ボールムーブメントに関する8つの鍵:理論編

公開:2021/09/10

更新:2021/08/20

このコーナーでは、北米で多数のコーチが視聴しているコーチング動画サイトBasketball HQから、おすすめのコンテンツを紹介しています。 ※ジャパンライム株式会社が翻訳掲載の権利を取得した上で制作しています。

8 Keys to Ball Movement in Basketball

この記事は、Basketbal lHQの共同創設者であるKyle Ohmanによって書かれたものである。


バスケットボールで高レベルのオフェンスを実施するために必要なのは、プレーヤーを適切なポジションに配置することだ。これはすなわち、プレーヤーが持っているスキルを活用するには、スペースとタイミングが必要であることを意味する。スペースとタイミングがなければ、超一流のシューターでさえ、できることには限界がある。

スペース、タイミング、ボールの動きの欠如は1対1のシチュエーションを生み出し、その結果、ショットの成功率が低くなり、ディフェンス側のゲームプラン優位の展開となってしまう。

ボールムーブメントのもう1つの要点は、それがディフェンスに対して行われるということ。ボールがプレーヤーからプレーヤーへとすばやく移動できるほど、ディフェンスはコミュニケーションやローテーションなどをより高い精度で行う必要があり、そこに、ほころびが生まれる可能性が高まる。

質の高いボールムーブメントは、攻撃を容易にするだけでなく、ディフェンスをはるかに困難にする。これは、バスケットボールにおいてボールムーブメントに高い価値を置くことの裏付けとなる。以下、ボールムーブメントに必要な8つのキーポイントを挙げる。

1.ボールリバーサル

バスケットボールでオフェンスを展開するのに最適なタイミングは、フロアの片側から反対側に移動する時だ。これを生み出す唯一の方法は、ボールをすばやくリバースすることだ。オフェンスプレーヤーが毎回ボールをキャッチしてホールドすれば、ディフェンスは問題なく間合いを詰めてカバーすることができる。しかし、ボールが周囲をすばやく移動する場合は、ヘルプディフェンダーがはるかに長い距離をカバーする必要がある。これは、オープンショット、バスケットでのフィニッシュのためのドライブ、シューターのためのドライブとキックを可能にするものだ。

プレーヤーは、自分がボールをキャッチする前に、来たボールをどうするかをすでに考え、予測している必要がある。ボールが手元に届く前に、ディフェンスを読んで、シュートを撃つか、ドライブするか、味方にボールをパスするかを決定しておく。

ボールが左右に移動する回数が多いほど、ディフェンスがローテーションしてクローズアウトする必要がある。ボールが回ってくる前に、逆サイド側で準備する。パスをキャッチしたら、近すぎるディフェンダーに対してアタックし、ディフェンダーが手を下に向けた瞬間にシュートを打つ。

重要なことは、パスをキャッチしたらボールを保持しないこと。1プレー先を読んで、自分のプレーを選択する。無駄にドリブルしない。クローズアウトに対してドライブするか、シュートを打つか、ボールを味方にパスする。

2.プレーヤーの動き

プレーヤーの動きがなければ、ボールを動かすのは難しいか、時には無意味になってしまう。ペリメーター周囲で立ち止まってボール回しをしていても意味がないが、逆に、スクリーン、スペーシング、フィリングなどを使用して激しくカットしているプレーヤーがいる場合、様々な可能性が生まれる。これにより、パスが成功する可能性が高まるだけでなく、ディフェンスが移動およびローテーションするように強制され、ディフェンス崩壊の機会が生まれる

オフェンスプレーヤーは、ディフェンスの動きを読んで、使用するカットの種類とカットするタイミングを決定する必要がある。カットでボールを受け取らなかったとしても、オフェンスは全員が激しくカットし、ディフェンスに対応を強制する必要がある。フロアにいる5人のプレーヤー全員がこれを行っている場合、最終的には誰かにシュートチャンスが生まれる。カットする前にディフェンダーを身構えさせ、ゆっくりとした動きから素早い動きへ切り替えてカットする。自分のカットがチームメイトのシュートチャンスを切り開くかもしれない。

3.スクリーン

スクリーンをセットする目的は、ディフェンス側を不利にすることだ。適切に実行されたスクリーンは、ディフェンス側にコミュニケーションと連携を強制する。バスケットボールにおいてスクリーンを守ること、特に連続して複数のスクリーンアクションがある場合は、ディフェンスの対応が最も難しいことの1つとなる。どんな種類のスクリーンであろうと、それがうまく行われれば、ディフェンスはカバーするために多くの労力を割かなければならないだろう。

オフボールスクリーンは、フロアの逆サイドでドライブのためのスペースを開く。優れたオフボールスクリーンは、ディフェンスのヘルプを防ぐ効果を生み出す。つまり、バスケットへのオープンドライブを意味する。

