「数字と映像は嘘をつかない」vol.2分析結果を練習に繋ぐ

公開:2020/08/28

更新:2020/09/09

written by SPLYZAの中の人(バスケ班)

※本記事は、2018.12に「Sports Analytics Lab Powered by SPLYZA Inc.」に掲載されたものです。

観察することが重要

スポーツアナリティクスに関する「数字と映像は嘘をつかない」シリーズの第2回は、バスケットボールにおける「分析結果を練習に活かし、パフォーマンスを改善する方法」について言及します。細かな内容はバスケットボール特有のものですが、他の競技でもこの流れを適用できます。

分析結果を練習に活かすまでの流れを、第1回で紹介した、「同じシチュエーションを連続して観察する」復習も兼ねて紹介していきます。

〈実践例〉
今回は、負けた試合を分析していきます。試合中に、大きく分けて、ある2つの失点パターンが多く見られることに気づきました。試合中にこれらを修正しきれず、失点を重ねていきました。

①「相手センターにインサイドで得点される」
②「相手に外から簡単にドライブされる」

試合中に気づいたこの2つのプレーは、全く別のプレーの失点です。しかし、試合後にディフェンスだけに絞って映像を再生し、観察していくと、ある共通部分が見えてきました。

実際にこの2つの失点パターンに分類できる失点例をまとめてみました。相手センターに、良いタイミング、良いコースでパスが供給され、ゴール近くのイージーショットや、有利な状態での1対1を作られていました。また、外からのドライブ関しても、味方がディフェンスとのズレができた瞬間にパスが供給されたり、逆サイドでフリーの味方に的確で素早いスキップパスが供給されていてクローズアウトしなくてはいけない状況を作られていました。そのため、オフェンスが有利な状態でドライブを仕掛けることができていました。

以上のプレーから共通部分が見えてきました。それは、「レシーバーが有利な状況になるパスが供給されている」でした。この共通部分を解消することで、今までと同じようにやられ続けることはなくなります。

観察から見えてきた課題とは!?

この共通部分の、「原因」とその「改善策」を考えていきます。

今回は、レシーバーに対するディフェンスに問題はあまり見られませんでした。ということは、「ボールマンが良いパスを出すことができた」ことが問題となります。良いパスを出すためには、パスのコースとタイミングを狙う必要があります。ここで考えるべきは、なぜパスを狙うことができたのか、です。ここで、実際に映像を見返すと、相手のボールマンに対して、マッチアップしている自チームのディフェンスが間合いを取りすぎていました。(上記の失点例をまとめたコート図に記したような状態です。)これでは、例えシュートは打たれない状況だとしても、コート全体を見渡すことができ、パスを狙う余裕も生まれます。パスは、人よりも速く、どれだけディナイを頑張ってもコースを狙われたら、防ぐことは難しいです。

そこで、ボールマンへのプレッシャーを強くし、良いパスを出せないように、パスを狙う余裕を削るようにします。つまり、「パスの発射台を潰す」です。これは、ある意味当たり前で、基本的な戦術です。ボールマンプレッシャーを強くすると、もちろんドライブされる危険性が高まります。しかし、今回の2つのパターンで怖いのは、ミドルライン側へのドライブだけです。ベースラインドライブはあまり危険ではありません。それは、ローポストに相手プレーヤーがいるからです。また、パターン②の場合だと、ローポストのプレーヤーに加えて、味方のカバーディフェンスがしっかりとポジションを取れています。そのため、ミドルライン側に行かせないディレクションを意識し、ボールマンにプレッシャーをかければ、デメリットを最小限に抑え、発射台を潰すことができます。(このチームはカバーはしっかりしているようなので、よりボールマンプレッシャーを徹底すべき)

改善点が明確になると効果的な練習ができる


同じシチュエーションに絞って映像を見ることによって改善点が見えてきました。ここからは、ボールマンプレッシャーを強くするために練習に取り組むだけです。練習方法は、もちろんチームの状況によって変わってきます。

1つ例を挙げるならば、この場合、フロントコートでのボールマンプレッシャーの強化ですので、ボールマンとの間合い、距離感の部分にアプローチしていきます。ボールマンがどこでボールを持って構えているのか、またドライブ、パス、何をしようとしているか、などから判断し、間合いを詰めたり、広げたり、といったディフェンスをできるようにしていきます。何も考えさせずに、ずっと間合いを詰め、プレッシャーをかけるのは、レベルが上がれば簡単に対応され、疲れるだけのディフェンスになってしまいます。戦術的に時間帯を絞って行うのはありですが。また、ここで気をつけなければいけないのは、ディレクションです。どのような練習でも、ゴールと自分の位置を確認し、ゲームライクな練習にしなくては、結局実戦では、ただ抜かれるだけとなってしまいます。

前述の通り、ボールマンプレッシャーを強くすると、ドライブの危険性は高まります。間合いを詰める、駆け引きする意識を持つことと並行して、単純に個人のディフェンス力を高めることは必須です。そして、最終的には、個人のディフェンス課題から、チームディフェンスの強化に繋げてなくてはいけません。ディフェンスの強化方法に関しては、大きく話がそれるので、また別に書きたいと思います。

ボールマンとの間合いは、基礎ではありますが、シーズン通して波が出やすい部分です。シーズン途中で様々な悪い部分が出てきたときに、見逃しやすい部分でもあります。だからこその映像分析です。見逃す危険性もぐっと減ってきます。

このような流れで、試合中に表面化した課題や気づきを、映像を用いて深く分析し、その結果を練習に反映させていきます。この映像分析の積み重ねは、「指導の質の向上」「現状にあった適切な練習」に繋がります。もちろんそれは、「パフォーマンスの改善」です。

記事提供:Sports Analytics Lab

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