世界基準の育成環境を目指して~Club Peace of Mind の取り組み~

公開:2021/01/08

更新:2021/01/05

「バスケットボールの家庭教師」事業を展開する株式会社ERUTLUC。スクール活動や、クリニック活動を行うとともに、4つのクラブチームを運営されています。今回はその中の1つであり、株式会社ERUTLUCの創設者・鈴木良和氏が代表を務める「Club Peace of Mind(CPM)」の活動について、鈴木氏本人にお話を伺いました。

「なりうる最高の自分を目指す」環境を提供する

―まずは、「バスケットボールの家庭教師」事業を始めたきっかけについてお聞かせください

鈴木良和氏(以下 鈴):私自身、元々は教員を目指していました。要は子ども達を教える人になろうと。しかし、様々な人との出会いや経験をする中で、子ども達が指導者を選べないという状況があり「指導者を選べる環境がつくれれば良いのではないか」という思いが出てきました。「多くの子ども達に貢献する」と考えたときに、一つのチームで指導するのではなく、指導者を育てた方が良いのではないかという考えに至り、大学院生の時に今の活動を始めました。
会社を立ちあげたときのベースの理念は、「より多くの子ども達に環境をつくる」こと。そのためには指導者を育てないといけないということで、指導者を育てることにかなり力を入れた会社になっています。

―「指導者を育てること」に注力していく中で、クラブチームを作るまでにはどのような思いがあったのでしょうか

鈴:「より多くの子ども達に」というところを、スクール活動などを通して環境づくりを進めていきながら、もう一方で子ども達に「どんな環境をつくってあげたいのか」ということを考えていました。その中で、ジョン・ウッデンコーチの「成功の定義」に影響を受けて。そこでは、「成功とは、なりうる最高の自分のためにベストを尽くしたときに自覚し、満足することによって得られる心の平和である」と定義されていて、これだと直感しました。「なりうる最高の自分を目指す」環境を子ども達に提供するということを理念に掲げて活動を展開していく中で、スクールなどに参加する選手たちがさらに自分を磨く場所として、このクラブを立ち上げました。
ちなみに、チーム名の「Club Peace of Mind」は、先ほどのジョン・ウッデンコーチの「成功の定義」の中にある、「Success is peace of mind」という部分からとったものです。

「育成にこだわる」というブランド価値を高める

―JBA主催のU15選手権や、U15ジャパンクラブバスケットボールゲーム(旧全国ジュニアバスケットボール選手権大会)など、クラブチームが参加できる大会が開催される中で、CPMは近年大会には参加しない方針を掲げていました。なぜ大会に参加しない方針を出したのでしょうか。

鈴:ヨーロッパに行って学んだこともあり、クラブを立ち上げる時に、ヨーロッパのような育成環境をつくりたいと思っていたんです。日本には部活動という環境がありますが、部活動が抱えている仕組み・システム的な課題や、部活に依存しすぎている育成環境を変えたい、と考えてクラブチームを運営してきました。
10年前は、クラブチームを立ち上げても私設の大会がいくつか存在するくらいで、公式な大会というのはクラブチームが参加できなかったわけですが、近年JBAがクラブチームでもBリーグのユースチームでも部活のチームと一緒に参加できるリーグ戦環境、それから全国大会を作りました。
もちろん、我々もその試合環境で選手の育成を目指そうと考えたのですが、いざ大会ができると、「なんでそうなるの」って思うほど、選手の取り合いになったり、選手を集めて勝つことを目指すチームが多いという話をたくさん聞くようになりました。それでは自分たちが目指している育成環境には近づかないなと思って。勝利というものは一つのブランドにはなるけど、大会に勝ちましたとか、優勝しましたというブランドではない魅力で、「育成にこだわったクラブってかっこいいよね」っていうのを作る必要があるなと思って、大会には参加しないで育成力というブランドだけで勝負するチームにしようと思ったわけです。

↑練習を見守る鈴木コーチ

―そうした中、今シーズンからはリーグ戦に参加されています。なぜ参加を決めたのでしょうか。

鈴:今シーズンからは、埼玉県でリーグ戦に参加しています。リーグ戦という環境を各都道府県で作っていくところに貢献することは、育成環境をつくることに繋がるし、大会で勝つことや優勝を目指すわけではなくても、選手達にとっては競争相手がいることが育成環境で重要な部分でもあるので、リーグ戦には出たいという思いはあって。埼玉県のリーグを運営する方々と繋がる中で、良い理念でリーグを運営されているなと感じたので参加することにしました。
今シーズンは、ヨーロッパの育成環境に近い形で、5ユニット(女子2チーム、男子は学年ごとに3チーム)でリーグに参加しています。うちのクラブはコーチがたくさんいるので、5チームを出すことも可能だし、勝利より育成とコーチの育成を優先しているので、いい選手を1チームに集めて勝つことよりも、多くのチームを組んで参加しているという感じですね。

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