『東海大学・陸川章のCoaching Philosophy』

公開:2024/02/16

更新:2024/02/20

学生バスケットボール界の名将として知られ、多数の優秀な人材を輩出してきた東海大学SEAGULSの陸川章監督による2種の作品が、この2月20日に同時リリース。コーチングフィロソフィーをテーマとしたオンデマンド作品、そしてディフェンスをテーマとしたDVDです。今回は前者のオンデマンド作品から一部を抜粋して紹介します。 ※DVDの予約特典として2月、3月、JLCオンデマンド・バスケットボールコース視聴無料


陸川コーチングの礎──デイブ・ヤナイ氏の金言

選手を引退後、NKKで社業に専念していた陸川氏が会社を辞め、一念発起してコーチ修行に向かった先は、NCAAディビジョンⅡのカリフォルニア州立大学ロサンゼルス校だった。同校でヘッドコーチを務めていた日系人デイブ・ヤナイ氏を訪ねての渡米だった。そのときの学びが、その後、東海大学で長年指揮を執る陸川氏の礎となっている。

多くを学んだヤナイ氏の言葉から、今も大切にしているフレーズをいくつか挙げ、このコンテンツの中で陸川氏が解説している。

学生バスケ5つの要諦

ヤナイ氏は、「バスケットを通して人生にとって大切なことを教える」を自身のモットーとしていた。日頃の心構えを5つの要素にかみ砕き、選手やチームスタッフに伝えていた(図1)。

図1

1.Play Hard

一生懸命、全力を出し切る。これはバスケットだけでなく仕事、勉強など人生のすべてに通じる。

2.Big Family

コーチと選手だけでなく、チームスタッフ、家族、応援してくれる方々など、チームに関わるすべての人々に対して思いやる気持ちや、助け合い、団結する力が必要。バスケットのプレーにたとえると、Help each Otherの考え方。誰かが抜かれたら誰かがカバーする。

3.Don’t Selfish

無私の精神。わがままにならず、忍耐強く自分の役割を果たし、チームに貢献する。

4.Graduation(卒業)

これからの人生に備え、学業も怠らない。コーチは選手たちの成績・試験・単位を把握すべし。

5.Have fun

バスケットボールを楽しむ。シーズンはあっという間に過ぎてしまう。人生にとって貴重な今を楽しむ。

ヤナイ氏はその指導手腕を買われ、NBAのLAレイカーズやNCAAディビジョンⅠのUCLAなどからもオファーを受けていたが、誘いにはのらなかった。なぜ行かないのか?という問いに、「トップチームに行くと勝つことがすべてになってしまう。私はバスケットを通して人生を教えたいからここにいるんだ」と語った。陸川氏はその考え方に強く共感し、大学の指導者としてコートに立ち続けてきた。

コーチが胸に刻むべきこと

さらに、コーチのなすべきこと、いつも胸に刻んでおくべきことについても、多々、ヤナイ氏から教えを受けた。図2は、その中でも陸川氏が特に印象に残っている要素を箇条書きしたものだ。コンテンツの中では、これらの金言の意味するところが詳しく解説される。

・コーチは常に問題との闘いである

・コーチは忍耐強くあること

・負けるべきときは負けたほうがよい

・人はたくさんの過ちを犯す

印象に残るエピソード

教育者として、必要なときは厳しく、という方針が徹底していたヤナイ氏は、時に練習中にペナルティを課すこともあった。当時を懐古し、笑い話として陸川氏が話すのは、”セブンティーン“と呼ばれるものだ。これは、サイドラインを17回タッチするシャトルラン形式のダッシュ。かなりきつい。ある日の練習で、選手たちの声が出ず士気が上がらなかったとき、ヤナイ氏は選手だけでなくコーチ達も全員サイドラインに並ばせ、この”セブンティーン“を命じた。陸川氏も必死に走った。チーム全体の士気を高めるための絶妙なコーチング手腕であった。

“コーチの”プレッシャーリリース

もう一つ。ヤナイ氏はコーチである前に人間としてバランスが取れていることを重視していた。ある日、こんなことを言われた。

「コーチはチームが勝つために、大きなプレッシャーを感じながら仕事をしなければならない。アメリカでも、精神的に病んでしまったり、家庭がうまくいかなくなるコーチは少なくない。もし、自分が身体を壊したり、家庭がうまくいかなくなるようだったら、コーチを辞めなさい。バスケットより人生のほうが大切だから」

この言葉を聞いたことで、その後のコーチ人生おいて深く考えすぎず、適度にプレッシャーリリースしながら日々を過ごしていく術を身につけることができたのではないか、と考えている。


陸川氏は、ヤナイ氏以外に大きな影響を受けたピート・ニューウェル、ジョン・ウッデン、テックス・ウィンター、エディー・ジョーンズ(ラグビー)の各氏の言葉も紹介しながら、自らのコーチングフィロソフィーが形作られた背景を語っている。詳しくは、オンデマンドコンテンツをぜひご覧ください!

〈オンデマンド作品情報〉 

東海大学・陸川章のCoaching Philosophy

指導・解説:陸川 章(東海大学 男子バスケットボール部SEAGULLS 監督)

<X327-1>バスケットを通して、人生にとって大事なことを教える

・デイブ・ヤナイ/ピート・ニューウェルの言葉から

・ジョン・ウッデン/テックス・ウィンターの言葉から

・エディー・ジョーンズの言葉から

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〈DVD作品情報〉※上記作品と2月20日同時リリース

陸川 章 Tokai Defense Drills & Coaching

指導・解説:陸川 章(東海大学 男子バスケットボール部SEAGULLS 監督)
■実技協力:東海大学会 男子バスケットボール部SEAGULLS

DVD2枚組 17,600円(税込)

【先行予約】
■期間:2024年2月27日(火)13:00まで
■発送:発売日の2月29日(木)より順次発送
■特典:JLCオンデマンド バスケットボールコース 2月、3月視聴無料     ※詳しくはDVD商品ページをご覧ください

東海大SEAGULL ディフェンスの信念+α

「ディフェンス、リバウンド、ルーズボールが、我々を勝利に導く」これは陸川監督が掲げる東海大学SEAGILSの信念であり、強豪であり続けるチームづくりの象徴です。この信念を土台とし、対戦相手の※「特徴や戦術」に対応していくことが陸川監督のディフェンスになります。

ディフェンスの全体像(狙い)から逆算したブレイクダウンドリル

・フルコートでボールプレッシャーをかけ、時間を奪う

・強力なインサイドの自由を奪う

・ハーフコートでは、相手の戦術(得意なプレー)を簡単にさせない 例:スクリーンプレー、ピック&ロール、ペイントタッチ&キックアウト、モーション、トランディション

本作ではこれらの全体像を踏まえたうえで、

●Individual Defense(個人) ●Group Defense(グループ) ●Team Defense(チーム)

というように少人数から順序立てながら具体的なシチュエーションに分解したドリルの数々を紹介します。

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