「審判を敬うこと」をプレーヤーと保護者に教えよう

公開:2021/03/12

更新:2021/02/22

Respect Refrees

シーズンが始まった時、ギャリー・ローボウは全ての保護者に手紙を送った。そこには、バスケットボールに関わる全ての人の役割が説明されていた。プレーヤーはプレーと応援、コーチは指導と応援、家族と友人は応援だけ、審判は判定、と強調した。

「我々は、自分たちが演じる役割を勘違いしてはいけない」とローボウは言う。彼はユタ州とカリフォルニア州でユースチームのコーチを15年間務めている。
「誰かがその役割を混同したり、自らの領域を越えたりしたら、チームは混乱し、パフォーマンスに影響が出る。審判と口論すると、実力を最高のレベルで発揮するために必要な集中力が落ちる」

彼は、それはコーチにも同じことが言えると言う。
「私が自分の役割を越えたり、異なる役割(審判)を演じようとする度に、誤ったメッセージをプレーヤー、審判、保護者や友人らに伝えてしまう」

試合が終わった時、ローボウのチームのプレーヤーは審判にお礼を言っている。
「これは、我々にとって非常に重要だ。審判がコートから離れてしまったら、我々は追いかける。確実にお礼を言うためだ」試合中、審判と口論になったプレーヤーがいたら、その者を先頭に行かせる。
「もし私のチームの誰かが相手チームのプレーヤーや審判に対して失礼なことを言ったり、不適切なジェスチャーをやったりしたら、そのプレーヤーは試合が終わったらその相手に対して謝罪し、握手をしなければならない」
「我々の態度を是正する権限がある人々に敬意を持つことを、プレーヤーに教え込まなければならない。これは、彼らのこれからの人生に非常に役立つことだ」

これは、近頃、暴言のターゲットとされている審判にとっては嬉しい話だ。最近の研究で、審判の数が減っていることが示唆されているが、それ(審判が暴言を浴びていること)を裏付けている。

イギリスでバスケットボールの審判をしているビル・バクスターは、アメリカで審判が直面している問題と同じことがイギリスでも起こっていると言う。
「地域のリーグで審判をやめた審判を何人か知っている。なぜなら平日、仕事の後の4~5時間に及ぶ試合で、敬意を示されない上に、暴言ばかりを吐かれ、報酬は雀の涙だからだ」だから審判を増やすために、この10年で初めて、報酬を増やし交通費を支給することにしたのだそうだ。

バクスターは現在74 歳。バスケットボールを愛しており、肉体的・精神的に可能な限りは審判を務めようとしている。彼は審判が直面している暴言や罵倒をやめさせないと、審判の数は減り続けるだろうと言う。

審判に敬意を表することに重点を置こう。プレーヤー、保護者、そしてファンはあなたを手本にしている。あなたはコーチとしての自分の役割を全うし、審判には気持ちよく仕事をしてもらおう。

Basketball Coach Weekly日本語版87号より

(本コーナーでは、JLC e-bookストアで販売している『Basketball Coach Weekly日本語版』のバックナンバー記事から、抜粋して掲載しています)

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