4.ドリブルペネトレーション

ドリブルぺネとレーション

ドリブルは、オフェンスプレーヤー間で目まぐるしくボールが動くボールムーブメントとは相反するプレーともなり得るが、シチュエーションによっては有効なプレーである。

ディフェンダーよりもスピードのあるプレーヤーや、1対1のマッチアップで強さを発揮できるプレーヤーがいる場合は使う価値がある。ペネトレーションするのに最適なタイミングは、ボールリバーサルされた瞬間、または別のオフェンスプレーヤーにドライブからキックアウトされた瞬間だ。

これにより、ボールハンドラーはディフェンダーのクローズアウトを利用できるようになる。また、ヘルプディフェンダーも間に合っていないため、スペースも確保される。チームとしてのボールムーブメントを前提とした、決して利己的でないドリブルペネトレーションは、優れたツールになり得る。

ドライブするプレーヤーは、決してキャッチアンドホールドしないこと。一瞬でもボールをホールドするとディフェンスがリカバーし、ボールの動きが止まってしまう。また、過度にはペネトレートしない。深く入りすぎると、パスカットされる可能性が高くなる。

5.パッシングレーン

ボールをプレーヤーからプレーヤーにすばやく移動させるには、明確なパッシングレーンが必要となる。これは、パスをキャッチするプレーヤーが適宜移動し、スペースをつくり、そのスペースを埋める必要があることを意味する。オーバーヘッドパス、ループパスはターンオーバーの可能性が高いし、レシーバーに到達するのに余分な時間がかかり、ディフェンスにリカバーの時間を与えてしまう。

オフザボールのプレーヤーは、適切なパッシングレーンを創出すべく、常に注意を働かせて動かなければならない。

移動するのに最適なタイミングは、ディフェンダーが顔をボールに向けた時。特にボールがポストに入った時は、パッサーとのアイコンタクトが重要だ。

6.インサイドアウト・ポストプレー

インサイドアウト・ポストプレー

ひとたびボールがポストに入れば、各プレーヤーが激しくカットしてお互いにスクリーンをセットすることで、多くの得点チャンスが生まれる。

アウトサイドプレーヤーは、ポストプレーヤーとアイコンタクトを行いながら、上下に移動してパッシングレーンをつくる。特にウィークサイドでのハードカットは、ショットのためのすばらしいパッシングレーンを創出するだろう。

7.セットプレー

 セットプレーは、チームが停滞していると感じた場合に特に役立つ。局面打開のためのセットプレーが自らのプレーブックに含まれていることを確認しよう。

8.利己的でないプレー

利己的でないプレー

ボールムーブメントが優れているチームを見ると、彼らが利己的ではないことがすぐにわかる。彼らはチームのためのベストショットを探していて、それがすべてである。

この無私の精神をプレーヤーに説明するときには、これが実際に得点の平均値を上げるのに役立つことを強調しよう。プレーヤーにとっては、単に低いパーセンテージのショットを高いパーセンテージのショットと交換しているだけである。そのことを理解させよう。

5人のプレーヤー全員が激しく動いてプレーしている場合、シュートチャンスが多数生まれ、それらはすべてより高いパーセンテージのショットになる。これは、各プレーヤーが多くのシュートチャンスの機会を得るだけでなく、その成功率も高まるということだ。

ここまで述べてきたように、各プレーヤーがお互いにチームメイトのためにシュートチャンスを創り出すためのボールムーブメントは、オフェンスを成功に導く必須条件である。 けれどもゲームの特定の時点で、チームにとってビッグポイントを必要ととなる局面では、チームのベストシューターが難しいショットにチャレンジする自由も必要である。そのプレーヤーは、チームメイトからの信頼の下に、そのプレーを選択できなければならない。

サンアントニオ・スパーズのボールムーブメント

サンアントニオ・スパーズのような一流チームのオフェンスを見ると、ボールムーブメントの重要性がよくわかる。ボールムーブメントは、フロアにいる5人のプレーヤー全員に対して、高いパーセンテージのシュートチャンスを生み出す。厳しくコンテストされたショットを撃つ代わりに、彼らはディフェンスを動かし、貧弱なクローズアウトを利用し、そしてワイドオープンととなったプレーヤーにボールを届けている。

これはすべて、フロアにいる5人のプレーヤーが利己的でなく、素晴らしいショットのために自らが犠牲になることをいとわないプレーから来ている。こうしたボールムーブメントの重要性を理解させるには少し時間がかかるかもしれないが、一度成功すれば、攻撃が流れ、高い確率のショットが得られることがわかる。ボールムーブメントを強調する練習に時間を費やして、その重要性を何度も説明しよう。

>>次回はドリル編です(9月24日公開予定)。

あなたの悩みや疑問に“あの”名将が答えます。
回答は、当サイト内で順次公開!
名将からのアドバイスでより良いコーチになるチャンスです!