バスケットボールにおけるジャンプトレーニング

公開:2020/10/23

更新:2021/03/04

ハムストリングス・臀筋群をうまく使うために

ハムストリングス・臀筋群の動員を亢進するためには、ヒップヒンジ動作を習得することが大切であることは述べました。このように動員率を上げたい筋群を刺激する方法として、アクティベーションドリルがあります。アクティベーションドリルとは、活動が少ない(動員が困難な)筋群をパフォーマンス中に動員できるように神経系を刺激・再教育することで、ウォームアップとして使いたい部分を集中的に動員するエクササイズを行い、その後のエクササイズ中における筋の動員アップとパフォーマンスの向上を図るものです。つまり、ヒップヒンジ動作を用いるエクササイズや、ハムストリングス・臀筋群を主に活動させるエクササイズはジャンプ動作のためのアクティベーションドリルになり得るため、ジャンプトレーニングの前のみならず、普段のあらゆる練習やゲーム前のウォーミングアップとして取り入れると効果的です。特に、女性アスリートの場合はハムストリングス・臀筋群のアクティベーションドリルを重点的に行うことで、ジャンプトレーニング自体を安全に進めやすくなりますし、それだけでジャンプパフォーマンスが向上する可能性があります。「ジャンプ能力を高めるならひたすらジャンプする!」だけではなく、性差を踏まえてアクティベーションドリルを適切に用いながらジャンプ能力向上を目指してください。

<引用・参考文献>

〇Abdelkrim,N.B., El Fazaa,S. & El Ati,J. (2007) Time–motion analysis and physiological data of elite under-19-year-old basketball players during competition.British journal of sports medicine,41(2),69-75.

〇Karlsson, J. and I. Jacobs. (1981) Is the significance of muscle fiber types to muscle metabolism different in females than in males? In J. Borms, M. Hebbelink and A. Venerando, eds. Women and Sport, an Historical, Biological, Physiological and Sports Medical Approach.

〇小山孟志・陸川 章・山田 洋・有賀誠司(2012)バスケットボールの試合中におけるジャンプの種別とその頻度.東海大学スポーツ医科学雑誌,24,27-31.

〇McInnes,S.E., Carlson,J.S., Jones,C.J. & McKenna,M.J. (1995) The physiological load imposed on basketball players during competition.Journal of sports sciences,13(5),387-397.

〇McMahon,JJ., Comfort,P. & Pearson,S. (2017) Flexibility and Rehab Tips 下肢スティフネス: 女性アスリートに関する考察.Strength & conditioning journal: 日本ストレングス & コンディショニング協会機関誌,24(7),66-69.


DVD収録内容よりオススメのアクティベーションドリルを紹介

〇シューズ・ローテーション

〇ノルディック・ハムストリングス

〇シングルレッグ・ボックスダウンスクワット

〇Tエクササイズ

〇Tバックウォーク

〇Tジャンプ

↑DVD詳細はこちらから↑

熊野 陽人(くまの あきひと)

(関西福祉大学 社会福祉学部 講師 陸上競技部コーチ/日本陸上競技連盟強化委員会/女子走幅跳オリンピック強化スタッフ/女子跳躍・七種競技コーディネーター)

大阪出身。鹿屋体育大学大学院修了。博士(体育学)。専門種目は陸上競技・跳躍。研究分野はコーチング学、トレーニング科学、バイオメカニクス。研究と現場を繋ぎ、ジュニアアスリートへの普及・強化からナショナルレベルの アスリートの指導まで、精力的に活動している。特に、フィジカルの強化に主眼を置き、様々な競技種目のアスリートを対象に フィジカルトレーニング、ジャンプトレーニング(プライオメトリクス)の指導を行っている。

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