片峯聡太監督インタビュー「“個の自立”を目指し“日本一カッコよくすてき”なチームを作りたい」

公開:2020/08/14

更新:2021/02/22

県内ライバル福岡第一の存在と全国に増える外国人留学生

全国レベルの県内ライバル、福岡第一高(ウインターカップ2018優勝)とは、どのような存在でしょうか?

(福岡)第一は認めなければならない強さを持っているチーム。でも、一番負けたくない相手です。第一が福岡県内のチームでなければ、大濠は活気なく、緊張感なく、全国大会で痛い目を見て気付かされるチームになってしまっているかもしれません。
 日々の練習中にも『今、一番負けたくない相手は何をやっているんだろう』と選手に話しますし、互いに刺激を受ける部分は多いと思います。地区で戦い、県で戦い、ブロックで戦うので、互いのチームがその間にどれだけ練習を突き詰めて行うことができたのかという競い合いになっています。

九州ブロックを含めて、全国各地に外国人留学生選手が増えています。対戦する際に一番考えていることは、どのようなことですか

どのような役割で起用しているのか、ストロングポイントは何なのかに重点を置いて見ています。各チームはさまざまなタイプの選手がいて、いろいろな手法を使っています。例えば、ボールを入れて得点させるのか、動かしながらほかの選手の外したシュートを押し込んでいるのか、全員が同じようにシステマチックにプレーしているのかなど、それによって考えるようにしています。
 ただし、そこだけに固執していると、ほかのチームに足元をすくわれてしまいかねないので注意していますが。

個人スキル、サイズアップを含めた理想の選手像は…

最も力を注いでいる個人のスキルは何ですか?

選手が判断をして、自分のファンダメンタルを出すことを習慣化してほしいです。ドリブルの上手な選手などは、どうしても考えずにファンダメンタルを使おうとする選手が多いような気がしています。しっかりとした判断の下、必要なファンダメンタルをどれだけ高めることができるのかということが大切になってきます。

中学までに、身に付けておいて欲しいスキルは何でしょうか?

オフェンスに関して言えば、中学でスクリーンはまだ使わなくても良いと考えています。パスした後のスペーシングやオフボール(ボールのないところ)での1対1まで、しっかりとコーチには教えてほしいです。
 例えば、ボールサイドではバックドアカットをしたり、ディフェンスがゴールライン(自分とゴールを結ぶ線)に入っていればボールサイドカットをしたり…ボールを持っていない中でどうディフェンスをやっつけるのか、あるいはボールを持っていない選手がボールを持っている選手のスペースをどう作るのか、という感覚です。
 それだけでは戦うことができないので、高校でスクリーンというスキルが入ってきて、その精度を高めていくことになるのです。

—サイズアップ、育成とチーム強化の両立、バランスの難しさについて、どう考えていますか?

一番難しいのですが、裏を返せばそれは私が大濠にいる理由でもありますし、私が大濠のコーチである理由でもあるのです。追及、探究していく部分だと思います。また選手の見極めも重要になってきます。
サイズが大きく、加えてシュートもあれば、『ブロックショットされない3Pシュートを常に狙うことができる選手』という発想があります。そこを強みにしていくことで、チームの強化につながり、選手の可能性も広がっていくと思っています。
選手はインサイドからアウトサイドへ出れば景色も違いますし、そう簡単にシュートが入るようにはならないでしょう。コーチは我慢、それ以外の何物でもありません。そこが私のコーチとしての勝負だと考えています。

—片峯コーチが理想とする選手像は、どのような選手でしょうか?

とにかくバスケットボールに対して貪欲で、チームに誠実。つまり自分以外の選手に良い働きかけのできる選手が一流の選手だと思っています。
 そして、大濠に入ってきた経緯は選手それぞれ違います。これは伝統の継承ということになりますが、選手の長所を消すことなく、足りない部分を自分やチームでフォローしていくことで、しっかりと育つ。選手として、人間として育っていくということが大濠の魅力だと思っています。

記事提供:『月刊バスケットボール』2019年6月号「指導者Interview チーム作りの達人たち」より


片峯 聡太 Sota Katamine

1988年、福岡県出身。飯塚一中→福岡大附大濠高→筑波大。大学卒業と同時に、故・田中國明氏の後継者となるべく母校へ赴任。バスケットボールの指導者というだけでなく、教員としても周囲からの信頼は厚く、評価も高い。また、思い切ったポジションのコンバートで、卒業後に高いレベルで活躍する選手も多くいるなど、先見性に優れる。

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