世界基準の育成環境を目指して~Club Peace of Mind の取り組み~

公開:2021/01/08

更新:2021/02/18

卒業後に「自分自身の最大限の力」を発揮できる選手を育成する

―クラブチームを続けていく中で、どのようなところにやりがいを感じているのでしょうか。

鈴:一番は卒業生の活躍ですね。卒業した後に進んだ先で、どのような力を発揮できるかが私たちの価値でもあると考えているので。バスケ部のない学校に行ってバスケ部を作ったり、都立高校に進学して、リーダーシップを発揮して私立の強豪校に勝利したり。全国大会で勝ち上がったとかではないですけど、その環境でベストを尽くして結果を残してくれている。そういう活躍はとてもうれしいですし、やりがいに感じる部分ですね。今は、WリーグやBリーグでプレーする選手も出てきていますし、大学リーグでも活躍してくれている選手も多くいます。さらに、卒業生が指導者として戻ってきてくれることも多くなってきて、それも嬉しいことですね。

―今後はどのような展望を考えているのでしょうか。

鈴:世界の育成環境を超えるという目標があります。そのために、まずは世界の育成環境に近づくということを目指して、世界中の育成に関する情報を集めています。その中で、年代ごとのチームの指導やコーチの育成といった面はある程度できるようになってきて、来年からはトレーナーを常駐させて、将来的には練習施設をつくる計画もあります。あとは、年代を通してカリキュラムを、18歳まで一貫してできるように作りたいと考えています。 まずはヨーロッパの育成環境にとにかく近づけて、その先それをどう超えていくかというところですね。新型コロナウイルスの影響で中止になってしまいましたが、昨年ヨーロッパに選手達を連れて行って、向こうのU15やU18のチームと戦う計画をしました。今後も、毎年ヨーロッパに挑戦する計画は立てていきたいと考えています。将来的には、世界に行かないと体験できない、世界に行かないとうまくならないではなく、日本でそういう環境をつくりたいですね。今、熱心なコーチたちが力を入れて育成環境をつくっているので、日本でもそういう環境ができるようになると思っていますし、そこに少しでも貢献したいなと思っています。自分の枠の中で完結してしまうと成長できないので、選手達が枠を広げる機会を今後も提供していきたいですね。

様々な音色を奏でながら、一緒に育成環境を変えていきたい

―最後に育成年代の指導者の皆さんに対してメッセージをお願いします。

鈴:私はいつも、コーチングは音楽に似ているという話をするんです。正しい音楽というものはなく、ジャズとかレゲエがおかしいということはないわけです。それと同じように、正しいコーチングがあるわけではないんです。育成年代の指導者は、それぞれ独自の「音色」を奏でていると思うんです。考え方や指導法は様々あっていいんですよね。
ただ、しいて言うなら、自分以外の音楽(指導)が間違っている、みたいなことはしないことですかね。自分だけが正しいとか、他人が間違っているとか、他を否定して自分を正当化するのは良くないですよね。良いことをしていれば自然と人は集まってくるし、結果はついてくると思うんです。
そのために自分が信じているものをしっかり深めることが重要だと思うのですが、たぶん疑う能力がないと強く信じることはできないんですよね。信じたくて信じたくて、信じている人よりも、疑って疑って、でも疑いきれなかったという人の信じかたの方が強いと感じていて。自分がやっている方法以外に、もっといい方法があるんじゃないかと疑って、模索している人の方が、自分のやっていることを信じられると思うんです。特に育成年代では、何が正しいかなんて、選手や周りが変われば変わるので、常に探求し続けることが大切なのかなとは思いますね。


―取材を終えて
 とにかく、「日本の育成環境を世界レベルに高めていく」という思いを感じ続けたインタビューでした。その中でも、常に考えが「選手たち」中心になっていて、どうすれば選手達に最高の環境を提供できるのかを、日々模索されているということを強く感じました。
世の中に多くの音楽があふれているように、全国各地で様々な考え方や思いを持った指導者がいて、その指導により個性あふれる選手たちが育成されていく。指導者同士がお互いを尊重し、高めあうことで、世界の育成環境に少しでも近づくことができるのではないでしょうか。
世界中の指導者や選手が、「日本の育成環境で学びたい」と思える環境をつくるために、これからも株式会社ERUTLUC、CPMの活動がどのように進化していくのか、とても楽しみです。

(取材日:2020年10月29日/大野)

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Club Peace of Mind(CPM)

「なりうる最高の自分を目指す」を活動の理念に掲げ、選手の「育成」にこだわったクラブチーム。「バスケットボールの家庭教師」でお馴染みの株式会社ERUTLUCが運営。卒業生の多くが先の年代でも活躍を続け、近年はBリーグやWリーグでプレーする選手も輩出している。代表の鈴木良和氏は多くの指導者書籍出版に携わり、現在は日本代表のサポートスタッフとしても活動している。
株式会社ERUTLUC HP:https://www.basketballtutor.com/

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