U-15世代における指導のコンセプト 中編 ~鷲野流オフェンスの考え方~

公開:2021/02/12

更新:2021/02/19

中学生女子の指導を長きにわたり牽引し、U-15年代の女子代表HCやトップエンデバーコーチを務めた経験を持つ鷲野鋭久監督。30年を超える指導キャリアの中で、様々な環境、選手のレベルに応じた「実戦で活きるドリル」を、数多く生み出してきました。その指導コンセプトを3回に渡ってお届けします。今回は、その中でのオフェンス指導に対する考え方について紹介していきたいと思います。

>>> U-15年代における指導のコンセプト 前編はこちら

>>> 後編 「鷲野流ディフェンスの考え方」はこちら


「アウトナンバー」を作ることが一番重要

鷲野監督は、まずオフェンスは、アウトナンバー・数的優位を作り出すことが第一だと考えています。そして、そのアウトナンバーを作り出すために、フロアの状況を把握し次のプレーを予測することを重要視されてきました。

↑鷲野監督が考える「攻める」とは

そして、『1+9+B+Gの状況把握(判断)を継続して行うことがオフェンスであると考える。ゲームにおいては、このような状態を作り出すためにフォーメーション、フリーランスオフェンスを駆使しながら得点を競っていくわけである。フォーメーションもフリーランスオフェンスも、まず個人的な攻撃法から始まる。したがって個人の攻撃力のアップを図らなければならない。』と語っておられます。

そうした「個人の攻撃力アップ」を達成するための基本として 身体を扱う技術、ボールを扱う技術があります。

↑個人技術は大きく分けて2ある

図に示したように、身体を扱う技術には、「ピポット(ターン、ステップ)」「カッティング」「チェンジオブディレクション」「ボールのもらい足」などがあります。更に、ターンには、フロントターン バックターン リバースターンがあり、ステップには、クロスオーバー オープン ドロップ ロッカーがあります。こうした細かい身体的な技術を、日々の練習の中で、ドリルに落とし込みながら指導をすることで、個人技術の基礎の部分を作っていくことができます。そして、ボールを扱う技術も同時に高めていくことで、高いレベルの個人技術の習得が可能になるのです。鷲野監督が、

「身体を扱う技術とボールを扱う技術の習得を行い、その次にディフェンスをつけての1対1の練習から同時に、シュート パス ドリブルの三大要素を身につけ能力のレベルアップを図る。同様に2対2、3対3の攻撃法(2対2 3対3のパターンプレー)を身につけていく必要がある。」

と語るように、まずは技術の習得が育成年代の指導においては重要となります。

チームとしてオフェンス力を高めるために

次に、チームとしてどのようにオフェンスを突き詰めていけばよいのか、その考え方を紹介します。まずは、2対2,3対3でのオフェンスパターンについてです。2対2や3対3のパターンプレーには、パス&ランのようなカッティングプレイとスクリーンプレーがあるます。また、ボールありのプレイ ボールなしのプレーがあり、対人関係においては、横のプレーと縦のプレーが存在します。

横のプレー → アウトサイド同士のプレー(インサイド同士)
縦のプレー → アウトサイドとインサイドのプレー(インサイド同士)

3人のパターンプレーは位置によって攻撃は違ってくきますが、この様な技術を習得させ、フリーランスオフェンスをする前にフォーメーションオフェンスを理解しておくことが大切であると鷲野監督は考えておられます。

そして最後に、フォーメーションとフリーランスの違いについても、鷲野監督の考え方を紹介します。ここで、フォーメーションは、コーチの考える最高の公式プレーであり、2人3人4人5人のプレーが連系したものを指します。一方、フリーランスは、パターンプレーを基礎にした個人が状況を判断し選択する最高の公式を応用したプレーのことを指します。

図に示したように、フォーメーションとフリーランスには、それぞれ長所と短所が存在します。こうした考えを踏まえて、

「2人3人のパターンプレーの組み合わせを、自チームのフォーメンションに合わせるようにうまく習得することによって、最終的には全てのディフェンスに対応できるようになる。」

と鷲野監督は語ります。

このような考えのもとに、これまで数多くのオフェンスドリルを生み出してきた鷲野監督。その多くのドリルは、ジャパンライムでも映像化させていただき、U-15年代の指導現場に落とし込みやすく、繰り返し行うことで効果が出る得られると、多くの指導者に支持されています。

 次回は、ディフェンスの考え方について紹介します。

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鷲野 鋭久 Toshihisa Washino

愛知県出身。中京大学卒。現在は弥富市立弥富北中学校女子バスケットボール部で監督を務める。JBA U-15女子日本代表監督やトップエンデバーでコーチを務め、歴任した公立中学校でも全国大会出場を果たす。前任の藤浪中学校では全国制覇を達成した。自チームの指導にとどまらず、全国でクリニックや講習会を開催するなど、名実ともに中学女子バスケット界を牽引する存在である。

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