元NBAコーチが語る「勝つための習慣」

公開:2024/10/25

更新:2024/10/24

複数のNBAチームで長年ヘッドコーチを務め、2017-2018シーズンには年間最優秀コーチ賞を受賞したドウェイン・ケイシー氏を招いて、2024年7月に白鴎大学で行われたクリニックを収録した作品が、この冬リリース予定(現在制作中)。以下は、同クリニックの質疑応答場面からの抜粋です。経験豊富なNBAコーチによる、とても示唆深い話。

ドウェイン・ケイシー氏(右)

Q. あたり前のことを注意し続けると、選手は受け入れられなくなります。コーチとしても別のことを教えたくなるが、根気よく伝え続けるために意識していることは?

NBAで15年間コーチをしていて、「良い習慣をどうつくるか」がとても重要だと痛感しました。プレーに関する正しい習慣、良い習慣を選手が身につけることです。ここで大切なのは、コーチ自身が重要だと思っているプレーや行動に関する信念を変えないことです。それらの習慣が身体に染み込むことで、勝つ確率が必ず高まる。つまりコーチが信じているWinning Habit(勝つための習慣)を、情熱を持って伝えることです。

Winning Habitはコーチ自身が最初に始めて、最後までやり続ける決意が必要です。言い続けることはコーチにとっては大変な作業ですが、自分自身のポジティブな姿勢を失うことなく、継続してください。

Q. 何人もいるコーチ陣を束ねる際に工夫したことは?

とても良い質問です。私が最後にNBAチームでヘッドコーチをしていたとき、アシスタントコーチの総数は17名でした。彼らは各々キャリアとプライドを持っていますので、おっしゃる通り、意見を調整して全員が同じ方向を目指すのはとても困難です。そのために専門のメンターを雇用したこともありました。

その時の経験で良くなかったと思っているのは、プレーヤー1人に対して担当コーチが1人、とう状況をつくってしまったことです。こうなると、プレーヤーは担当コーチに対して不満をぶちまけるようになり、コーチはそれに耳を傾けてしまう。チームのまとまりが崩れていきます。

年長のヘッドコーチは、育てる意識で若いコーチに対して意識的にチャンスを与えること。これがチーム全体のパフォーマンスを上げる良い方法だという点も、私が経験上学んできたことです。

Q. 中学生・高校生の場合、パスで相手を崩すよりも自分で崩すほうに面白味を感じてしまいます。パスで崩す魅力を伝える方法は?

チームとしてどのようなアプローチをして勝つか。ここに重点を置いて毎日練習してほしいです。ボールを持っていない選手がどのようなスペーシングをするかによって、ボールマンの状況が大きく変わってきます。これを理解させる。どうやってボールマンをサポートするか、そのサポートが成功したときの達成感を味わわせる。こうした循環がつながると、チームの文化として機能するようになります。

NBAはスーパースターの集合体で、エゴのある選手ばかりです。そういう人たちに対して、チームプレーで勝つという思想を浸透させるのが自分の仕事だと思いながら、私はヘッドコーチをやっていました。プロでは、チームが勝てば年俸が上がります。個々のプレーヤーが献身的にプレーすることによってチームが勝てる。これを理解してもらうよう、自分の信念を伝え続けるのです。

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