「勝てる」を感じるまでは勝負をしかけない 恩塚亨×慶誠

公開:2025/10/17

更新:2025/10/16

10月17日から配信開始のJLCオンデマンド新作、恩塚亨クリニックシリーズ「慶誠」では、熊本県の慶誠高校女子バスケットボール部で行われたクリニックの様子を収録。開口一番、恩塚氏は孫子の兵法を引用して、戦い方の鉄則を説明します。孫子の兵法をバスケットボールに当てはめると、どんな原則が見えてくるのか?

選手自身に理解させることの意義

古今東西の武将や経営者がバイブルとして愛読した孫子の兵法には、バスケットボールにも通じる内容が多々示されている。このクリニックで恩塚氏は、コートでの練習に入る前に、孫子が説く「戦い方」について熱く語り始める。戦い方の原則を、指導者対象でなく、選手たちに直接理解させることの意義が強く伝わるオープニングとなった。

技術がいかに高くても、戦い方が下手だと勝てない。少しでも自力に勝る相手と試合する時に戦い方が下手だと、まず勝てない。しかしバスケットボールは、自力で相手に劣っていたとしても、チーム全体で“良い戦い方”をすれば勝てるスポーツである。

そのために、孫子が兵法で語っている原則を知ってほしい。それが恩塚氏の話の趣旨だ。

勝つことを急ぐと危ない

バスケットボールでよくあるのが、相手チームのフィジカルが強く、自分たちがやろうとするプレーをことごとく潰されてしまうケース。その状況下では、意固地になって戦いを挑んでも、多くの場合は負ける(図1)。

図1

ゲーム映像の事前分析で、恩塚氏は慶誠の課題として下記の2点を挙げた。

・フィニッシュの場面で、ブロックにきた相手に勝てていない状況のまま、突っ込んでしまう。

・ピック&ロールで相手をはがせていない(勝てていない)まま、フィニッシュにいってしまう。

まさに、勝つこと急ぐ典型的なパターンに陥っていた。

ダメそうなら何度でも作り直す

このパターンに陥らないために最も重要なことは、

「勝てる」を感じるまでは勝負をしかけないこと。

これは多くのチーム、選手ができていないことだ。相手が強かったとしても、気持ちで向かっていけば勝てる、と考えてしまいがちだが、孫子は全く別のことを説いている。

「チャンスがあったら攻めろ、でも向こうのほうが少しでも強かったら無理して攻めるな」

つまり、チャンスが来るまで待つ(図2)。

図2

今なら誰でも勝てるという状態まで我慢する。相手の状態が崩れるまでは自分たちも崩れない。そのように我慢しながらボールをつないでプレーをつないでいって、相手にズレが生じた瞬間に一気に攻める(図3)。

図3

1対1でアタックしようとしてダメそうだったら、そのまま強引に行くのではなく、チームでアクションを起こしてオフェンスを作り直す。これを何度も繰り返して相手が崩れるのを待つ。このような勝負の仕方を磨いていくことが、勝てる確率を高めていく。

クリニックでは、戦い方の原則をインプットした上で、オンコートでのドリルに移行していきます。選手たちの動きがどう変わっていくのか、本作をぜひご覧ください!


>>>JLCオンデマンド 恩塚亨クリニックシリーズ「慶誠」

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