテンツ「次世代コーチのドリル」シリーズでご登場いただいている若手指導者の方々に、この映像の中で強調している内容を中心にインタビューする企画です。今回は、石川県・北陸学院高校男子バスケットボール部の濱屋史篤先生にうかがいました。


──「次世代コーチのドリル」シリーズの動画では全体テーマとして「ゲームクロック・マネジメント」を挙げ、前半ではアドバンテージをいかにして作るか、後半ではゲームで起こり得る特定の時間的シチュエーションを設定しての練習、これらが主な内容でした。これらをテーマに選んだ趣旨について、まずはお聞かせいただけますでしょうか。

動画の冒頭の部分で、戦略と戦術についてお話ししています。ざっくりと言えば、戦略は地図上のゴール地点へ向かう(中長期的な)シナリオ、戦術はそのシナリオを遂行するための具体的な手段と考えています。これを明確に定めることがまずは大切です。そして、どうすれば効率よく目的地に到達できるかを考えた時に、相手に対してアドバンテージをつくることが、戦術的には非常に重要になってきます。アドバンテージを構成する要素を選手たちが明確に理解し、ゲームの中でそれを創出するプレーを駆使できることを狙いとしています。

後半はゲーム中の時間的シチュエーション(例:残り48秒、1分といった具体的なケース)を想定したオフェンスの組み立て方を紹介しています。この動画を撮影した2年前ごろは、日本ではアンダーカテゴリーの選手たちにこうした戦術を指導することはあまり一般的ではありませんでした。卒業後に上のカテゴリーでプレーすることを前提に、高校生レベルであればこうした戦術をも選択肢として使えるべきである、との私自身の考え方が根底にあります。最近では、他の指導者の方々にもこの考え方が広がっているような印象です。

──アドバンテージをつくる要素の中で、特に重視しているものはありますか?

全てです。ゲームの中で、どんな状況下でもアドバンテージをつくりたいと思っています。うちのチームは全国大会レベルで言えば留学生がいないので高さが足りないですが、1番2番のポジションであればミスマッチをつくることができる、といった考え方です。相手も対応はしてきますので、相手の出方に応じて第2第3の選択肢を持てるような、課題解決型の練習を常に行っています。

──選手にとっては、頭も使う負荷の大きな練習になりますね。

はい。ハードワークがベースにあり、頭を使って賢くプレーするという部分を大切にしています。

──動画の後半で触れている、時間的シチュエーションを想定したオフェンスですが、これを重視している意図をもう少し詳しくお聞かせいただけますか。

EOQ(End of Quarter)、あるいはEOG(End of Game)と呼ばれますが、どう終わるか、がバスケットボールではとても重要です。EOQで1回ずつ多くポゼッションを獲得できれば、1試合で4回、得点で言えば最大12点のチャンスがあるわけです。高校生、特に男子の場合は身体的に著しく成長する時期ですから、フィジカルの強さで戦えてしまうため、こうした戦術的な部分にはあまり光が当てられない傾向があると思います。私自身NBAやユーロリーグを見ていて、「時間の使い方」に多くの発見があり、日本の高校チームでこの要素が十分に取り入れられていないと、以前から感じていました。

一般的に選手たちも、ディフェンスリバウンドを獲得したら即ファストブレイクという習慣が染み付いています。時間帯によってはファストブレイクしないほうがいい、という選択肢を教え、上のカテゴリーに行って、よりスマートなバスケットボールができるように指導しています。

──北陸学院さんが戦術的に高い評価を受けているのは、そうした背景があるのですね。

はい、その部分を評価していただけるのはありがたいですが、先ほども言いましたように、ベースにはハードワークがあり、またファンダメンタルの練習もかなりやり込んでいます。基礎が十分に構築された上で戦術が活きてくるわけであり、地道なファンダメンタルへの取り組みが北陸学院のバスケットボールを支えていると思っています。

──時期にもよると思いますが、ファンダメンタルと戦術系練習の構成比はどんな感じですか?

ファンダメンタルが30%、テーマごとの分解練習が30%、残りの40%がゲーム形式の戦術練習。こんな割合だと思います。戦術練習では、与えられた課題に対して、相手の出方に応じて第2第3の選択肢を繰り出し、最後まで攻め切ることを目標にします。戦術練習はアシスタントコーチやサポートメンバーが録画し、すぐに動画サイトにアップされるので選手たちはその日のうちに確認するのが日課になっています。

──話は変わりますが、日本バスケットボール協会の公認資格をいくつか取得されていますね。

A級コーチと、アンダーカテゴリーの指導に特化したジュニアエキスパートのライセンスも取得しました。今年度は、おそらく高校の指導者では初となるS級ライセンスにもチャレンジするつもりです。純粋に、バスケットを学びたいという気持ちが強く、自己研鑚のためです。

──高校生よりも下の年代の指導者の方々に何かメッセージはありますか?

カテゴリーごとに、指導すべき内容が明確化されつつあります。担当しているカテゴリーに必要な、その年代だからこそ強化できる部分をしっかり勉強し、また常に情報をアップデートする姿勢を持ち続けていただきたいです。私自身も学び続け、日本全体のバスケットボールのレベルアップを志向しつつ、上のカテゴリーで活躍できる選手を一人でも多く育てていきたいと思っています。

(2021年4月8日、オンラインにて取材)


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次世代コーチのドリル集「ゲームクロック・マネージメント」


濱屋 史篤 Fumiatsu Hamaya

石川県出身、愛知学泉大学卒。石川県内の高校教師を経て2012年に北陸学院高校へ赴任。翌年、男子バスケットボール部を創部する。創部から2年という異例の速さで全国大会に出場。創部4年目となった2016年度にはインターハイベスト8・ウィンターカップ第3位となり、その後も全国の舞台で活躍。また、JBAのA級コーチライセンスやジュニアエキスパートの資格も取得し、コーチとして日々研鑽を積んでいる。

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