U-15世代における指導のコンセプト 後編 ~鷲野流ディフェンスの考え方~

公開:2021/02/19

更新:2021/02/18

1対1のディフェンス指導

先ほどの「させない5原則」を踏まえたうえで、ここからは鷲野監督が考えるボールマンとノンボールマンに対するディフェンスのポイントを紹介します。

ボールマンに対しては基本的に「インライン」を抑えることを重視されています。これは、オフェンスはリングに直線的に進めなくさせることを目的にしており、ドリブルに対しても原則インラインを守ることに維持するよう求めます。

ドリブルに対する守り方については、むやみにドリブラーのコースに入らない(ドリブラーの前に入ることによって、リングへのコースが空くため)。原則的にはオーバープレーすることなく、正しく手と足の位置をとったスライドステップ(なるべくクロスステップは使わない)で持続的なディフェンスを行うことが重要である。

と鷲野監督は語っておられます。

こうした守り方を実現するために、細かいステップワークやハンドワークについても、指導をされており、状況に応じてステップを使い分け、相手にプレッシャーを掛けながら、ボールマン(ボール)をゴールから遠ざけるディフェンスの習得を目指した指導をされてきました。

ノンボールマンに対しては、「簡単にボールをつながせない」「インフロントカットさせない」「ボールマンのドライブにヘルプできる」という3つの約束事を設けています。その上で、視野を確保し、状況に応じてスタンスやポジションを変えることを求めて指導をされています。

ワンパスアウェイではクローズスタンスをとります。クローズスタンスの最大の目的は、パスを簡単につながせないことであり、インサイドハンドでパスのコースを遮断します。いわゆる、ディナイディフェンスです。それにより、パスレーンを遮断されたオフェンスは、カットを多用してボールをつなごうとするため、ディフェンスは膝を曲げた状態で、動く準備を怠らず、前足に30%、後ろ足に70パーセントという意識を持ったボクサーステップでマークすることが必要になります。  一方、ツーパスアウェイはピストルスタンスで一方の手はボール、一方の手はマークマンに向けてオープンスタンスで守ります。裏へのパス、ドライブインやカットに対するヘルプが最大の目的になります。ボールからマークマンが離れているため、フロア全体を把握し、次の攻撃に対する準備をしておくことはもちろん、そのフロアから考えられるあらゆる予測をしておく必要があります。これらのポイントを徹底し、マイマンとボールマンの両方に影響を与えるディフェンスを目指します。

コースチェックに関しては、フラッシュポストのチェックとインサイドカットのチェックを分けて考えます。オフサイドからのフラッシュポストへの位置取りは、必ずツーパスアウェイの攻撃者となるので、最初2歩以上離しておいて、攻撃者が進むコースを予測し、手と足を早く出してパスラインを遮断することが重要です。
インサイドカットのチェックに関しては、攻撃者が内側にカットする第1歩を、アウトサイドフットで止めながら、カッターに通じるパスラインを遮断するのがポイント。ボールを視野に入れながらディフェンスしなければなりません。
こうしたコースチェック、チェッキングは、攻撃者が進む方向、位置への進路を遮断する意味で、攻撃者が自由にできないようにタイミングをずらすためにおこなうもので、常に相手オフェンスに影響を与えることを意識する必要があります。

このようなマンツーマンディフェンスの考え方を基本にして、2対2や3対3の攻防、実戦を通して、チームのディフェンスを作り上げていきます。より詳しい「ディフェンス」の指導法に関しては、鷲野監督最新作のDVDにも収録。ぜひ鷲野流のディフェンス指導を取り入れてみてはいかがでしょうか。

>>> U-15年代における指導のコンセプト 前編はこちら

>>> 中編 「鷲野流オフェンスの考え方」はこちら


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鷲野 鋭久 Toshihisa Washino

愛知県出身。中京大学卒。現在は弥富市立弥富北中学校女子バスケットボール部で監督を務める。JBA U-15女子日本代表監督やトップエンデバーでコーチを務め、歴任した公立中学校でも全国大会出場を果たす。前任の藤浪中学校では全国制覇を達成した。自チームの指導にとどまらず、全国でクリニックや講習会を開催するなど、名実ともに中学女子バスケット界を牽引する存在である。

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