相手のブロックに勝つための情報と判断 恩塚亨×慶誠

公開:2025/10/24

不利な状況なのに強引に攻めていき、結局は確率の低いシュートを打ってしまう。これはオフェンスにありがちな悪循環の1つですが、恩塚亨氏のクリニックシリーズ最新作、慶誠高校編では、そのパターンの解決策が示されます。

相手のブロックに対して“勝てる”状況とは

前回記事でも紹介したとおり、オフェンスでは、相手ディフェンスとの関係性の中で、“勝てる”のはどんな状況なのか、これを理解し、その状況になるまでは無理して攻めないことが大切だ。

では、1対1でフィニッシュに向かうとき、ボールマンがブロックに来た相手に“勝てる”状況とは? それは、「相手の両手が挙がっている状態」だ。手が挙がっていると身体がオフバランスになっているため、シュートブロックのために高くジャンプすることができない。そのままレイアップに行ってOKだ。

反対に、相手の両手が挙がっていない状態であれば、まだシュートを打たないほうがよい。ここでシュートを打たない選択をできるかどうかが、得点力の決め手になる。いったんシュートを回避し、フェイクを入れて相手が反応してくれれば、より安全にフィニッシュできる。

多くのプレーヤーは、打とうとするシュートがいけそうかダメそうか、自身の感覚として捉えてはいる。しかし、なぜそうなのかを説明できる人は少ない。プレーヤー自身が“勝てる”状況とは何なのかを明確に理解し、プレーの中で “今勝てるか勝てないか”を瞬時に判断できるよう、練習を重ねるべきだと説く。

相手をよく見て“勝てる”を感じる

作品では、この判断のパターンを練習するドリルがいくつか紹介される。

最初は、「フェイクワンステップ」のドリル。相手の両手が挙がっているかどうかを見て、瞬時に次の行動を選択する(図1)。ボールマンはエルボー附近からスタートし、ワンドリブルしてボールを高く挙げる。このフェイク動作をしながら、ディフェンスの両手が挙がっているかを見る。もし両手が挙がっていたら、そのままの体勢でシュートを打ってもよい。

両手が挙がっていなかったら、もう1歩踏み込んでシュートを打つ。

図1

このドリルでは、相手の体勢を見極めるのが最大のポイントだ。相手をよく見ること。

図2は、相手がオフバランスながらもブロックに来るとき、進行方向のサイドでそのままブロックするか、背後に回り込んで反対サイドからブロックに来るかを見て、シュートの仕方を選択するドリル。それぞれ、相手から遠いほうの手でのシュートを選択すべきだ。図2では、左手でのシュートを選択している。

図2

図3は、ディフェンスの両手が挙がっていなかった場合(つまり、まだ“勝てる”状況でないとき)に、もう1歩踏み込んでリバースショットを打つ練習だ。リングの反対側に回り込むことで、ネットが邪魔になって相手はブロックしずらくなる。自分にとってちょうど良い位置でリバースショットを打つ感覚を磨いていく。

図3

実際のクリニック動画では、このように相手の状態を見るトレーニングから始まって、1対1、さらにコンタクトありいったパターンで少しずつ実戦に近い状況を設定してドリルが進んでいく。

ブロックに来た相手に対して、どうすれば有利な状況をつくれるのか。これを選手たちに正しく理解させ、方法を学ぶために、このクリニック動画をぜひご利用ください。


>>>JLCオンデマンド 恩塚亨クリニックシリーズ「慶誠」

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