【セミナーレポート】育成年代のコーチング論 前編

公開:2022/01/08

~コーチングスタイルとコーチの在り方~

2021年11月~12月にかけて、全4回に渡り開催したセミナー「育成年代のコーチング論~特性と役割を理解してコーチングを深める~」。ここでは、全4回のライブ講義で出てきた話題や質疑応答を中心に、育成年代におけるコーチングのポイントや考え方を紹介します。

今回のセミナーは、事前に講義映像を視聴。その内容をもとにライブの講義で受講者の皆さんともに内容を振り返り、議論を深めるという流れで実施しました。

ここでは、第1回と第2回のライブ講義についてレポートしていきます。

第1回講義テーマ:育成年代のコーチング特性

↑第1回事前講義のトピックス

まず、アルバルク東京アカデミーの方針や価値観を紹介していただきました。

この図の氷山モデルに示された「HOW-方法」の部分だけではなく、水面下にある「What-目標・方針」「Why-目的・価値観」にまで目を向けることが重要です。目に見えているもの(方法)だけを見るのではなく、「なぜそうなっているのか?」という部分を考えて物事を見ることが、指導者として求められるのです。

その後、『子ども、育成年代の特性について』や『コーチングの本質的な目的』が主な議題になりました。

育成年代の指導は膨大な要素を扱うことや、本質的な目的が「将来に良い影響を与えること」であり結果がすぐに見えないことから、育成年代の指導は非常に難しいものであるといえます。また、子どもたちに発達の段階があることを理解し、子どものペースに合わせてコーチングをする出来だと、塩野コーチは語っておられました。

育成年代の理解、子どもに対する理解、そしてそれに応じたコーチングを実施するためには、指導者自身が学び続けていく必要があります。受講者の方々から、塩野コーチが「コーチとしてどのように学んでいるのか」という質問がありました。

Q.『塩野さんは日常どのような形で、バスケットの指導の勉強をされていますか?』

A.『ありきたりではありますが、本を読んだりネットで情報を調べたりしています。知識を付けないと説得できないですし、自分のエゴではなく、チームのためバスケット界のためにやっているということを伝えるためには、様々な情報が必要なので。ネットで検索するときに大切にしているのが、「英語で検索する」ということです。今回の講義や私の考え方も、アメリカや欧州ではよく言われている話でもあるので、英語が読める英語ができるということはアドバンテージにはなるかと思います。もう1点注意していることとして、「出来るだけ1次情報を使う」ということです。その考え方を発信している人や経験をした張本人の話や書籍を見るようにしています。そして、2次情報は伝言ゲームになっているということを意識しておくことが重要です。また、情報に触れたときに「どうしてそうなのか?」を考えることも大切にしています。』

※その他、参考にしている書籍として、

『ジュニアスポーツと安全(三省堂)』 監修/㈶日本体育協会日本スポーツ少年団

・『私の信じたバスケットボール(大修館)』著/吉井四郎

を上げていただきました。

Q.『他の競技から参考にした部分や影響を受けたことはありますか?』

A.『スポーツで言うと「サッカー」の指導を参考にすることがあります。チームの作りの考え方については、企業の考え方を参考ししています。Googleが「心理的安全性がチームワークを高める」ということを言っていて、バスケにはまさしくそうした考え方が必要だと感じました。選手の主体性を高めるという点で言うと、ラグビーで7連覇を達成した平尾誠二さん率いる神戸製鋼の取り組みがモデルとして一番近いかなと思っています。平尾誠二さんは著書もたくさん出されているので、ぜひ参考にしてみてください。』

その他にも、コーチとしての在り方や選手からの要望にどう応えるのかという話もしていただきました。

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