体幹を締めて跳ぶ──連続ジャンプ上達の段階的アプローチ

公開:2021/11/19

更新:2021/12/13

2020年10月に掲載した連載「バスケットボールの上達を阻んでいる要素に着目し、改善する」でも取材させていただいた森川靖氏に、連続ジャンプのパフォーマンスアップにテーマを絞っていくつかのエクササイズを紹介していただいた。

足先でなく体幹に意識をもっていく

連続ジャンプのパフォーマンスを高めるためには、正しい身体の使い方ができていなければならない。不適切な動きで典型的なのが、膝を深く曲げて身体を沈み込ませ、上体も深く前傾してしまうパターン。これだとジャンプの予備動作に時間がかかってしまい、素早い動作で連続ジャンプができない。

膝をできるだけ曲げずに、かつ接地時間を可能な限り短縮して跳ぶことが重要になる。まずは、理想に近い連続ジャンプ(トゥジャンプ)を動画で見てみよう。森川氏がトレーニング指導しているチームの一つ、群馬県立高崎高校男子バスケットボール部に撮影協力をお願いした。

意識するポイントとしては、「着地した時に身体を一直線に保ち、硬いゴムになった意識で」跳ぶ。具体的には、着地時に「体幹を締める」ことが最も重要。連続ジャンプの際は足先に意識が行きがちだが、体幹を意識する。

「体幹を締める」という身体コントロールは、本能的に即実践できる選手もいるが、多くの選手にとって簡単ではない。そこで森川氏は、いくつかの段階的エクササイズで、この感覚をつかんでもらうよう、指導している。以下、それらを紹介しよう。

ステップ1 ヒールプッシュ・フロントブリッジ

うつ伏せ、肘と膝の4点支持の姿勢となる。膝はやや曲げる程度の角度。パートナーが後ろから踵を押さえて抵抗を与える。この姿勢から膝を床から浮かし、「臍の下をひっこめ、しっぽを巻き込むイメージで」体幹に力を入れる。膝を伸ばそうとするのではなく、あくまでも体幹の力で踵を後方に動かす。膝を浮かせるとき下腹部に力を入れてさらにしっぽを巻き込むと、踵がわずかに後方に動いてくる。そのまま10~15秒間押し続ける。体幹を締めれば締めるほど、踵を後方に押す力が強くなる感覚をつかむ。一人で行う場合は壁を使う。

ステップ2 アブドミナルスクイーズ・スピードスクワット

直立した状態で体幹を絞り、浅いスクワットを素早く行う。意識としては、膝の曲げ伸ばしではなく、体幹の力で床を押す動き。体幹をうまく使えるようになると素早く股関節を伸展することができ、わずかな予備動作でスピード感のある力強いジャンプができるようになる。下腹部へ意識を持っていくために、初めのうちは下腹部に手を当てて行ってもよい。

2つめの動画は、パートナーが椅子の上に乗って負荷を与えるパターン。負荷を与えることで、爆発的に力を出すイメージをつかむことができる。

ステップ3 スクワットジャンプ

上記ステップ2の延長で下腹部に力が入っていることを確認しながら、単発のジャンプを行う。体幹の力でジャンプできているか、1回1回確認しながら行う。深く沈みこまなくても力強いジャンプができる感覚を養う。お尻を後ろに引きすぎて上体が前傾しないように注意する。

ステップ4 トゥジャンプ(連続ジャンプ)

最終段階として、接地時間をできるだけ短くして、ここまで養ってきた感覚で連続ジャンプを行う。体幹を中心に、身体全体が硬いゴムになったつもりで連続的に跳ぶ。記事冒頭で紹介した連続ジャンプの動画を再度見ていただこう。

応用編 リバウンドジャンプ

実際のリバウンド場面を想定。ボールを投げてもらって、ここまで養ってきた感覚で2回連続ジャンプを行い、ボールを確保する練習。

【森川式オンライントレーニングのご案内】今回紹介したエクササイズを含め、体幹のインナーマッスルにアプローチして活性化させ、バスケットボールの動きを変えていくための会員制プログラムです。チームでも個人でも参加できます。下記サイトをご覧下さい。「インナーマッスルから動きを変える」森川式オンライントレーニング

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