公開:2026/06/12
更新:2026/06/10

「スポーツドリンクと経口補水液の違いは?」という問いに対して、明確に答えることができるでしょうか? 熱中症対策を本気で考えなければならない季節を迎え、今、更新しておくべき水分補給の最新情報を、公開中のオンラインセミナーから抜粋します。
このオンラインセミナーは、水分補給や熱中症予防について各種メディアを通じて啓蒙活動している谷口英喜医師(済生会横浜市東部病院 患者支援センター長/栄養部部長)が、主に養護教諭を対象に収録したものだ。養護教諭向けではあるが、スポーツ指導者にとっても非常に有益で、今すぐ使える情報が満載されている。その中から、冒頭の「スポーツドリンクと経口補水液の違いは?」への回答となる部分を抜粋する。
脱水時に経口補水液が“一択”である理由
最大の違いは、飲んだ後に消化器官で起こる現象だ。スポーツドリンクの場合、一般的に水分が体内に吸収されるまで時間を要する。大量に飲むと胃にたまる感覚があるのはそのせいだ。これに対して経口補水液はエネルギーが低いため、速やかに胃を通過する。水分は小腸で吸収されるので、可能か限り素早く小腸に届いたほうがよい(図1)。

小腸で水分が素早く吸収されるのには、“ナトリウム・ブドウ糖共輸送機構”が関係しており、これは、腸管と血管の間のナトリウム濃度の違いを利用してブドウ糖を血管内に送る人体のメカニズム。ナトリウムとブドウ糖が腸管から血管内に移動するとき、同時に水分も移動する(図2)。

経口補水液は、このメカニズムをもとにつくられている。水分・ナトリウム・ブドウ糖を小腸で最も効率よく吸収できる比率が国際的に決められており、この基準を満たさないものは経口補水液を名乗ることができない。
医療現場でも用いられる経口補水液は、明確に「脱水症状の改善」に特化した飲料であり、水分と電解質の吸収速度が圧倒的に速い。スポーツ中に脱水症状が疑われる場合は、迷わず経口補水液を飲ませることが、最良の選択肢となる。スポーツドリンクやミネラルウォーターではなく、経口補水液だ。脱水症や熱中症への対応は時間が勝負であり、心停止に対するAEDと同じ。躊躇する理由は全くない。経口補水液はアレルギー反応を心配する必要もない。
各種飲料の使い分け
スポーツドリンクは経口補水液のような基準はなく、飲料メーカーはそれぞれ特徴を謳ってさまざまな商品を出している。その選択基準についても、谷口氏は本セミナーで言及している。エネルギー補給効果が高い、あるいは電解質補給効果が高いなど、商品別に傾向がある(図3)。

スポーツ現場では、緊急時を想定して経口補水液の準備は必須と言えるが、通常時の水分補給を目的として常に経口補水液を摂取する必要はない。これまで通り、外的環境や運動強度に応じて、各種スポーツドリンクやミネラルウォーターや麦茶などを過不足なく摂取できる環境を整えることが大切だ。
今回紹介したのは、谷口氏によるオンラインセミナーの、ほんの一部です。近年は猛暑が常態化し、夏場のスポーツ活動のリスクが高まっています。スポーツ活動中の備えに不安を感じている指導者の方々は、ぜひご覧ください。詳細は下記リンクから。