2バックシチュエーション──PnRと2人のシューターをどう守るか

公開:2024/03/01

好評発売中の最新DVD「陸川章 Tokai Defense Coaching & Drills」から、「ピック&ロールと2人のシューターをどう守るか」をテーマに解説されたディフェンスをピックアップします。 近年、世界的に主流となっている高度なオフェンスに対しても、簡単には得点を許さないディフェンスとは?


2バックシチュエーションに対する守り方

ここでは、ピック&ロールに対し、ウィークサイドに2名のシューターが控えているシチュエーションの守り方が解説されている。

オフェンス的には、近年のバスケットボールで主流を成す攻め方の一つであり、これをしっかり守れることが試合を有利に進める上で重要となる。

図1が、相手のオフェンスが始まるときの陣形。コーナーの背番号77番、ウィングの14番がシューター。逆サイドのオフェンスプレーヤーがピック&ロールを始めようとしている。

図1

これに対し、ピッカーのディフェンスは身体をぶつけながら簡単には行かせないようにし、その後ピック&ロールはステップアウトでユーザーを守る(図2)。

図2

ピッカーがベースライン方向にロールしたら、ボールサイドのコーナーにいるディフェンスが対応する。このディフェンスが“Low Eye(ローアイ)”の役割をする(図3)。

図3

ロールマンが捕まったので、ボールマンはシューターの控えるコーナーへパスする。これに対して、ウイングのディフェンスがコーナーの77番に対してクローズアウト。同時に、Low Eyeの役割をしていたコーナーのディフェンスがウィングの14番に対してクローズアウトする(図4)。

図4

この交差の動き(X:エックス)がとても重要になる。相手の77番と14番という2名のシューターに対して素早くクローズアウトできれば、得点確率を低く抑えることができる。

DVDでは、ここまでの動きが解説された後、ライブ練習の様子が収録されている。上記の“X”の動きが素早く行われれば、相手が攻めあぐねてしまう様子がよくわかる(図5)。

図5

ショートダイブに対する守り方

次に、相手がピックから深くロールするプレーでなく、ビッグマンがショートダイブして、そこにボールが入った場合のシチュエーション(図6)。これをどう守るか。

図6

この場合、Low Eyeのディフェンスはすぐには前に出ない。なぜかと言うと、ボールを保持しているビッグマンはまだゴールから遠いため、この段階でシュートの期待値はそれほど高くない。しかし、ビッグマンがドライブし、それに合わせてコーナーのシューターがゴール下にカット、ウィングのシューターがコーナーへスライドしてきたとき(カット&スライド)は、守り方が難しくなる。

その場合は、ローテーションで対応する。ただし、ローテーションによってミスマッチが生じるので、必要に応じてディフェンスが入れ替わる。ディフェンス間でコミュニケーションをとって、より良いマッチアップをしていくことが重要になる。図7は、相手がショートダイブからカット&スライドを仕掛けてきたのに対して、ローテーションで対応している場面。

図7


DVDでは、これらの高度なディフェンスが機能する前提となる個人ドリルから、グループドリル、さらにチームドリルまで、段階を追って多数紹介されています。「簡単に崩れないディフェンス」を構築していく過程を追体験し、チーム強化の一助として、ぜひお役立てください。

〈DVD作品情報〉

「陸川 章 Tokai Defense Coaching Drills

指導・解説:陸川 章(東海大学 男子バスケットボール部SEAGULLS 監督)
■実技協力:東海大学 男子バスケットボール部SEAGULLS

DVD2枚組 17,600円(税込)

DVD商品ページはこちら

【主な収録内容】

Disc1<1145-1> Individual/Group(78分28秒)

■Tokai Defenseの全体像

■Individual Defense

「フルコートプレス」へ適応するためのファンダメンタル、また、「インサイドプレーヤーへの対応」を想定したファンダメンタルドリルを紹介します。

■Group Defense

「ドライブ」「クローズアウトシチュエーション」「インサイドプレー」「パス&カット(モーション)」「スクリーンプレー」などに対しグループで対応します。「ギャップディフェンス」「ヘルプ&リカバリー」「ローテーション」「スイッチ」そして「コミュニケーション」を、具体的なシチュエーションに落とし込んだドリルで習得していきます。

■Group Defense “Pick&Roll”

ここではピック&ロールへの対応にフォーカスし、まずは「スイッチ」「コンテイン」「ステップアウト」の3パターンのドリルを紹介。また、発展として「ピック&ポップ」、2人のシューターに対する守り方を紹介します。どれもピック&ロール後の展開まで想定した総合的なドリルになります。

Disc2<1145-2> Team/Trandition/Press(70分15秒)

■Team Defense

まずはエントリーとしてよく使われるスクリーンプレー3パターンに対するドリルを紹介します。エントリーが崩れるとピックゲームに入る傾向がみられるため、そこまでを想定した内容になっています。次に、5on5にマッチアップした後にドライブで破られた場合を想定したローテーション、強力なインサイドに対するダブルチームのドリルを紹介します。

■Transition Defense

相手のスピードを止め、お互いにカバーしながらイーブンナンバーに戻し、ハーフコートでマッチアップするまでの分解ドリルです。

具体的には「スプリントバック」「トランディションスリー対応」「ドラッグスクリーン対応」「マッカビモーション対応」といった内容になります。数的不利の状況におけるカバーや、マッチアップを戻す連動、その際のコミュニケーションがコーチングポイントになります。

■Press Defense

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