公開:2020/09/18
更新:2021/02/18
気になったプレーを映像からピックアップし分析する その2
by:株式会社SPLYZA バスケットボール分析班
日本国内でも、さまざまなゲーム分析用ソフトが発売され、活用されるようになりました。ここでは、それらのソフトの中から、比較的手軽に導入可能なソフトとして注目されているSPLYZA Teams(スプライザ・チームズ)の開発・発売元である株式会社SPLYZAのバスケットボール分析班の方々に、実際にこのソフトで何ができるのか、を解説していただきます。
前回に引き続き、「気になったプレーを試合映像からピックアップし分析する方法」について解説していきます。
前回は試合映像に気になったプレーのタグを付けました。今回はそのタグを活用して、気になったプレーだけを見て、分析・振り返りを行なっていきます。
気になったプレーを連続で見ていこう
タグを活用し、プレーを連続で見ていきます。なぜ連続してプレーを見ていくのか、については、『「数字と映像は嘘をつかない」vol.2分析結果を練習に繋ぐ』で詳しく解説してあるので、そちらも是非ご参考ください。
まずは1試合通してのタグの集計結果を見ていきます。プレーリスト機能を使うことによって、複数の動画のタグの集計結果もまとめて見ることができます。
今回タグ付けしていて最も多かったシチュエーションが相手のピック&ロールでした。今やトレンドではなく、スタンダードになっているピック&ロール。その守り方はとても重要です。確認していきましょう!このまま再生ボタンをタップすれば、この選択したタグの映像が再生できます。
プレーを見ていき、その一連のプレーが終わったら、「次のタグ>」ボタンをタップし、次のプレーを再生していきます。もう一度見たかったり、もう少し前から見たかったら「5秒戻る」ボタンをタップします。
プレーによってはスローでじっくり見たいときもあるものです。再生速度を変更したり、コマ送りボタンを長押しして、よく観察します。
ピック&ロールの守り方を観察した結果
今回、相手のピック&ロールに対する守り方を1試合通して連続で見てきました。気になった点は下記の2点でした。
センターにサイズがあり、インサイドの守りを固める意図もあるかと思いますが、綺麗にドライブされている場面も何回か見られました。また、デメリットである、「ボールハンドラーがプレッシャーなく3Pを打ててしまう」「スクリーナーが外でフリーになる」といったケースが見られました。アンダーのメリットが出ずに、デメリットが目立ったのはここにあります。
選手に見せる準備をする
改善すべき点が見えてきました。しかし、それを作戦盤と言葉で伝えても、全員が頭でイメージできるとは考えにくいです。そこで実際に選手に映像を見せていきます。映像を見せることで、コーチ陣のイメージを選手と共有することができます。
イメージがあるのとないのとでは雲泥の差です。イメージができて、意図をより理解して練習することで、練習の質を上げることができます。反対にイメージができていないと、練習の質も上がらず、何度も同じ練習を繰り返す必要が出てくるし、何度も同じことを説明することになります。
では、より選手がイメージしやすくなるような準備をしていきましょう!
SPLYZA Teamsでは映像に直接図を描き込むことができます。今回は2Qのこの場面に描き込んでいきます。
右にある「図形」をタップし、場面を解説していきます。
右にツールが表示されるので、円や矢印を使って描き込みます。
図を描き込んだら次に字幕を入れていきます。右の「字幕」をタップし、解説を入力してきます。字幕を入力すると画面下部に表示されます。
これでこの場面が完了です。続きも解説していきます。
この画像が、スクリーナーにオープンで3Pを打たせてしまうシーンです。外れるシーンもあったものの、高いレベルに行くほど、ここは対策していかなければいけません。
最後に、選手が見るためのタグ付けをしていきます。すぐにこのプレーを見つけられるように(ミーティング)というタグをこのピック&ロールのところに追加してつけておきます。
これで選手に見せる準備も完了です。各自で見てもらい、練習に来てもらうもよし! 全体ミーティングの前に、選手に事前に軽く見てもらうもよし! です。チームのスタイルに合わせて使っていきましょう。
第1回、第2回では、特定のプレーに絞って分析、振り返りをしてきました。次回第3回では試合全体を分析していきたいと思います。「木を見て森を見ず」ではなく、「木も、森も見ていく」です。ぜひお楽しみに!
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SPLYZA Teams のおすすめポイント vol.2
一般的な映像編集ソフトは、映像を切り取って繋げ、1つの映像を作成します。しかし、SPLYZA Teamsは違います。SPLYZA Teamsはタグ付けをするだけで映像を切り取りません。
本に付箋紙をつけて、そこからいつでも見れるようにするのと同じように、映像にタイムタグという付箋紙を付け、いつでもそのシーンを見れるようにします。
SPLYZA Teamsでは映像を切り取っていないため、タグを付けた前後の映像をいつでも確認できます。監督や選手に「1つ前のプレーから見れる?」や「この後の展開見れますか?」と言われたときも対応できます。
また全体ミーティングなどで、切り取った範囲では理解できていない、イメージできていない選手もいたりします。SPLYZA Teamsならその反応を見て、少し前から見せて選手に頭の準備をしてもらうことも可能です。
>>> 連載第1回 分析ソフト【SPLYZA Teams】でできること vol.1を読む
>>> 連載第3回 分析ソフト【SPLYZA Teams】でできること vol.3を読む