【特集:ロングシュート】身体の使い方一つでシュートは変わる 

公開:2022/02/18

更新:2022/03/04

三重県鈴鹿市の市立千代崎中学校では、女子中学生がハーフライン近くからワンハンドのロングシュートを精度高くリングまで届かせる。このチームを指導している今野敬司先生に、その指導内容についてうかがいました。


──ロングシュートについてのアンケートで、「女子ですがワンハンドシュートにおけるボールリリースまでのボールの動かし方、腕の使い方の指導。下半身の後ろの大きな筋肉の使い方などを指導しています」とご記載いただきました。これについて、詳しくお聞かせいただけますでしょうか。

今野:私たちのチームでは、シューティングコーチ・今倉定男先生が提唱している理論に基づく身体の使い方と練習法を取り入れています。従来、どちらかと言うと大腿部前面やふくらはぎの筋肉に意識が行っていた動作を、大臀筋とかハムストリングスをより意識しながら、股関節の屈曲―伸展動作を有効に使ってボールに推進力を与えるシューティングフォームに変えました。

最終局面では利き腕側の肩をリングの方向にターンする動きを入れ、ボールを完全に片手に載せた状態でリリースします。こうした動きを習得することよって、ロングシュートの飛距離と精度が大きく増しています。

本校の体育館はコートが少し狭く、全長25~26mですが、そのハーフの距離から難なくシュートを決められる選手が何名もいる状況です。正規の28mコートであっても、“ロゴスリー”と呼ばれる位置から、あるいはセンターサークルからのシュートを決めることができるようになりました。

──身体の大きさ、筋力も関係していると思いますが、重要なのは技術的要素、つまり身体の使い方ということですか。

今野:はい、そう思います。長い距離のシュートを決められるのは3年生が中心ですが、2年生でも何名か出てきています。私たちのチームでは、よくあるクォーターの終了間際で打つギャンブル的なロングシュートでなく、普通のオフェンスの流れの中で、打てると判断した時にはロゴスリーやセンターサークル付近からシュートを打つケースがあります。シューティングラインを正しく作って、下半身の後ろ側で生まれた力を上手にボールに伝えることができれば、女子中学生でもワンハンドで十分にボールを飛ばすことができます。

身体の使い方という意味では、私は以前から、古武術をバックグラウンドとした「二軸動作」の考え方を取り入れてワンハンドシュートの指導をしていました。この方法だと、私が伝えたイメージを動きで表現できる子と、そうでない子がいて、全員にワンハンドシュートを指導することは難しいことを感じていました。今倉先生のメソッドに触れてその限界を超えることができ、多くの選手にワンハンドシュートの技術を教えることができるようになりました。現在では、チーム全員がワンハンドシュートを行っています。中学校の女子では珍しいと思います。

──正しい技術を身につければ、中学生女子でもワンハンドシュートは上手くなれると。

今野:はい。繰り返しになりますが、「身体の使い方」ひとつだと思います。


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