公開:2021/10/18
更新:2021/10/15
2021年9月に実施したオンラインセミナー「実践例から学ぶ映像分析の活用法 Vol.2」で司会進行を務めていただいた、株式会社SPLYZAバスケットボール分析班鈴木さんによるレポートを紹介します。
9月4日からスタートしたオンラインセミナーシリーズ「実践例から学ぶ映像分析の活用法 Vol.2」
今回も豪華講師陣にたくさんお話しいただきました。「映像は使うもの」「有効活用すべきもの」だと改めて感じさせられたシリーズ vol.2となりました。
目次 |
全3回のセミナー講師のご紹介 |
「映像を使う」ということ |
全3回のセミナーを通して強く感じたことは、「映像は使うもの」だということです。
「シュートを決めるためにシューティングをする」
「コンタクトを強くするために筋トレをする」
「筋トレを最大化するために食事のタンパク質量を増やす」
「振り返って明日に向けて準備するためにバスケノートをつける」
「コーチが指導力を高めるためにウェビナーに参加しノートをとる」
ように、目的のために映像を使っています。
上記の例にももちろん優先度に差はあると思います。これらに比べると映像分析は優先度を下げられ、後回しにされがちです。しかし、講師の方々は同じように大事なものとし、映像を使っていました。
では、どのように使っているのでしょうか。
このあと、実際の取り組みを紹介していきますが、根っこにあるのは「個人の成長とチームの成長」です。それを踏まえた上で読み進めてみてください。
共通理解を深める
バスケットボールに限らず、オープンスキルのチームスポーツには共通理解が必須です。わずかな時間で判断し、味方と連携しなくてはいけないからです。
この共通理解は、チーム全体はもちろんですが、コーチ同士、プレイヤー同士、コーチ-プレイヤー間、それぞれでも必要になります。チームのどこでも阿吽の呼吸があるような状態はその理想系です。
コーチがいくら素晴らしいバスケットボールの設計図を描いても、プレイヤーが理解しなくては理想のままで終わってしまいます。
またプレイヤー同士もその瞬間で思い描いたものが違えばただのターンオーバーです。
この共通理解は色んな方法で養うことができますが、映像もその方法の大事な1つとして皆さん利用されていました。
イメージを共有する
コーチがイメージしているプレーや動きを伝える際に、映像を使っていました。映像は視覚に訴えかけられるので、プレーイメージの共有においては最も効果のある方法の1つです。
デモンストレーションもイメージ共有においては有効です。ただ、実際に試合で使っている様子を見せなければ伝わらないイメージや、自分たちの映像を見せることで自身の記憶と合わせることができるので、映像は非常に有効です。
専修大学の佐々木監督はフォーカスしているプレーを集めて、プレイヤーに見せるようにしていました。フォーカスするプレーは時期によって違い、シーズン序盤はその1年で基礎となるチームオフェンスやチームディフェンスの土台の部分をフォーカスし、シーズンが進んできたらその上に積み上げていくものや細部にフォーカスしていました。
実践学園中の森監督は練習前のモデリングで、お手本となる映像を共有しています。Bリーグのプレーを見せたり、森監督が作った映像をレクチャーの映像を見せているそうです。モデリングとしては森監督や他のコーチが目の前でデモをすることもあるそうです。
コミュニケーションのきっかけに
映像を使うことで、副次的ではありますがコミュニケーションのきっかけになり、それによって共通理解が深まるようです。
千葉経済大学附属では、昨年コロナ禍で週に1回Zoomでミーティングしていたそうです。その際に、過去の試合映像を利用して生徒にプレゼンをさせていたそうです。生徒のプレゼンに対して池端監督が解説した際に、生徒からさらに質問があったそうです。普段はあまり人前で手を挙げたりするタイプではない生徒が質問したりと、そこからコミュニケーションが深まったとのことでした。
専修大学では、練習の映像を撮影しながら編集し、練習後すぐに自分のプレーをプレイヤーが見れるようにしていました。このあと触れる振り返りもそうですが、そのときに同時にプレーしているプレイヤーも分かるようにしているので、気がついたことがあったらそのプレイヤーと一緒に見れます。自然と意見交換、コミュニケーションが生まれているようです。
共通理解とは同じ認識を持つことです。互いの認識を擦り合わせることで共通理解が深まります。コミュニケーションもその方法の1つ。映像を使うことで互いのイメージも伝わりやすくなり、そこをきっかけにコミュニケーションも発展すれば、より共通理解が深まります。
練習中のコーチによるデモンストレーションと解説、質疑応答だけでなく、映像も使い、「デモンストレーション×言葉によるコミュニケーション×映像」と掛け合わせは効果的です。