【特集:ロングシュート】ボールが飛ばない理由と、飛ばすための考え方 

公開:2022/02/11

更新:2022/03/04

ロングシュートに関するアンケート調査では、指導上の悩みや課題についてもご回答いただきました。その中でも数の多かった項目について、ミニバスからプロまで延べ1万人以上の選手を指導し、実績を挙げてきたシューティングコーチの今倉定男氏に、ヒントをいただきました。


今倉氏。数多くの指導経験から導かれたシューティング理論のエッセンスをお話しいただきました。

なぜボールが飛ばないのか?

──アンケートでは「ボールが飛ばない」ことに関する悩みが数多く寄せられました。「ボールが飛ばない女子への指導」「ゴールに届かそうとフォームが崩れる点を改善したい」「ボールが飛ぶようになるポイントは?」など。女子チームの指導者の多くが、「飛ばない」ことに悩んでいるようです。

今倉:これは仮説なのですが、女子は男子に比べると、幼少期にボール遊びをしない傾向があり、それが影響しているのではないかと。ボール遊びというのは、バスケットボールというより野球的な、片手でボールを扱って遠くに飛ばす運動です。そうした経験が不足していて、身体を効率よく使いながらボールに推進力を与える動作が不得手である、私はそう考えています。それともう一つ。いまだにチェストパス信仰が根底にあって、そうした指導者の下で育ってきた子どもたちは、両手でボールを扱うことを優先しシュートもツーハンドになります。アメリカでは男女問わず小学生がワンハンドシュートでボールを遠くに飛ばす光景をよく見るのですが、それとは対照的です。

──すると、初心者の段階からワンハンドでのボール扱いをしっかり学べば、ワンハンドでボールは飛ぶようになると。

今倉:はい。私が提唱している” ナチュラルパーフェクトシュート”では、ボールの持ち方をはじめとして、片手でボールを扱う技術を徹底して反復練習してもらいます。これを行うと、小学校5~6年生では女子のほうが体格が良いケースもありますので、男子よりも遠くへボールが飛ぶという現象が起こります。身体のコーディネーションを開発し、適切な技術を身につければミニバス世代の女子であっても、「遠くへ飛ばす」のは難しいことではありません。ナチュラルパーフェクトシュートの各種ドリルでは、分解練習で“部品”を組み立てて、最終的に合理的なフォームが自然に発現するように導いていきます。

ただし、そこで身につけたフォームが崩れるほどの遠い距離から無理してシュートさせるのは、よくありません。野球で言えば、中学生のピッチャーに150kmの球速を求めるようなもので、その段階での身体のサイズや筋力に応じたロングシュートのレベルを、指導者が見極めるべきです。

上半身と下半身の連動─意識の持ち方

──上半身と下半身が連動する感覚を身につけさせるのに苦労している、という質問も多く寄せられています。

今倉:シュート動作で、身体のどこの部分に意識を持っていくか。私が指導時に言っているのは、連動の順番として、踵-お尻-横隔膜-手の小指球-指先です。指導現場では足の母趾球神話がいまだに根強くて、重心が前がかりになりがちです。身体の前側(大腿四頭筋など)に頼りがちなフォームであり、これを、後ろ側(お尻、ハムストリングスなど)に意識を持っていくことで感覚を根本的に変えてもらうように促しています。実際には足裏全体でジャンプする動きであるわけですが、母趾球へ行きがちな意識を変えてもらうために、敢えて踵で地面を押すように指導します。横隔膜と言っているのは、ここを意識することで体幹のインナーマッスル(骨盤底筋群など)が働くようになるからです。

このような連動イメージと身体感覚を持って、下半身から上半身へエネルギーを伝えていきます。

効率のよいシューティング練習例

──シューティング練習のやり方について悩んでいる指導者も多いようです。多人数のチームで、どうすれば効率よくシュート練習ができるのか。

今倉:例えばリングを使う練習においては、全員が必ずシュートを打って終わる。このルーティンでシュート練習の本数を確保できます。3人、あるいは5人のセットプレーの練習で、誰か1人がシュートを打ったら、残りの2人または4人全員に対して、外からボールを入れてシュートして終わる。

近年は変わってきている部分もありますが、日本ではシュート練習が圧倒的に足りていないチームが多いです。バスケットボールで一番重要なのはシュートであり、コートで行う練習は半分以上がシュートという考え方でよいと思います。

■今倉氏が提唱する「ナチュラルパーフェクト理論」によるシューティング指導法をまとめたDVDが2022年5月ごろジャパンライムから発売予定です。


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