チームとの関わり方 ── 実際のゲームから解き明かすコーチングとスカウティング【後編】 

公開:2020/09/25

更新:2020/09/15

平良 航大(東海大学/男子バスケットボール部シーガルズ アシスタントコーチ)

2020年2月1日にジャパンライム・セミナールームで行われたアナリストセミナー第2回、東海大学男子バスケットボールシーガルズのアシスタントコーチ・平良航大氏の講演の内容をお届けします。今回は後編 

>>>前編:映像資料の活用方法、分析ソフトの使い方、など


映像分析の手順

試合映像を分析するときは、プレーの始まりから終わりまでを細分化していきます。

オフェンスでは、まずプレーの始まりを大分類します。例としては、1.ディフェンスリバウンド、2.ショットイン(シュートが決まって始まったプレー)、3.ライブターンオーバー(ターンオーバーしてそのままオフェンスに移行する)、4.タイムアウト明け、5.ファーストクォータープレー」等に分類します。

次の段階で、別の基準で分類していきます。1つの例は、オフェンスアクションによる分類。1.ファストブレイク、2.アーリーオフェンス、3.セットプレー、等。1階層上の分類と関連づけると、1-1がデイフェンスリバウンドのファストブレイク、1-2がディフェンスリバウンドのアーリーオフェンス、1-3がライブターンオーバーのセットプレーといった分類になります。

さらに下の階層では、例えばセットプレーであればピックアンドロール、クロススクリーン、フレアスクリーン、バックスクリーンといった種別で分けていく。

そして最下層が、プレーの結果(終わり)です。1.ペイントエリアでのシュート、2.スリーポイントシュート、それぞれの成否も分類していきます。

ディフェンスの立場では、同じ分類法で相手チームを分析していくと、相手チームのオフェンスの傾向と強み・弱みがわかってきます。例としては、相手のピックアンドロールを、さらに細かい基準で見ていく。「どの位置で行っているか」「ボールハンドラーは誰か」「スクリナーは誰か」といった具合です。

相手オフェンスの分析方法

先ほど、プレーの始まりから終わりまでを細分化する、とお話ししましたが、相手オフェンスを見る時は、各プレーの「狙い」「カウンターアクション」「オプション」をそれぞれ見ていきます。セットプレーは単一の展開ではなく、ディフェンスの出方に合わせてカウンターアクションを持っている場合も多々あるし、ボールを右に出した時と左に出した時で、その後の展開が変わるケースもよくあります。これらを細かく分析した上で、ディフェンス上の対策を練ります。

ディフェンス対策の一例を示しましょう。ダウンスクリーンから始まって、最後に1対1の状況を作ってバスケット下でシュートにもっていくプレーがあったとします。そのストーリー展開を理解した上で、考えるべき対策は、「どこで潰すか」です。同じ相手との試合で、ダウンスクリーンから1本目のパス(ハンドオフ)まではスルーして、2本目のウイングへのパスをディナイすると、そのパスが乱れて隊形が崩れ、バスケット下へのパスができなくなった映像がありました。つまり、相手はやりたいことができなかった。これを良い例として使い、潰すタイミングをプレーヤー間で共有します。すると選手は、試合中の「頑張りどころ」がわかります。この例で言うと、パスディナイのタイミングです。

良い映像から見せる

ヘッドコーチの陸川先生からいつも言われていることですが、試合を振り返るために選手たちに映像を見せる時は、良い映像から見せるようにしています。まずは、褒めるべきプレーから見せて、全員がミーティングに集中できる環境を作る。その次に、改善点に触れていきます。そして最後に、「あるべき姿」を見せる。あるべき姿は、例としては、前半でお話したモチベーションビデオなどを使います。 選手たちには私たちのチームが目指している指針を常に確認してもらうことが重要だと思っています。基本的な考え方として、「ディフェンス、リバウンド、ルーズボールが我々を勝利に導く」、そして「ファストブレイク、ピックゲームからズレをつくり、アタック」。これらを、事あるごとに確認し合っています。


>>>「チームとの関わり方」前編を読む

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