公開:2021/02/19
更新:2021/02/18
中学生女子の指導を長きにわたり牽引し、U-15年代の女子代表HCやトップエンデバーコーチを務めた経験を持つ鷲野鋭久監督。30年を超える指導キャリアの中で、様々な環境、選手のレベルに応じた「実戦で活きるドリル」を、数多く生み出してきました。その指導コンセプトを3回に渡ってお届けします。今回は、その中からディフェンス指導、特にマンツーマンディフェンスに対する考え方を紹介していきたいと思います。
ディフェンスの5原則
まず、ディフェンスの究極の目的は、オフェンスに得点を許さずに、ボールを獲得することにあります。その前提のもと、鷲野監督は、
チームが力を合わせてディフェンスをすることにより、オフェンスは簡単に得点することができなくなり、良いディフェンスは、良いオフェンスへとつながる。そのためには、チームディフェンスの基盤として、まず個人のディフェンス力(十分な基本技術)を身につけることが必要である。
と語っておられます。
上記に示した「ディフェンスの5原則」は、鷲野監督オリジナルの考え方で、鷲野流ディフェンスを構築するうえでの骨格となる考え方です。
【1】姿勢の準備・保持(スタンス)には、心の姿勢と身体の姿勢があります。
①心の姿勢 ……「よし、守ってやる」という戦う姿勢→ここからが始まり
②身体の姿勢……膝を曲げ、低い姿勢でゆったりとした構えですぐに動ける姿勢をとる。
次に、【2】視野の確保(ビジョン・ルック)は、フロアーバランスや時間、タイミング、コートの状況把握などが求められます。
①9+1+B+G………Defense・Offense フロアーバランスを見る。(どこに何人いるのか?どこにボールがあるのか。)
②「空間支配・数的優位」……距離計算・時間・タイミング
③状況判断(予測)……………ボールを見て、自分との関連を素早く的確に判断し、プレーヤーの心理を読む。
【3】位置の確保(ポジション)では、下記の4点がポイントになります。
①ボールマンプレッシャー……インラインを守り、手1本分の距離を保つ。
②ボールライン・ボールサイドのパスライン
③2点間のディフェンスとフロート・セッグ
④スクリーンアウトの徹底
そして、【4】意思の伝達(コミュニケーション)には、ポジショニングやポジションチェンジが存在します。
ポジション……チーム全体に意識と刺激と頭の緊張
ポジションチェンジ……予備動作に対する警戒の声と本動作に対する対策、処理
最後は、【5】目的意識(ウィル)will。どんな状況にどんな意図を持って守るのか。目的を持つこと、「なぜ(why?)」を大切にするという考え方です。
以上、5つの原則に基づき、ディフェンスの各スキルの指導を実践されています。
させない5原則とは!?
先ほどの「ディフェンスの5原則」に加えて、「させない5原則」という考え方も取り入れた指導を実践されています。
パスラインを守り、前を切らせいないこと(持たせない)。厳しいシュートチェックやドライブに対するカバーディフェンスでシュートチャンスを与えないこと(打たせない)。1対1でコースチェックを徹底し、ノーミドル・ノーボールラインで守ること(抜かせない)。クローズアウトを徹底し、ノーマークをつくらないこと(空けさせない)。スクリーンアウトを徹底してリバウンドポジションを取らせないこと(入らせない)。この5つのポイントが、ディフェンス力を高めるうえで非常に重要となります。