【特集:ロングシュート】ハンドリングやステップワークに負荷をかけてシュート練習する 

公開:2022/02/04

更新:2022/03/04

2021年のウインターカップに千葉県代表として出場した市立柏高校女子バスケットボール部の根本尚希コーチに、ロングシュートの精度を高める取り組みについてうかがいました。

根本氏。オンラインでお話をうかがいました。

楽に飛ばせる、まっすぐに飛ばせる方法を探す

女子選手の場合、ロングシュートが届かないケースが少なくない。そうした選手に「パスを投げてごらん」と言うと、同じ距離を簡単に飛ばせたりする。これはシュート時に力んでしまって不自由なフォームになっていることによって起こり、肘の位置を下げるなどちょっとした修正によってリングまで届くようになる。

ただ、シュートが届かない、入らない理由は人それぞれなので、その選手にとって「楽に飛ばせる」「まっすぐに飛ばせる」方法を本人とコーチが一緒になって探すことが重要なのではないか、と根本氏は言う。

精度の落ち幅を少なくする

オーソドックスなシュート練習として、同じ場所からのシュートを繰り返すスポットシューティングがある。このタイプの練習での成功率の目標は70~80%になるが、仮にその精度まで高まったとしても、通常、ゲームでの精度は50%以下に落ちてしまう。そもそもの精度をさらに上げて90%にすればゲームでの成功率も上がることになるが、難易度の比較的低いスポットシューティングであっても、90%まで上げることは容易ではない。

そこで、ゲーム時の落ち幅を少なくすれば精度が高まるのではないか。例えば、ある選手の成功率が70%から40%に落ちるケースを、50%までにとどめる。こうした考え方のもとに、根本氏らが市立柏高校で取り組み、一定の手応えを得ることができた、と感じているのが、「ロバストシューティング」という練習法だ。これは、「バスケットボールの家庭教師」で知られる株式会社エルトラック代表の鈴木良和氏らが提唱しているもので、根本氏は、大学の先輩でもある鈴木氏からその趣旨を聞いて、市立柏高校でも取り入れることにした。

実際のゲームでは、ディフェンダーによるプレッシャーがあり、いつも良い体勢でシュートが打てるわけではない。パスが必ずしも良いところに来るとも限らない。シュートの精度が落ちてしまう外的要因がたくさんある。そうしたマイナス要因となる“負荷”を練習の中でかけていくのが、ロバストシューティングである。

簡単な例としては、わざと難しいパスを出してもらい、それをキャッチしてシュート、パスキャッチしたら一度レッグスルーしてからシュートを打つ、など(下記動画参照)。選手によって、ハンドリングが苦手、フットワークが苦手といろいろタイプがあるので、その苦手な部分に敢えて負荷をかける。

ロバストシューティングの例

選手が自分の弱みを認識し、自身の工夫によって、いろいろなパターンが派生するのも、このシューティング練習の良さだ。「シュートが入らない要素を取り除く」という考え方でゲーム時の確率を高めていく。市立柏高校では、こうした練習により、実際に3ポイントシュートのパフォーマンスが改善が見られたという。


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「私の一押しドリル紹介 vol.3──オールコートの1対1フットワーク、フィニッシュスキルドリル」


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