公開:2020/12/04
更新:2021/03/25
愛知県半田市にある、半田市立成岩中学校に併設された学校地域共同利用施設であるクラブハウス。その管理運営をしているのがNPO法人ソシオ成岩(ならわ)スポーツクラブです。アリーナ、人工芝コート(スカイアリーナ)、会議室、テラスに入浴施設まで。充実した施設で、様々なスポーツが体験できる中学生以下の子ども達向けのスクール活動や、中高年向けのサークル活動、子育て・教育支援などを行っています。今回は、同法人のアカデミープログラムの中から、バスケットボールJrクラブのideasに取材を実施。U6~U15までの一貫指導で、バスケットボールの普及・育成に取り組むideasのルンゲ春香コーチに、その活動に対する思いと、実際の活動内容を伺いました。
本当に好きなことを見つけるために
―まずは、ルンゲコーチ自身が指導に携わるようになったきっかけとコーチとしての思いを伺いました。
ルンゲ春香氏(以下:ル):このチームを立ち上げて今年で8年目です。私は短大卒業後、日本の実業団で2年間プレーしてからアメリカの大学へ留学しました。その後ドイツでプレーしたのですが、アメリカ・ドイツで活動する中で、日本と海外との文化の違いに衝撃を受けました。特に練習の効率であったり、コーチの選手との接し方、選手への伝え方は大きな違いを感じました。私の中では、日本で受けた指導が原点で、厳しい環境だったけど良い指導をしてもらえたことにはとても感謝しています。そこに、アメリカコーチの指導であったり、ドイツで実際に見て、感じたプレーヤーとコーチの関係性であったり、練習効率の良さだったり、そういうものをミックスして、日本の良さと海外の良さを取り入れた指導ができれば、という思いがありました。ちょうど帰国したタイミングで、同じ考えを持つ今の法人と巡り合い、ここでそういう環境を作ろうと思って活動を始めました。
ル:日本では、「決めたことは最後までやり通す」という文化があります。もちろん本人が本気で決めたことならそれは大事なことです。ただ、指導者や保護者が強制的にやらせるのは、その子のためにはならないし、お互いにとっての時間が無駄だと思うんです。
ここでは、本当に好きなことを見つけた時の習慣を、アカデミーを通して教えています。その中で、特に「思考をポジティブに変えること」と「5秒ルールで行動すること」を大切にしています。他にも、素晴らしい人間になるために必要な考え方を、最初の登録説明の際に、親御さんにも一緒に伝えています。バスケットボールの練習以外にも、夢授業や全カテゴリーでの交流会を通して、子ども達が人として成長してくれるようにサポートをしています。
バスケットボールを通してライフスキルの向上を目指す
―U6~U15までのチームを抱えているideas。ここからは、チームの運営体制や日々の活動内容について伺っていきます。
ル:バスケットボールの普及と育成をメインに、U6、U8、U10、U12、U15クラスと初心者(エンジョイ)クラスの運営・指導をしています。U6-U8は遊び8割バスケ2割、U10クラスから徐々にバスケットボールの要素を増やしていき、U15になると少し専門的になり、バスケットボールの理論を学べるようにしています。その中でも、一番はバスケットボールを楽しむこと。そこを重視した指導にしています。また、年に数回、全クラスが交流するイベントを実施していて、15歳の子どもが3歳の子どもとペアを組んで、見本を見せたり、教えたりする機会も作っています。そうした機会を通して、子ども達の成長にも繋がるし、なにより大人も一緒に楽しめる空間があり、とても素敵だなと感じています。
―3歳から15歳までを指導していく中で、チーム理念としてどのようなことを掲げているのでしょうか。
ル:「バスケットボールを通して、子どもたちのライフスキルの向上を目指す」ことを活動理念にしています。また、活動の優先順位を、①家族②勉強③大好きなバスケットボールにしていて、子どもや保護者の方にもそのことを周知しています。なので、練習に出ることも試合に出ることも強制はしません。子ども達が家族と自分の時間を大事にし、その中でそれぞれの目的に応じて、チームの活動を活用してもらえればと考えています。