【セミナーレポート】育成年代のコーチング論 後編

公開:2022/01/14

~バスケットボールの本質を理解させる指導~

「育成年代のコーチング論~特性と役割を理解してコーチングを深める~」セミナーレポート後編。今回は、育成年代におけるコーチングのポイントや練習メニューの組み立て方、バスケットボールの原理原則など、よりバスケットボールに関する部分を深堀していきます。

今回のセミナーは、事前に講義映像を視聴。その内容をもとにライブの講義で受講者の皆さんともに内容を振り返り、議論を深めるという流れで実施しました。

ここでは、第1回と第2回のライブ講義についてレポートしていきます。

第3回講義テーマ:育成年代の選手が身につけるべき能力

↑第3回講義のトピックス

第3回目の講義では、バスケットボール選手の能力の分類の話がありました。「技術」「戦術」「身体」「精神」の4つがあり、それぞれが相互に影響し合あっています。これらを大まかに捉えることで、細部に固執することを避けるとともに、練習や指導が「選手のどの能力にとって有益か」という視点で考えることができるようになると塩野コーチは語ってくれました。

さらに、第3回の講義で強調されたのが、「方法」ではなく、「原理原則」を教えて、子どもたちの理解を促すということです。まずは、ルールから「バスケットボールそのもの」の原則の説明、そしてゲームの争点から考える、アルバルク東京アカデミーでのオフェンス、ディフェンスの原則のお話へと講義は進んでいきました。

特に、この原理原則をどのように子どもたちに伝えていくのかという部分に関して、ライブ講義では多くの疑問や質問がありましたので、その一部を紹介します。

Q.『U12の指導をしています。バスケットボールの経験年数や入団してくるタイミングもバラバラの中で、どのように原理原則を伝えていくかに悩んでいます。人数的もそこまで多くない中で、学年別で練習することもなかなか難しい状況です。何かアドバイスがあればお願いします。』

A.『アルバルク東京のスクールでは、初心者の小学2~3年生に対してバスケットボールがどのようなものかを教えないといけないという中で、試行錯誤した結果、「パーソナルファールはしっかり教える、バイオレーションは放っておく。」という方法を見出しました。パーソナルファールは、子どもにとって具体的で分かりやすいですが、バイオレーションは概念でしかなく、ゲームを理解していないとわかりません。初心者と経験者が混じっているような場合は、初心者だけバイオレーションをなしにするということも一つの方法だと思います。
また、週1回のスクールの中で子どもたちの原理原則を促すためには、コーチが「ナイスプレイ」というタイミングを意識しています。こちらの考えているバスケットボールの原理原則にかなった動きをした際には、「ナイスプレイ」と声を掛けるようにしています。

Q.『高校生を指導していて、フィジカル面の強化をしていかないといけないと感じています。フィジカルの強化という点について、塩野コーチのお考えを教えていただけるとありがたいです。』

A.『U16では、そろそろストレングストレーニングに力を入れて取り組んでいこうかと考えています。ただ、過度に取り組むことはなく、筋力トレーニングの基本的なやり方や、自重でのトレーニングを中心にしていく予定です。
体のコアの部分やコーディネーションに関することは、U15年代からしっかり取り組んでいますので、「アルバルクユースの選手は体が細いわりに強い」ということはよく言っていただけます。そうした基礎作りを大切にしながら、徐々にアウターマッスルを付けていくことで、よりパフォーマンスが上がっていくのではないかと考えています。

またライブ講義の中では、実際にアルバルク東京ユースチームで使用されているプレイブックも一部ご紹介いただきました。

>>>NEXT 練習の組み立て方

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