公開:2020/08/14
更新:2021/02/18
2015年~2019年の5年間で、全中を3回制した実践学園中学校男子バスケットボール部では、普段の練習の中で「映像分析」を取り入れた指導が行われています。今回は、映像分析を取り入れる狙いから、活用方法と効果について紹介します。
「非認知スキル」を高めるために
実践学園の森圭司先生は、バスケットボールを通して「非認知スキル=数字では表すことのできない力」を高めることをテーマに指導に取り組まれています。そのカギを握るのが、「映像分析」です。今回は、実際にどのように映像を指導の中に取り入れているのかについてレポートしていきます。
ツール・メディアは「学習の増幅器」である
森先生は、上記の図に示すピラミッド構造の考えを取り入れて、指導を実施されています。日々の指導に映像分析(ツール・メディア)を取り入れることで、客観的に物事を見る力を養うことができ、さらにそれを言語化し構造的に考える訓練を積むことで、「当事者意識」を持ち、日々の生活や練習で何事にも主体的に取り組める選手へと変化していきます。映像分析が選手の「学び」をより深いものにし、スキル以外の部分も含めて選手の成長に大きく寄与するのです。
特にバスケットボールは、チームスポーツであり、攻守の切り替えが激しく入れ替わります。自分自身だけでなく、チームメイト、対戦相手、オフェンス時、ディフェンス時、各スキルなど、確認するべき項目は多岐にわたります。その分、映像を分析する際に、リフレクションできるポイントが多くあるため、非認知スキルを高めることに繋がります。「非認知スキル」を高めることは、「認知スキル」の向上につながるため、特に育成年代の指導においては、映像分析は非常に大きな役割を担っているのです。
常に映像を撮ってみんなで観れる状態にしておく
取材した時期は、チーム内でのリーグ戦(3×3)が行われていました。その試合の様子はすべて録画され、試合結果とともにネット上で共有。選手たちは各自家で映像を確認し、翌日その振り返りを共有して、次の練習につなげていきます。
チームのホームページでは、先ほどの試合映像だけでなく、指導者からのコメントや参考にしてほしいプレー映像など、「振り返り」と「イメージをつくる」ための情報を常に発信しています。ここでポイントとなるのが、情報を発信して終わらないということ。必ず選手からのアウトプットを引き出し、発信した情報を次の練習や次の試合につなげる工夫が必要になってきます。