一貫指導で選手の可能性を引き出す~サンロッカーズ渋谷ユースの取り組み~

公開:2020/12/04

更新:2021/02/18

『勝利』と『育成』の両方を追い求める

―指導面では、どんなことを大切にしているのでしょうか。

松:年代によって大切にしている部分は変えています。U12は中学生と同じ高さのリング、同じ大きさのボールで練習をしていて、特に個人スキルに力を入れて指導をしています。それは、目先の試合で勝つよりも、その先も見据えてしっかりとその選手を育成していくことの方が優先度が高いからです。大きい選手でもドリブルがつけてボールが運べる、小さい選手でもインサイドでプレーできる、というようにどのポジションでもできる選手を育てることに力を入れています。

 U15は、もう少し勝ちを意識してチームでのプレーも練習には取り入れています。勝ちを求めながらも、選手達の先のことを見据えて指導をしなければならないので、そこが難しいところですね。勝ったから良いというものでもないですし、勝敗度外視で育成だけしていればいいというわけでもないし。そこは、両方を追い求めているという感じですね。

「プロ」を肌で感じる環境

―サンロッカーズ渋谷ならではの環境づくりもされているようですね。

松:今年はコロナ禍で実施できなかったですが、毎年夏に合宿をしていて、そこにはトップチームのコーチ陣も指導に来てくれるんです。普段の練習でも、時間があるときは指導にきてくれたりしていて、トップチームと同じ指導を受けられる環境があるのは選手にとっても、ユースのコーチ陣にとってもいい環境だと思っています。また、NBA選手を数多く指導しているデイビット・ナース氏がアドバイザリーコーチを務めていて、年に2回ほど(2020年はコロナ禍で来日できていない)直接ユースチームでも指導をしてもらっています。一流のスキルデベロップメントの指導はもちろん、コミュニケーションや選手としての在り方の部分も重視していて、1時間くらいかけて話をしてくれます。世界トップレベルの指導が直接受けられるということもそうですし、英語で指導をしてもらったり、コミュニケーションをとったりする、というのも貴重な経験だと思います。そうした経験を小学生や中学生年代の選手達に提供できるのは、うちのチームならではかなと思います。

―これからの課題と展望についてお聞かせください。

松:今年までは二重登録ができますが、2021年の4月から二重登録ができなくなります。U15年代は本当に過渡期に来ていて、これからどこに向かうのか、方向が定まるには時間もかかるのかなと思います。その中で、学校や街クラブではできない、Bユースだからこそできることを追い求めていきたいなと思います。例えばプロ選手やコーチとの交流であったり、国際経験であったり、そういった部分を選手に経験してもらえる環境は作りたいと考えています。Bリーグ、トップチームの看板だけに頼らず、しっかりとした環境を作って選んでもらえるチームにしていきたいですね。あとは、U18、その先プロとつながっていくので、やっぱりこのチームからプロ選手が出てくれると嬉しいなと思います。

トップチーム同様に「ハードなディフェンス」ができるように

-取材日は、特にディフェンス面の指導を中心に練習に取り組まれていました。練習後に木村HCに練習の狙いについてお話を伺いました。

↑練習中に指示を出す木村コーチ

木村一明HC(以下:木):ディフェンスをハードにやるというのがチームの強みであると考えているのですが、前回の試合でそこが徹底できていなかったので、今日はもう一度チームの強みを共通認識として持つために、ディフェンスに重点を置いたメニューを実施しました。ディフェンスはトップチームでもこだわっている部分なので、ユースでもそこにはこだわって指導したいと考えています。

―その他にこだわって指導している部分はあるのでしょうか。

木:普段の練習から「クローズドスキル」ではなく「オープンスキル」、つまり状況判断を伴うメニューを入れることを意識しています。単なるドリルで終わるのではなく、実戦を意識しながら、チーム内の競い合い、レベルを高める環境づくりができればと考えています。それから、学校の部活動と両立している選手も多くいるので、ここでの練習が「きついけど楽しい」と思ってもらえるように、日々の練習に取り組んでいます。

↑ボールマンへの厳しいチェックを徹底

取材を終えて・・・
U15年代のチーム数が全国トップクラスの東京都。その中で、Bユースチームは注目される存在です。「Bの下部組織は勝って当たり前」というプレッシャーも感じながら、“目の前の勝利だけでなく、選手の未来を見据えた育成に取り組む”というサンロッカーズ渋谷ユースチームの強い思いを、今回の取材を通して感じました。そして、Bリーグチームという看板だけに頼らず、選手が「部活が終わってからでも参加したい」「ここでバスケがしたい」と思ってもらえるような環境づくりに取り組んでいる、というお話が印象的でした。部活動や街クラブと共存しながら、独自の色で選手育成に力を入れる、サンロッカーズ渋谷ユースチームの活動に今後も注目です。

(取材日:2020年10月20日 大野)

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サンロッカーズ渋谷ユースチーム

U12チーム12名、U15チーム30名が所属。【渋谷から世界で活躍する選手を育てる】をコンセプトに、U12チームが週2回、U15チームが週3回の活動をしている。部活動との掛け持ちをする選手も多く、部活動や街クラブと共存を目指しながら、U12年代からの一貫した選手育成に力を注ぐ。指導陣は木村HCをはじめ、3名。現役NBAのスキルコーチのデイビット・ナース( David Nurse)氏がアドバイザリーコーチを務める。
チームHP:https://www.hitachi-sunrockers.co.jp/youth/

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