公開:2021/09/17
2021年8月17日(火)より、毎週火曜日に全5回のシリーズで開催のセミナー「U15世代における指導の進め方~チームづくりから技術指導まで~」。第3回講義のテーマは「オフシーズンの取り組み方」。オンシーズンに向けて、どのような取り組みをするべきか。今回も高橋和也先生に、指導者として押さえておきたいポイントを紹介していただきました。
オフシーズンを「一度チームができあがった後、直近の主要大会まで1か月以上ある期間」と定義して、まずは受講者の皆様に「オフシーズンはあるのか?」「ある場合はどの程度の期間か?」という問いかけをしました。地域によって差はありましたが、冬の時期に1か月~2か月程度オフシーズンがあるというチームが多いようでした。皆さんのチームはいかがでしょうか?
オフシーズンに取り組むべき練習は?
その後、「オフシーズンに取り組むべき練習」として、大きく3つのポイントをお話しいただきました。
1.弱点補強
2.チーム内の役割変更
3.戦略的な意図を持った練習試合
さらに、番外編としてクロストレーニング(他競技の練習)や小学生向けのクリニック、高校への練習見学(練習参加)など、ほかのカテゴリーとの交流も、オフシーズンにぜひ取り組みたいこととして紹介していただきました。
意外と大事なこととは?
そして、オフシーズンだからこそ取り組みたいことの中でも、「ルール、審判の勉強」「勉強」「リフレッシュ、レクリエーション」の3点が、意外と大事なことだとというお話がありました。
ただバスケットボールの練習をするだけでなく、楽しむ要素を加えながらオンシーズンに向けてチームの士気を高めていく。中学生年代の指導ならではの工夫や押さえておきたいポイントが満載の講義となりました。
最後に、質疑応答の内容を一部ご紹介します。
Q1.『オフシーズンにチームを作り上げていく際に、戦術やフォーメーションなどを新しく取り入れたいときはどのようにしていますか?』
A.『例えば、雑誌や書籍や動画で練習法を見るのも一つです。また、最近だと国際大会でいろんなチームのプレー・動きを見ることができるので、その中からヒントを探して「これは日本代表がやっていたプレーだよ」とか、「アメリカ代表がやっていた動きだよ」という伝え方をすることで、「代表選手と同じ動きをしているんだ!」と選手もモチベーションが上がるのではないでしょうか。もっと身近なところで言うと、「前に負け他チームがやったプレーはこうだった」「全国大会に出ているチームの動きはこうだった」などと教えるのも一つです。指導者が自分自身で考えるのも必要ですが、利用できるものは利用するという考え方も重要で、強いチームがやっているということは、その強いチームが試行錯誤を重ねた上にたどり着いたものだと思いますので、それに一回乗ってみるというのも一つの方法だと思います。』
Q2.『全国大会に出場したり、大会が多くなったりするとオフシーズンがない状況になるかと思いますが、その際に気を付けることはどういう点でしょうか?』
A.『オフシーズンがない場合は、リフレッシュをどう取り入れていくかが重要だと思います。清田中学校時代は選手が十数名しかおらず、当時は3月に都道府県選抜があり主力選手が選抜チームなどに取られる状況でしたので、選手にケガをさせないということを一番に考えていました。意識していたのは、練習の強度を下げながらそれでいて質は下げない。なおかつメンタルの面での疲弊感を取り除き、そして選手の高揚感を高めるという工夫が必要で、講義内でも話した通り、リフレッシュ・レクリエーションを積極的に取り入れていました。中学生は、学校行事や委員会活動がたくさんあって本当に忙しいので、学校生活の中で疲弊している部分もあると思います。その中で、部活動のいろんなものが負担にならないように、バーンアウト、燃え尽き症候群にならないようにして、生涯バスケットボールを続けてもらえる土台をつくるのが中学生年代の指導だと思います。そこは、指導者として手を変え品を変え、工夫をしていく必要がありますね。』
講義も残り2回。次回は第4回の講義「試合期の過ごし方」を紹介します。
高橋先生監修。中学生年代における、年間計画をもとにした指導法を映像で紹介!