ビリー・ドノバン 2010年フロリダ大学クリニックノート

公開:2021/02/04

更新:2021/02/22

このコーナーでは、北米で多数のコーチが視聴しているコーチング動画サイトBasketball HQから、おすすめのコンテンツを紹介しています。 ※ジャパンライム株式会社が翻訳掲載の権利を取得した上で制作しています。

Billy Donovan 2010 Florida Coaches Basketball Clinic Notes

ビリー・ドノバンは元フロリダ大学のヘッドコーチ(現在はNBAオクラホマシティーサンダーのヘッドコーチ)。これは彼が2010年フロリダ大学のバスケットボールコーチクリニックで話した時のノートだ。

ビリー・ドノバンはフロリダ大学を強豪校に育て上げ、NCAA全米トーナメントで2度の全米制覇を成し遂げた。ドノバンは現在もNBAでプレーしている、もしくは、していたプレーヤー(ジョアキム・ノア、コーリー・ブリューワー、アル・ホーフォード、 ブラッドリー・ビールなど)をこれまで指導してきた。彼は最も優れたバスケットボールコーチの1人と言える。

ヘッドコーチとしての準備

試合当日にヘッドコーチとして彼が行っていたこととは?

・チーム、そしてプレーヤー達の高揚感(モチベーション)を理解することが大切である。このことをしっかりと念頭に置く。

・どれだけ多くのビデオを見ても、素晴らしいスカウトをしても、シュートアラウンドが良くても、それらは関係なく、チームとしてその日のゲームでプレーするための準備を怠ってはならない。

・パット・ライリーからの引用:昨日のプレーの準備は必要ない。今日のプレーのために準備することが大切だ。

・「プレーヤーは正しい心構えを持っているか?」常に評価し尋ねること。

・アシスタントコーチ、ストレングスコーチ、そしてトレーナーからチームの動向について情報を得る。

・プレーヤー達のボディランゲージ(プレースタイル、プレーから心情など)を読み取ること。プレーヤー達は頻繁にボディランゲージを通じてコミュニケーションをとる。

・プレーヤーが何を考えているか、何を心の中にとどめているか、プレッシャーなく話すことができる機会を与える(不安など、今ある全てを吐き出せる環境をつくる)。

・いかなる問題も解決する。慣れている方法でそれを行うことを勧める。ただし、重大な問題が発生した場合には、必ず正面から問題を解決するように努力する。

・対立している場合、全てのことを同じテーブルの上に置くことは大切だ。偏らないよう、色メガネで見ないよう、同じレベルで話し合う。

・常に隠さずに、正直にコミュニケーションをとる。全ての事柄をチームとして腹を割って話し、取り組む。

・常にうまくいくとは限らないが、常に解決する(方向を決める)ことはできる。

・コーチとして一番恐れていることの一つ:解決することに時間がかかりすぎ、それが勝敗に影響。しかし、それは、たった2分間の会話によって防ぐことができた。

・どんなプレーヤーも意志を持っている。ライトが点灯すると、プレーヤーは変わり、意志は変わる。プレーヤーの意志を理解することは大切。

・ベストプレーヤーの意志は、それが少しの可能性だとしても”次の良いプレー”を生み出す。

・プレーヤーの行動は、プレーヤーの態度とは異なる。行動は全て監視して正すことができる。しかし、態度は問題の根源を修正したかどうかを反映している。

・ゲームの日のロッカールームでのプレーヤーの行動を知り、理解すること。ゲームに向けて全員が異なった準備の仕方をする。

・同様に、ゲームに向けて準備するためには、自分自身のことに集中する必要があることを理解する。準備をするために他のプレーヤーを使うことはしてはいけない。

ゲーム中に留意すべきこと

・悪い状況下で交代プレーヤーを送り出す時、ゲームの状況にしっかりと適合することを話してから出場させる。

・アシスタントコーチにプレーヤーを扱うことを許す。特にプレーヤーが感情的になってしまっている時(興奮をしずめるなど、モチベーションアップなどにも)。

・決してベンチの前で感情をあらわにしない。

・ゲーム後にいかなる問題も解決する。

何かがうまくいっていない時には、今、何をすることがベストなのか、うまく好転するか、を考える。このようなことを練習中、そしてゲーム中に考えることは、練習やゲーム前に完璧な練習計画やゲームプランを考えることよりも大切だ。 常に自分自身に起こりうるあらゆる事柄を、どのように対応するべきか、自分自身に問いかけるようにする。

オフィシャル(審判団)

・いつも誰がオフィシャルなのか知ること。

・リスペクトした上で、オフィシャルと腹を割った会話の機会を設けられるようにトライする。

・オフィシャルとのやり取りの中で起こりうる最悪のことは、オフィシャルがコーチを止めるか、コーチを対処しなくなるケースだ。

・もしコーチがオフィシャルに対してしっかりとリスペクトした姿勢(態度)を示せば、コーチが怒りをあらわにした時に、オフィシャルはミスを犯したことに気がつく(気づいてくれるかもしれない)。

・オフィシャルがミスを認めた時はその対応をリスペクトし、そのリスペクトした態度をしっかりと示す。

・他のコーチならどう考えるか、という視点を持つ。特にオフィシャルに対して頑固になってしまっている場合。

・オフィシャルを定期的に見ている場合、オフィシャルに自分のチームに対してリスペクトしてもらうようにする。そしてコミュニケーションのための糸口をつくるようにする。 ・プレーヤーに対しては継続的に、どのようにオフィシャルとコミュニケーションをとるか、教育しておく(プレーヤーもオフィシャルに敬意を表すること)。

チームは肯定的な観点で見られていることをしっかりと理解し、もしオフィシャルの態度、表現、話し方などを誤るようなことがあれば、反省することになる。

その他、重要な要素

・ゲーム中のケミストリー(ゲームの流れや雰囲気に影響されて、いろいろな現象が起こること)の問題。これはコントロールできない要素であるため、周りに常にアジャストすることがポイントとなる。

・ゲーム中にチーム内に存在しているケミストリーの問題が何かを知ること。チームは生もの。常に変化する。その変化を注視。問題が起こったことを素早く察知して、すぐに解決する。

・いかなる問題に対しても正しい方向(チームの方向、シーズン当初の方向)に立ち返る。

・エキストラパスの機会を探す。もしプレーヤーがシュートチャンスを見逃している場合、もしくはプレーヤー自身がメンタル的に落ちてしまっている場合。

・アシスタントコーチは異なったアングルからゲームを見ている。気がつかないところに気づく。

・もう一度確認、「チーム全員が一緒になって正しい方向に向かっていき、次の正しいプレーをする」ことが非常に大切。

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